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    ouse_kaeden

    みぃけとごぅたべていきてる

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    ouse_kaeden

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    ラクガキ、になるんかな。これも
    診断メーカーで出た
    『おうせ本丸のくわぶぜのBL本のタイトルは「シーツの波間で待っている」で、帯のフレーズは【 身体だけでも愛して欲しかった 】です。』をちょっぴりと

    ぶぜの「存在感すごいのに、何だか希薄」という雰囲気やばい…

    #くわぶぜ

    目を覚ますと…背後から緩やかな寝息が聞こえて来た。
    「…………」
     そうだな。夜明けがくるにゃあまだ早い。
     ふわりとあくびをつきながら…俺はその場に起き上がる。
     腰に回っていた桑名の腕が、へたりと敷布の上に滑り落ちた。



     昨夜の事は全部覚えている。
     呑んで。酔って。

    「自分の事なのにさ、俺は自分が今…本当に在んのか。正直わかんねぇんだ」

     言葉が零れる。

    「確実なのは、俺という自覚を持つこの身体だけ。振るう本体だって…結局は主に与えられた仮初の器だから…」

     考える事すら億劫で…
     だけど気持ちかひどく逸る。

    「……布団敷いてくるから、少し休みなね?」

     ふわっと笑う桑名の声。
     いつものように優しくて……

    「大丈夫?立てるかい」
    「…………」
    「そんな風に見上げてくるだけじゃ、解んないよ」

     なぁ。この戦が終わって…
     俺たちが全て本霊のもとに帰るとして。
     だけど。
     もしも…俺の寄る辺が逸話だけであったのなら。

    「わり…確かに深酒しちまったみてぇだ」
    「うん」

     当たり前のように桑名が俺を抱き上げる。
     多分…立てないと判断してなのだろう。
     善意と合理性だけと思われるこの行動と…寝かしつけられるほんの数歩の道中。
     あたたかくて…何だかひどくさびしくて。
     寝床に降ろされたその瞬間。その背に腕を回して縋りつき…
    「俺にゃ…今はこの身体だけしかねぇ。だから…それだけでいいから……」

     かげろうのような俺の中に、いつの間にか強く根付いたこの感情。
     酔ったことを言い訳に、桑名の目の前に曝け出してやる。

    「愛してくれねぇか…」



     桑名が俺の望みに応えてくれたのは、あいつもそれなりに酔っていたから。
     きっとしらふだったら…問答無用に布団被せられていただろう。

     だからこれは夢でいい。
     仮初であるとは言えど…この先の戦いはきっと長く激しくなるだろうから。
     朝になったらいつものように…
     気のいい仲間同士で居ようじゃないか。

    「……こら。豊前」

     不意に声をかけられ、ドキリと心臓が跳ね上がった。

    「また、しょうがない事考えてたでしょ」

     そして落ちた筈の腕が再び俺の腰に回り込む。

    「身体だけとか…いきなり居なくなろうとしようとか…そういうさびしい事、しないでよ」
    「桑名…」
    「君はいる。打たれたかたなも…この身体も…僕にくれた気持ちも…」

     ひとつひとつ。
     てのひらであたためるように…

    「全部、大事におぼえておくから」

     鼻の奥がツン、と痛み…自然と涙が滲み出る。

    「桑名ぁ…」
    「なに?」
    「…鼻が、痛ぇ……」
    「なんでさ」

     驚き起き上がる桑名の胸に思いっきり飛び込めば、「そんなに痛いの?」と慌てふためく声がする。

     ごめんな桑名。
     正直言えばそこまで痛くはない。
     だけど……

     色々カッコ悪かった所に更に泣いちまうとか…メチャクチャカッコ悪すぎるんだよ。
     本当にさぁ。
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    ouse_kaeden

    DOODLEラクガキ、になるんかな。これも
    診断メーカーで出た
    『おうせ本丸のくわぶぜのBL本のタイトルは「シーツの波間で待っている」で、帯のフレーズは【 身体だけでも愛して欲しかった 】です。』をちょっぴりと

    ぶぜの「存在感すごいのに、何だか希薄」という雰囲気やばい…
    目を覚ますと…背後から緩やかな寝息が聞こえて来た。
    「…………」
     そうだな。夜明けがくるにゃあまだ早い。
     ふわりとあくびをつきながら…俺はその場に起き上がる。
     腰に回っていた桑名の腕が、へたりと敷布の上に滑り落ちた。



     昨夜の事は全部覚えている。
     呑んで。酔って。

    「自分の事なのにさ、俺は自分が今…本当に在んのか。正直わかんねぇんだ」

     言葉が零れる。

    「確実なのは、俺という自覚を持つこの身体だけ。振るう本体だって…結局は主に与えられた仮初の器だから…」

     考える事すら億劫で…
     だけど気持ちかひどく逸る。

    「……布団敷いてくるから、少し休みなね?」

     ふわっと笑う桑名の声。
     いつものように優しくて……

    「大丈夫?立てるかい」
    「…………」
    「そんな風に見上げてくるだけじゃ、解んないよ」

     なぁ。この戦が終わって…
     俺たちが全て本霊のもとに帰るとして。
     だけど。
     もしも…俺の寄る辺が逸話だけであったのなら。

    「わり…確かに深酒しちまったみてぇだ」
    「うん」

     当たり前のように桑名が俺を抱き上げる。
     多分…立てないと判断してなのだろう。
     善意 1247

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