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SPOILERチェズルク版ワンドロワンライ第38回提出作品です。お題は『ニュース』で。暮らドメバレ、毎朝の習慣になっているトップニュースチェック中のルにチェが朝ごはん作ってくれる話です。シークレット・ニュース 誰もいない朝のリビングで、シンクに少しだけ水を流す。コーヒーメーカーの給水タンクに新鮮な水を満たし、カプセルホルダーとともにセットしてスイッチを押す。
このカプセル式のコーヒーメーカーも、チェズレイが贈ってくれたものだった。クリスマスまでウィリアムズ邸へ厄介になるにあたり、プレゼントがてら新しいコーヒーメーカーを持参するとチェズレイが言い出した時には本格的なエスプレッソマシンが来てしまうのではないかと身構えていたが、実際に届いたのはコンパクトサイズのカプセル式メーカーだった。美味しいエスプレッソも魅力的だったが、各種ブレンドやフラットホワイト、ラテ・マキアートやココアまで、毎日たくさんのカプセルの中から好きな味を選べる楽しさと手入れの簡便さを理由に選んでくれたのだということは、ルークもすぐに気が付いた。
3556このカプセル式のコーヒーメーカーも、チェズレイが贈ってくれたものだった。クリスマスまでウィリアムズ邸へ厄介になるにあたり、プレゼントがてら新しいコーヒーメーカーを持参するとチェズレイが言い出した時には本格的なエスプレッソマシンが来てしまうのではないかと身構えていたが、実際に届いたのはコンパクトサイズのカプセル式メーカーだった。美味しいエスプレッソも魅力的だったが、各種ブレンドやフラットホワイト、ラテ・マキアートやココアまで、毎日たくさんのカプセルの中から好きな味を選べる楽しさと手入れの簡便さを理由に選んでくれたのだということは、ルークもすぐに気が付いた。
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SPOILERチェズルク版ワンドロワンライ第38回提出作品です。お題は台詞お題の「逃がしませんよ」で。暮らドメバレ、チェとルで某スタイリッシュな軟体動物たちでインクを塗り合うシューティングアクションで遊ぶ話です。今回はチェズルクっていうかチェ+ルというか……チェはハイ〇ラントの面白さに気づいたら大変なことになると思う。
「やばっ」
現実でルークが発した声に、画面の中の小さな悲鳴が重なる。
まっすぐに飛んできた弾丸に貫かれ、携帯ゲーム機に映っていたキャラクターが弾け飛び、明るいパープルのインクがステージに四散した。
「フフフ……。逃がしませんよ、ボス」
リビングのテレビの画面では、楽しそうに笑うチェズレイが操るキャラクターが大型の狙撃銃を構えている。スナイパー役のチェズレイが睨みを効かせている間に、テーマパークを模したステージがチェズレイのチームカラーにどんどん塗り替えられていく。スタート地点である自陣に戻され、ルークは焦りと感嘆とを長い溜息に変えて唸った。
夕食後、ルークがリビングで一息ついていた時、そわそわとした様子のチェズレイにゲームに誘われた。一週間ほど前にルークがチェズレイの前でやってみせたゲームをルークの不在時に練習したので、一緒にやって欲しいという。海生軟体動物と人型を自由に切り替えられるキャラクターを駆使して広大なステージ中を駆け回り、カラフルなインクを射出する様々な種類の武器を用いて、ステージのフロアをチームカラーで侵食しあい陣取り合戦をするその対戦アクションゲームを気に入ったようで、仲間たちと同時プレイが出来るように携帯ゲーム機本体とソフトまで買ってきたという気合いの入れようだった。携帯ハードの方は既にルークの自宅のWi-Fiにも接続してあり、インターネットを介した同時プレイの準備も万端だった。
2905現実でルークが発した声に、画面の中の小さな悲鳴が重なる。
まっすぐに飛んできた弾丸に貫かれ、携帯ゲーム機に映っていたキャラクターが弾け飛び、明るいパープルのインクがステージに四散した。
「フフフ……。逃がしませんよ、ボス」
リビングのテレビの画面では、楽しそうに笑うチェズレイが操るキャラクターが大型の狙撃銃を構えている。スナイパー役のチェズレイが睨みを効かせている間に、テーマパークを模したステージがチェズレイのチームカラーにどんどん塗り替えられていく。スタート地点である自陣に戻され、ルークは焦りと感嘆とを長い溜息に変えて唸った。
夕食後、ルークがリビングで一息ついていた時、そわそわとした様子のチェズレイにゲームに誘われた。一週間ほど前にルークがチェズレイの前でやってみせたゲームをルークの不在時に練習したので、一緒にやって欲しいという。海生軟体動物と人型を自由に切り替えられるキャラクターを駆使して広大なステージ中を駆け回り、カラフルなインクを射出する様々な種類の武器を用いて、ステージのフロアをチームカラーで侵食しあい陣取り合戦をするその対戦アクションゲームを気に入ったようで、仲間たちと同時プレイが出来るように携帯ゲーム機本体とソフトまで買ってきたという気合いの入れようだった。携帯ハードの方は既にルークの自宅のWi-Fiにも接続してあり、インターネットを介した同時プレイの準備も万端だった。
azusa_n
DOODLE「涙」「共同生活」「ごちそうさま」+最後だけモさん
#チェズルク版ワンドロワンライ
アロは出掛けてるタイミング。
帰ったら仲間がいる。そう思うだけでスキップしたくなるような気持ちで帰路についた。
「たっだいまー!」
「お帰りなさい、ボス」
わざわざ顔を出してくれたチェズレイを見て、家の鍵を落とした。
今日も笑顔で楽しい時間を過ごせるはずだと思っていたのにチェズレイの目が赤い。そう思ったら彼の頬を伝って一滴の雫が落ちた。浮かれていたのが恥ずかしくなるような光景だった。
「……チェズレイ、どうしたんだ?」
「っ……、…見苦しいものを失礼しましたね。どうぞお気になさらず」
僕に背を向けたチェズレイの肩に手を置く。
「いや、気にするに決まってるだろ! なにがあった?」
「ボスに伝えるようなことではありません」
「……僕には、話せないこと……?」
1326「たっだいまー!」
「お帰りなさい、ボス」
わざわざ顔を出してくれたチェズレイを見て、家の鍵を落とした。
今日も笑顔で楽しい時間を過ごせるはずだと思っていたのにチェズレイの目が赤い。そう思ったら彼の頬を伝って一滴の雫が落ちた。浮かれていたのが恥ずかしくなるような光景だった。
「……チェズレイ、どうしたんだ?」
「っ……、…見苦しいものを失礼しましたね。どうぞお気になさらず」
僕に背を向けたチェズレイの肩に手を置く。
「いや、気にするに決まってるだろ! なにがあった?」
「ボスに伝えるようなことではありません」
「……僕には、話せないこと……?」
azusa_n
DOODLE「映画」。キャラブ見たらこいつら絶対映画の趣味合わないなと思った。#チェズルク版ワンドロワンライ
「君の好きな映画って何?」
買い物から帰ってきたボスの手にはポップコーンとコーラのボトル。
今から見たいのだろう。
「……ボスにお勧めできるようなものは思い当たりませんね」
おすすめを聞かれるのであれば、ボスが好みそうでまだ見ていないだろうものはいくらでも思い当たるが、私の好みとは異なる。私が勧めて、それに満足すれば好感度も上がるかもしれないが。
「僕の好みと違っててもいいからさ」
「……では、見てみましょうか。ご満足いただけるかは保証できかねますが」
リビングのカーテンを閉めて部屋を暗くして、目の前のテーブルの真ん中にはポップコーンが山盛りになっている。
それからボスの前にはコーラ、私の側にはコーヒー。
準備万端だと上機嫌に再生ボタンを押した。
1393買い物から帰ってきたボスの手にはポップコーンとコーラのボトル。
今から見たいのだろう。
「……ボスにお勧めできるようなものは思い当たりませんね」
おすすめを聞かれるのであれば、ボスが好みそうでまだ見ていないだろうものはいくらでも思い当たるが、私の好みとは異なる。私が勧めて、それに満足すれば好感度も上がるかもしれないが。
「僕の好みと違っててもいいからさ」
「……では、見てみましょうか。ご満足いただけるかは保証できかねますが」
リビングのカーテンを閉めて部屋を暗くして、目の前のテーブルの真ん中にはポップコーンが山盛りになっている。
それからボスの前にはコーラ、私の側にはコーヒー。
準備万端だと上機嫌に再生ボタンを押した。
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SPOILER第13回チェズルクワンドロ/ワンライ参加作品です。お題は【人魚姫】。EoP後に一時的に声を失うルと話し相手になりにきたチェの話です。一過性の症状で五感のひとつを失う話が性癖です。いや発声は五感じゃないですが。そして例によって遅刻&1h超過ですすみません。
あとチェではないひとたちが人魚姫の王子的に扱われていますが他カプの意図はありませんすみません。人魚姫要素を手当たり次第に盛ったらそんなことに… 4288
azusa_n
DONE「人魚姫」#チェズルク版ワンドロワンライ
くっついてないチェズルク。
本来の時間は試聴会でそれどころではなさそうなのでフライング投稿しておきます。
「なぁ、チェズレイ。ドーナツはオールドファッションとフレンチクルーラー、どっちが好き?」
「質問攻めと言うより、もはや尋問ですかねェ」
好きな食べ物に飲み物、朝起きたら何をする。
花屋の前を通れば好きな花を、文房具屋の前を通れば筆記用具にこだわりはあるか。
捜査のために街に出て、帰る道すがら、ルークが逐一尋ねてくる。
警察官としては怪しい人物の取り調べをするのは良い行いなのだろうが、その内容は随分と子供じみたものばかり。
「これから一緒に活動するんだから、君の人となりをよく知っておきたいんだ。
あ、童話は?幼い頃好きだったものはある?シンデレラに人魚姫、幸せの王子に…」
彼の言うことは本心なのだろうが、今思うように行かないダンスの練習からの逃避も含まれているのだろう。
1820「質問攻めと言うより、もはや尋問ですかねェ」
好きな食べ物に飲み物、朝起きたら何をする。
花屋の前を通れば好きな花を、文房具屋の前を通れば筆記用具にこだわりはあるか。
捜査のために街に出て、帰る道すがら、ルークが逐一尋ねてくる。
警察官としては怪しい人物の取り調べをするのは良い行いなのだろうが、その内容は随分と子供じみたものばかり。
「これから一緒に活動するんだから、君の人となりをよく知っておきたいんだ。
あ、童話は?幼い頃好きだったものはある?シンデレラに人魚姫、幸せの王子に…」
彼の言うことは本心なのだろうが、今思うように行かないダンスの練習からの逃避も含まれているのだろう。
azusa_n
DONE #チェズルク版ワンドロワンライ「花」「もっとしたい」
前回のお題に記念日お祝いを添えて。
尚、全然ワンドロではない。
デートの途中、ルークが足を止めた。
スイーツの店ではなく花屋とは、彼にしては珍しい。
「ボス、私以上に目を引く花がおありで?」
くぎを差したのにも気付かず、ひとつの小さい鉢を指差す。
「この花、君にちょっと似てる気がするな……って」
ラベルにはハナカイドウと記載してある。
桜や桃に似たピンク色の花の苗木だ。
薔薇や百合と言った大振りの花に例えられる事の方が多いが、何が琴線に触れたのやら。愛しい相手ではあれど美的センスには相違があるため判断はつかない。
「似ている…でしょうか?」
「なんとなくだけど」
絶世の美女である王妃に例えられた逸話のある花だったか。逸話を知っているとは思わないが、彼にしては悪くない見立てだ。
「こちら、宅配していただけますか?」
1499スイーツの店ではなく花屋とは、彼にしては珍しい。
「ボス、私以上に目を引く花がおありで?」
くぎを差したのにも気付かず、ひとつの小さい鉢を指差す。
「この花、君にちょっと似てる気がするな……って」
ラベルにはハナカイドウと記載してある。
桜や桃に似たピンク色の花の苗木だ。
薔薇や百合と言った大振りの花に例えられる事の方が多いが、何が琴線に触れたのやら。愛しい相手ではあれど美的センスには相違があるため判断はつかない。
「似ている…でしょうか?」
「なんとなくだけど」
絶世の美女である王妃に例えられた逸話のある花だったか。逸話を知っているとは思わないが、彼にしては悪くない見立てだ。
「こちら、宅配していただけますか?」
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DONE「片想い」「ため息」「チョコレート」#チェズルク版ワンドロワンライ
ストレートにバレンタインネタのチェズルク。
「ただいま!」
「お帰りなさい。随分と甘い香りを纏ってますねェ」
「焼き立てのチョコワッフルが売ってたんだ!」
「それはなによりですが、召し上がるなら座ってくださいね」
すぐ食べるため、薄い紙で覆われたワッフルを一口かじると苦笑混じりにチェズレイの前の席を勧められる。
正面で食べ始めたルークは、チェズレイがため息をついたことに気付いた。
「ん? チェズレイ、悩み事?」
「ええ。チョコレートを渡すべきかそうでないか考えていました」
「チョコレートを渡す……っていうと、バレンタインの?」
「ご明察です」
目を丸くしたルークが少し身を乗り出した。
「チェズレイにもそんな相手いるんだ」
「ボスはお気づきではありませんでしたか?」
1751「お帰りなさい。随分と甘い香りを纏ってますねェ」
「焼き立てのチョコワッフルが売ってたんだ!」
「それはなによりですが、召し上がるなら座ってくださいね」
すぐ食べるため、薄い紙で覆われたワッフルを一口かじると苦笑混じりにチェズレイの前の席を勧められる。
正面で食べ始めたルークは、チェズレイがため息をついたことに気付いた。
「ん? チェズレイ、悩み事?」
「ええ。チョコレートを渡すべきかそうでないか考えていました」
「チョコレートを渡す……っていうと、バレンタインの?」
「ご明察です」
目を丸くしたルークが少し身を乗り出した。
「チェズレイにもそんな相手いるんだ」
「ボスはお気づきではありませんでしたか?」
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DONE独占欲/お泊まり。バディエピ4,5のマフィア男的なモブとすれ違い要素を含む。
#チェズルク版ワンドロワンライ
その日、チェズレイとルークの行った捜査は空振りだった。
情報を得るチャンスはあった。
おそらく裏社会に生きるだろう男がチェズレイが一人で来るのであれば答えると言っていた。
だが、ルークは情報を得られなくなるのは承知でその場からチェズレイを無理矢理引き離したのだから、情報を捨てたとも言える。
その後も捜査は続けたが、他に手がかりもなく夜になり、不意の大雨で近くのホテルに避難せざるを得なくなった。
空いていたのは一室だけ。
ビジネスホテルの一室は清潔は保たれているがチェズレイから見れば最低限だ。
浴槽に湯を張る音が聞こえて、すぐにバスタオルをルークが差し出してきた。
それを受け取りはしたものの、雨に濡れた体を拭きもしないでチェズレイが呟く。
2447情報を得るチャンスはあった。
おそらく裏社会に生きるだろう男がチェズレイが一人で来るのであれば答えると言っていた。
だが、ルークは情報を得られなくなるのは承知でその場からチェズレイを無理矢理引き離したのだから、情報を捨てたとも言える。
その後も捜査は続けたが、他に手がかりもなく夜になり、不意の大雨で近くのホテルに避難せざるを得なくなった。
空いていたのは一室だけ。
ビジネスホテルの一室は清潔は保たれているがチェズレイから見れば最低限だ。
浴槽に湯を張る音が聞こえて、すぐにバスタオルをルークが差し出してきた。
それを受け取りはしたものの、雨に濡れた体を拭きもしないでチェズレイが呟く。
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DONE「外套」「夜明け」「鏡」#チェズルク版ワンドロワンライ
全部は盛れなかった。出来てるタイプのチェズルク。モさんとモブもいる。
夜が明けてすぐ、目覚ましの音もしないうちにベッドを降りた。
新しいベッドは成人男性が二人寝ても余裕があるほどの大きさで、降りるときも音を立てない。
顔を洗って、着替える。ネクタイは意識しなくてもつけられるが、ガンホルダーの調整は念入りに。
最後にトレードマークとも言える外套を羽織る。
家を出る前に玄関の傍の全身鏡に向かってくるりと一回転。
シャツのボタンもずれていないし、もう寝癖もついていない。
腕輪も腕時計もばっちり身につけている。
他には問題はないと確認をしてひとつ頷く。
「行ってきます」
返事が返ってくる訳もないと言うのにいつものように呟いて、そっと家を出た。
人の気配がしない細い道で立ち止まり、振り返る。
すぐ近くでこちらを見ていた男に問う。
1355新しいベッドは成人男性が二人寝ても余裕があるほどの大きさで、降りるときも音を立てない。
顔を洗って、着替える。ネクタイは意識しなくてもつけられるが、ガンホルダーの調整は念入りに。
最後にトレードマークとも言える外套を羽織る。
家を出る前に玄関の傍の全身鏡に向かってくるりと一回転。
シャツのボタンもずれていないし、もう寝癖もついていない。
腕輪も腕時計もばっちり身につけている。
他には問題はないと確認をしてひとつ頷く。
「行ってきます」
返事が返ってくる訳もないと言うのにいつものように呟いて、そっと家を出た。
人の気配がしない細い道で立ち止まり、振り返る。
すぐ近くでこちらを見ていた男に問う。
azusa_n
DONE #チェズルク版ワンドロワンライ「しるし」「故郷」「子守唄」
「たとえあなたの望みでも」
全部乗せ!
でもこれチェズルクというかチェズ+ルクなのかもしんない?
越境ネタバレを含む。ホリバの暇な日かもうちょっと後くらいの時系列。
「門から50歩はまっすぐ進む。大きなドングリの木を右に回って30歩、ハスマリー中央市場への行き方の看板のところから左に5歩進んでから左に15歩、それから……」
青年の体に、どこか拙い喋り方。
本人の希望で退行催眠を行い、幼い頃の心を宿したルーク・ウィリアムズは地雷原の安全地帯の情報を惜しげもなく語っていく。
「貴重な情報をありがとうございます」
「きれいなお兄さん。おれ、役に立ったかな」
「ええ、この上なく。小さなヒーロー、あなたの証言はこの地域の平和にかかせないものですよ」
「良かった!」
眩い笑顔はこの頃から変わらない。
彼が大切に食べ進めるクッキーのかけらが口の端についているのをそっとハンカチで拭った。
「そろそろ眠そうですね。お話のお礼にあなたが眠るまで、どんなことでもお願いを聞くと言う約束でしたね。何をお望みか決まりましたか?」
1831青年の体に、どこか拙い喋り方。
本人の希望で退行催眠を行い、幼い頃の心を宿したルーク・ウィリアムズは地雷原の安全地帯の情報を惜しげもなく語っていく。
「貴重な情報をありがとうございます」
「きれいなお兄さん。おれ、役に立ったかな」
「ええ、この上なく。小さなヒーロー、あなたの証言はこの地域の平和にかかせないものですよ」
「良かった!」
眩い笑顔はこの頃から変わらない。
彼が大切に食べ進めるクッキーのかけらが口の端についているのをそっとハンカチで拭った。
「そろそろ眠そうですね。お話のお礼にあなたが眠るまで、どんなことでもお願いを聞くと言う約束でしたね。何をお望みか決まりましたか?」
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DONEお題:サプライズ/「信じてる」#チェズルク版ワンドロワンライ
ワンドロで終わるつもりで書き始めて2.5時間かかってる件
担当している事件の進展が見られないまま早三日、ルークが疲れた顔で職場を出て最初の曲がり角、一台の高級車が止まり、その後部座席の窓が開いた。
「ボス、お久しぶりです」
「え、チェズレイ? こんなタイミングで会えるなんて思わなかったよ」
「ちょっとしたサプライズですよ」
「まあ、君はいつも突然だもんな……。らしいと言うか何というか」
「フフ。…お仕事は終わったところでしょう?デートにお誘いしても?」
ルークは帰ったら溜まった洗濯を片付けて、そろそろ冷蔵庫の野菜を調理しようかと思っていたが、それくらいなら明日でもなんとかなる。思い直すと大きく頷いた。
「えー……、…と。 ……うん、食事くらいならいいよ」
「ありがとうございます。 では、どうぞこちらへ」
2534「ボス、お久しぶりです」
「え、チェズレイ? こんなタイミングで会えるなんて思わなかったよ」
「ちょっとしたサプライズですよ」
「まあ、君はいつも突然だもんな……。らしいと言うか何というか」
「フフ。…お仕事は終わったところでしょう?デートにお誘いしても?」
ルークは帰ったら溜まった洗濯を片付けて、そろそろ冷蔵庫の野菜を調理しようかと思っていたが、それくらいなら明日でもなんとかなる。思い直すと大きく頷いた。
「えー……、…と。 ……うん、食事くらいならいいよ」
「ありがとうございます。 では、どうぞこちらへ」
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DONEかくれんぼ/会いたかった#チェズルク版ワンドロワンライ
1.5hくらい。クリア時の全員退院した期間位のイメージで。モブいます。
ここは噴水のある公園。ミカグラに着いたその日に爆弾騒ぎがあった場所だが、今は人々の憩いの場としての役割を果たしている。
辺りを見渡しながら一人歩く僕はさながらミカグラに着いたばかりの観光客に見えることだろう。
もう何回も来ているから地理はわかっているんだけど。
チェズレイがここにいると言っていたはずだけれど、見当たらない。
あれだけ人の目を引くイケメンなら軽く見渡すだけでも人の…特に女性たちに囲まれているだろうに、人だかりが出来ているのは路上パフォーマーや屋台くらいで、どの人物も違う。
公園を一周ぐるりと歩く。
カップルも、家族連れも、友達同士も、ひとりで休憩する人も笑顔が多くて平和を実感する。
ついでに目にとまった屋台でACEくん柄の人形焼きを買う。いろんな餡のものを全部紙袋に入れてもらった中身は口に入れるまでわからない。食べるのが楽しみだ。買う際にも店員さんにとんでもないイケメンを見なかったか聞いてみたが、特に情報は得られなかった。
3029辺りを見渡しながら一人歩く僕はさながらミカグラに着いたばかりの観光客に見えることだろう。
もう何回も来ているから地理はわかっているんだけど。
チェズレイがここにいると言っていたはずだけれど、見当たらない。
あれだけ人の目を引くイケメンなら軽く見渡すだけでも人の…特に女性たちに囲まれているだろうに、人だかりが出来ているのは路上パフォーマーや屋台くらいで、どの人物も違う。
公園を一周ぐるりと歩く。
カップルも、家族連れも、友達同士も、ひとりで休憩する人も笑顔が多くて平和を実感する。
ついでに目にとまった屋台でACEくん柄の人形焼きを買う。いろんな餡のものを全部紙袋に入れてもらった中身は口に入れるまでわからない。食べるのが楽しみだ。買う際にも店員さんにとんでもないイケメンを見なかったか聞いてみたが、特に情報は得られなかった。
emotokei
PROGRESS第9回お題「野菜」お借りしました。#チェズルク版ワンドロワンライ
分厚い紙の束を取り出すと、つやつやとした様々な色合いが目に飛び込んでくる。
グリーン、ホワイト、パープル、レッド、イエロー……派手な色が多い割に、目に優しいと思えるのは、きっとそれらが自然と調和していた色だから、なんだろうな。
大ぶりの葉野菜に手をのばして、またよくわからない植物が入っているな、と首を傾げる。
世界中をひっちゃかめっちゃかにかき回し続けている「ピアノの先生」から送られてくる荷物は、半分が彼の綴るうつくしい筆致の手紙で、もう半分は野菜で埋め尽くされていることがほとんどだ。時折、隙間には僕の仕事に役立ちそうなので、等と書いたメモや資料が入っていることもある。惜しげもなく呈されたそれらに目を通すと、何故か自分が追っている真っ最中、外部に漏らしているはずのない隠匿された事件にかかわりのある証拠や証言が記載されていたりする。助かる……と手放しで喜べるような状況じゃないよな、と思いながらも、見なかったフリをするには整いすぎたそれらの内容を無視するわけにもいかず、結局善意の第三者からの情報提供として処理をすることにしている。とてもありがたい反面、ちょっと困るんだよなあ。
2091グリーン、ホワイト、パープル、レッド、イエロー……派手な色が多い割に、目に優しいと思えるのは、きっとそれらが自然と調和していた色だから、なんだろうな。
大ぶりの葉野菜に手をのばして、またよくわからない植物が入っているな、と首を傾げる。
世界中をひっちゃかめっちゃかにかき回し続けている「ピアノの先生」から送られてくる荷物は、半分が彼の綴るうつくしい筆致の手紙で、もう半分は野菜で埋め尽くされていることがほとんどだ。時折、隙間には僕の仕事に役立ちそうなので、等と書いたメモや資料が入っていることもある。惜しげもなく呈されたそれらに目を通すと、何故か自分が追っている真っ最中、外部に漏らしているはずのない隠匿された事件にかかわりのある証拠や証言が記載されていたりする。助かる……と手放しで喜べるような状況じゃないよな、と思いながらも、見なかったフリをするには整いすぎたそれらの内容を無視するわけにもいかず、結局善意の第三者からの情報提供として処理をすることにしている。とてもありがたい反面、ちょっと困るんだよなあ。
emotokei
DONE #チェズルク版ワンドロワンライ第8回お題「海」お借りしました。
――潮騒の音が聴こえる。
ミカグラは島だから、四方を海に囲まれている。
それはもちろん知っていたのだけれど、夏場と違って肌寒さを感じる時期しか知らなかったから、あまり実感はないままでいた。DISCARD事件の捜査の合間、海へ足を向ける事はついぞなかったし、労いにとナデシコさんが用意してくれた保養地は温泉で、長い時間を過ごしたマイカの里は山あいだ。
海沿いの街をそぞろ歩くことはあっても、潮の香りが届く場所には縁がないままこの土地を離れた。
だからこうやって、潮騒が耳に届く庭先でぼんやりと涼む時間を過ごすことは初めてだ。僕はと言えば、休暇中の穏やかな時間を存分に楽しんでいた。
久しぶりに訪れたミカグラは、ますますマイカの影響を受けているように見える。朱塗りの電柱にはびっくりした。小さな島で異彩を放つ高層建築が立ち並ぶ中、平屋や二階建ての慎ましやかな家が新たにいくつも軒を連ねていた。事件の直後には、ほとんど木造の家なんてなかったけれど、マイカの里のひとたちが少しでも穏やかな気持ちで暮らせるようにと、ブロッサムの人たちが心を砕いた結果なのだと、コズエさんが嬉しそうに話していたことを思い出す。
3227ミカグラは島だから、四方を海に囲まれている。
それはもちろん知っていたのだけれど、夏場と違って肌寒さを感じる時期しか知らなかったから、あまり実感はないままでいた。DISCARD事件の捜査の合間、海へ足を向ける事はついぞなかったし、労いにとナデシコさんが用意してくれた保養地は温泉で、長い時間を過ごしたマイカの里は山あいだ。
海沿いの街をそぞろ歩くことはあっても、潮の香りが届く場所には縁がないままこの土地を離れた。
だからこうやって、潮騒が耳に届く庭先でぼんやりと涼む時間を過ごすことは初めてだ。僕はと言えば、休暇中の穏やかな時間を存分に楽しんでいた。
久しぶりに訪れたミカグラは、ますますマイカの影響を受けているように見える。朱塗りの電柱にはびっくりした。小さな島で異彩を放つ高層建築が立ち並ぶ中、平屋や二階建ての慎ましやかな家が新たにいくつも軒を連ねていた。事件の直後には、ほとんど木造の家なんてなかったけれど、マイカの里のひとたちが少しでも穏やかな気持ちで暮らせるようにと、ブロッサムの人たちが心を砕いた結果なのだと、コズエさんが嬉しそうに話していたことを思い出す。
emotokei
DONE #チェズルク版ワンドロワンライお題「眠り」お借りしました。
付き合ってます。事後です。
「眠れないのですか?」
何度か寝返りを繰り返していたら、優しくてどこか蠱惑的な声が耳をくすぐる。
自分よりも冷たいしなやかな手が額を滑るように髪をかき上げて、こめかみあたりに口付けられた。幼い子供相手にするような触れるだけで離れていくキスを幾度も受けて、くすぐったさにクスクス笑いが零れる。
「眠れないわけじゃない……と、思うんだけどさ」
目を閉じていると、視覚以外の感覚が過敏になる。ふわりと甘い香りが届いて、心臓がひときわ大きく跳ねた。。菓子や蜜に与えられるどこか安心する甘さじゃなくて、鳥や虫へ誘いをかける花の少し不穏でけだるい甘さだ。発散したはずの熱がじわりと集まりかけたけれど、意識的に切り離した。
1193何度か寝返りを繰り返していたら、優しくてどこか蠱惑的な声が耳をくすぐる。
自分よりも冷たいしなやかな手が額を滑るように髪をかき上げて、こめかみあたりに口付けられた。幼い子供相手にするような触れるだけで離れていくキスを幾度も受けて、くすぐったさにクスクス笑いが零れる。
「眠れないわけじゃない……と、思うんだけどさ」
目を閉じていると、視覚以外の感覚が過敏になる。ふわりと甘い香りが届いて、心臓がひときわ大きく跳ねた。。菓子や蜜に与えられるどこか安心する甘さじゃなくて、鳥や虫へ誘いをかける花の少し不穏でけだるい甘さだ。発散したはずの熱がじわりと集まりかけたけれど、意識的に切り離した。
emotokei
DONE #チェズルク版ワンドロワンライお題「髪」お借りしました。
ED後の設定です。
年齢制限の必要な表現はありませんが
致しているのでご注意ください
「どうぞ、お入りください」
馥郁たる紅茶に琥珀の蜜をひとしずくたらしたような、やわく甘い声が耳に響く。
久々に直接顔を合わせて、ホテルで食事を楽しんだ後、部屋に招き入れられる。自分のことを、友人として以上に好きだと告げる相手から誘いを受けるその意味を、流石に理解しているつもりだ。
チェズレイのいる部屋の中と、僕が佇んでいる廊下。
隔てる扉の内側に足を踏み入れることがどういうことがわかっているからこそ、思わず足を止めた。
そんな僕に気付いているのに、視線で促されることすらなく、チェズレイはただその場所に在り続ける。
いっそその手で引き寄せてくれれば……! 責任転嫁みたいに浮かぶ考えに、小さく溜息を吐いた。
1383馥郁たる紅茶に琥珀の蜜をひとしずくたらしたような、やわく甘い声が耳に響く。
久々に直接顔を合わせて、ホテルで食事を楽しんだ後、部屋に招き入れられる。自分のことを、友人として以上に好きだと告げる相手から誘いを受けるその意味を、流石に理解しているつもりだ。
チェズレイのいる部屋の中と、僕が佇んでいる廊下。
隔てる扉の内側に足を踏み入れることがどういうことがわかっているからこそ、思わず足を止めた。
そんな僕に気付いているのに、視線で促されることすらなく、チェズレイはただその場所に在り続ける。
いっそその手で引き寄せてくれれば……! 責任転嫁みたいに浮かぶ考えに、小さく溜息を吐いた。
emotokei
DONE #チェズルク版ワンドロワンライお題「メイク」お借りしました。
作中から3年くらい経ってる設定です。
朝も、昼も、夜も、チェズレイのメイクは崩れない。
例えば世の女性は、化粧は毎日落とさないとすぐに肌が荒れてしまうなんて言っていたけれど、彼にそういう懸念はないんだろうか。
「チェズレイの目元のそれって、メイク……だったよな?」
「ええ、よろしければ、触れてみますか?」
「え、いいのか?」
「他でもないあなたですから……触れてみたいなら、どうぞお好きに」
思わせぶりな嘯きにどきりとしたけれど、チェズレイに他意がないことはわかっている。
潔癖症のきらいがあるということは、本人からも聞いていたし、モクマさんからも言われていた。けれど、彼は僕に対しては、どれだけでも障壁を取り除く気持ちでいてくれるらしい。
許しを得た誘惑に抗えず、おそるおそる手を伸ばす。
897例えば世の女性は、化粧は毎日落とさないとすぐに肌が荒れてしまうなんて言っていたけれど、彼にそういう懸念はないんだろうか。
「チェズレイの目元のそれって、メイク……だったよな?」
「ええ、よろしければ、触れてみますか?」
「え、いいのか?」
「他でもないあなたですから……触れてみたいなら、どうぞお好きに」
思わせぶりな嘯きにどきりとしたけれど、チェズレイに他意がないことはわかっている。
潔癖症のきらいがあるということは、本人からも聞いていたし、モクマさんからも言われていた。けれど、彼は僕に対しては、どれだけでも障壁を取り除く気持ちでいてくれるらしい。
許しを得た誘惑に抗えず、おそるおそる手を伸ばす。
emotokei
DONE #チェズルク版ワンドロワンライお題「星」お借りしました +15min
ED後の設定です。
少し静養を取った方が良い、と。
突然あらわれたチェズレイに、ほとんど着の身着のまま攫われたのは、職場から休暇を取るように言われた翌日のことだ。
たまりにたまった代休を消化するといっても、特にすることもなくてどうしようかなと考えていたところへ、不意を突くようにチェズレイが突然現れた。
当たり前のように帰宅したら家にいたのは、正直なところどうかと思う。アーロンといい、チェズレイといい、せめて玄関から入ってきてほしい。言ってくれれば鍵を渡すのに、と溜息を吐くのはいつものことだ。
連れてこられた先は、ログハウスのような場所だった。チェズレイのチョイスにしてはなんだか不思議なくらい素朴な場所だ。それが顔に出ていたのか、このこじんまりした木目調の空間を選んだのはモクマさんだと種明かしを受ける。けれど、当の本人は邪魔をしたくないからね、と来ないらしい。
1845突然あらわれたチェズレイに、ほとんど着の身着のまま攫われたのは、職場から休暇を取るように言われた翌日のことだ。
たまりにたまった代休を消化するといっても、特にすることもなくてどうしようかなと考えていたところへ、不意を突くようにチェズレイが突然現れた。
当たり前のように帰宅したら家にいたのは、正直なところどうかと思う。アーロンといい、チェズレイといい、せめて玄関から入ってきてほしい。言ってくれれば鍵を渡すのに、と溜息を吐くのはいつものことだ。
連れてこられた先は、ログハウスのような場所だった。チェズレイのチョイスにしてはなんだか不思議なくらい素朴な場所だ。それが顔に出ていたのか、このこじんまりした木目調の空間を選んだのはモクマさんだと種明かしを受ける。けれど、当の本人は邪魔をしたくないからね、と来ないらしい。