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    #チェズルク版ワンドロワンライ

    お題「眠り」お借りしました。
    付き合ってます。事後です。

    #チェズルク
    chesluk

    「眠れないのですか?」
     何度か寝返りを繰り返していたら、優しくてどこか蠱惑的な声が耳をくすぐる。
     自分よりも冷たいしなやかな手が額を滑るように髪をかき上げて、こめかみあたりに口付けられた。幼い子供相手にするような触れるだけで離れていくキスを幾度も受けて、くすぐったさにクスクス笑いが零れる。
    「眠れないわけじゃない……と、思うんだけどさ」
     目を閉じていると、視覚以外の感覚が過敏になる。ふわりと甘い香りが届いて、心臓がひときわ大きく跳ねた。。菓子や蜜に与えられるどこか安心する甘さじゃなくて、鳥や虫へ誘いをかける花の少し不穏でけだるい甘さだ。発散したはずの熱がじわりと集まりかけたけれど、意識的に切り離した。
     目を開ければ、穏やかに微笑むうつくしい人の顔がすぐ近くにある。
    「嬉しくて」
    「嬉しい?」
    「うん」
     お互い向かい合わせで横に寝ころんだままチェズレイの視線を受けると、いつだってドキドキする。
     そっと手を伸ばしてみた。彼は少し驚いたようにうつくしい紫の瞳をパチパチ瞬かせたけれど、僕の手を拒む素振りは見せない。
     触れることを許されている。こうして、一緒に眠りに落ちることも。
    「あと、なんだかもったいない気がして」
     せっかく君がいてくれるのにな、と。
     口にした言葉は、とろりとした眠気に支配されてぐずついている。どうにか呂律は回っているけれど、ちょっと舌ったらずでぼんやりしていて、我ながら眠たげだ。
    「あァ、ボス……」
     吐息まじりの声は感激したように僅かに震えていた。
     ふわりと花がほころぶように微笑みを浮かべた顔は、秀麗すぎてどこか冷たさを帯びた普段の表情とまるで違う。どこか少女めいた無邪気さを孕んで、視線を外せなくなってしまった。
     するりとしなやかな身体に抱き締められて、なにも隔てるものがない素肌同士の触れ合いが、さっきまでしていた行為と質は違うけど同じくらいに心地良い。
    「なんて可愛らしい……」
    「いや、可愛くはないとおもうけど」
     いい加減育ち切った成人男子を相手に、それはないんじゃないかな、流石に、と思うけれど、飽くことなく繰り返される言葉は本気で口にしているらしい。
    「ただ、眠って下さらないと心配になります。せめて、目の下の隈はどうにかしていただきたいところですねェ」
    「あー……ごめん」
     自覚はあったから素直に謝る。
     謝罪の言葉もまた、緩やかな眠気を帯びてどこかふわふわと頼りないけれど、チェズレイは満足そうに頷いた。
    「でもさ、チェズレイとずっと一緒にはいられないから、だから……一緒にいる時間は、できるだけ君を覚えておきたいんだ」
    「そう、ですか……ええ、ボスの気持ちはよくわかりました」
     けれど、今はどうぞお休みください。
     甘やかな声にするりと眠気を引き寄せられて、それ以上何かを告げるより先に意識が闇に閉じた。
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    NEIA_AINE

    DONE #アロルク版深夜の創作60分一本勝負
    【アロルク】28分遅刻しました!すみませんでして!借りたお題は「お酒」の方で、単にアルコール代わりにお酒を吹くアーロンが書きたかっただけ。なお医療行為としては効果はあるけど、正しくはない、みたいな感じらしいし、私自身は医者じゃないので、あくまでファンタジー的に読んでください。あと運営様、お疲れ様でした!最後までよろしくお願いします!
     失敗した。その一言に尽きる。
     「クソッタレ!おいルーク、大丈夫か!」
     「だ、大丈夫だ」
     あまりの激痛に顔が引き攣る。この状態では銃を握ることすらできない。どう考えても戦力外状態だ。痛みが思考の邪魔をする。ただ僕が負傷した現状が、非常にマズイことだけは明白だった。

     時は数日前に遡る。
     「「Discardに関する資料が持ち去られたぁ!?」」
     僕と相棒のアーロンはナデシコさんの一声でミカグラ島の警察本部、警視総監室にいた。
     「正確に言うと、ハスマリー研究の資料が持ち去られた、だ」
     ナデシコさんはいつもの落ち着いた雰囲気からガラリと表情を変え、かなりピリついた態度だった。それだけにこの話の緊急性がうかがえる。
     「今我々が組織の抜本的な改革をしていることは君たちも知っての通りだが、その過程で出てきた資料はすべて紙ベースにした上で資料課が管理をしている。しかし、そこの新人がうっかり鍵を閉め忘れたらしくな。何者かの侵入を許した上に、最重要機密扱いの資料たちを盗んだようなのだ」
     眉間に手を当て、困り果てた顔のナデシコさん。かの研究の悲しくも恐ろしい部分の一端を垣間見てきた彼女だ 3134