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    ouse_kaeden

    みぃけとごぅたべていきてる

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    ouse_kaeden

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    リク×ガチャ×ワンドロ
    ……の筈が二時間近くなっちゃいました( ・ω・)ゞ

    大包平と親子。なんかほのぼのホラー

    #ワンライ
    oneLai
    #刀剣乱舞
    Touken Ranbu

    きんぎょのむすめ ふと見下ろせば、俺の視界に泣きじゃくる幼女の姿があった。
     歳の頃は五つあたり……まだ「かみ」の手元に居るくらいだろうか。

     どんどんひゃらら……
      ぴぃひゃらら……

    「うわぁーん!あーんあーん」

     あたりに響くは祭囃子と人波が生む喧噪。
     誰ひとりとしてこの娘に気付くわけもなく。

     頭に揺れる大きな赤い花の髪飾りと、ゆらゆらとひらめく兵児帯。
     ああ、まるでこの子は大きな水槽を泳がされ迷子になった金魚すくいの金魚のようだ。

    「おい、どうした」
     金魚すくいなら、今ここですくってしまおうか。
     俺はそんな事を考えながら、娘のそばにしゃがみ込む。
    「……ふぇ……?」
     我に返った娘は俺を見上げると突然「うひゃあ!」と声を上げた。
     …その理由は、何となく見当がついた。
    「そんなに驚かせてしまったか?すまない。だが俺もこれ以上小さくなるのは無理なのだ」
    「……ふぇ…ぅ…え、と……」
     俺のかけた言葉に戸惑っていてようだが、どうやら娘は少しずつ落ち着きを取り戻してくれているらしい。
    「ああ、そうか。俺は大包平。お前が泣いているのが気になってこうして今話しかけた所だ」
    「おおかね、ひら?」
    「そうとも、大包平だ。で…お前は何か困った事でもあったのか?」
     暫し娘は俺の顔を不思議そうにじっと見つめていた。
     まぁ、無理もあるまい。
    「あのね、まいごになっちゃったの……おかあさん、いなくなっちゃったの……」
     そしてこの言葉も案の定。
    「お前の母は、この祭の中に居るのか?」
     俺は祭囃子の方を向く。
    「……うん」
     娘は小さく……だが確信をもって頷いた。
    「ならば、やれる事はこの位か」
     俺は娘に立ち上がるよう促した。

     そして。

    「うわぁ!」
    「この位置ならお前の母も見つけやすかろう。心配するな、この大包平が付いている。頑張って探すぞ」

     俺は娘を肩車すると祭の喧騒の中へと足を踏み出した。



     すれ違う家族連れや、若者たち。
     木製、これはせるろいど製…だろうか。皆それぞれ思い思いに面をかぶり、そのいでだちも浴衣であったり今様であったりと様々だ。
     突き当りに差し掛かればそこには広場があり、小ぢんまりとはしているものの…この場に居るものたちで協力し飾り立てたのであろうか。素朴だが明るく華やぐような雰囲気に包まれた祭櫓がそのど真ん中に組まれていた。

     ―続いては東京音頭。炭坑節。ドンパン節の三曲となります。

     祭櫓につ萎えつけられた拡声器からそんな言葉が響き、続いて音楽が流れだす。

    「ここにはいるか?」
     俺の問いに娘は小さく首を振った。
    「まぁ、皆面をかぶっている。見つけにくいのは当然やもしれんな」

     娘は俺の頭にひしと縋り付いてきた。
     顔は見えぬが、きっと今にも泣きそうになっている。俺はそう感じた。

     ……すぅ。

    「おかあさーん」
     俺はありったけの声で叫んだ。
    「」
    「どうした?見つけにくいのであればいっそ大声で呼べ。そしてお前の母に気付いてもらおう」
     娘は暫し沈黙した。が、やがて俺に負けじと声をあげる。
    「おかぁさぁーん」
    「そうだ!おかあさーん」

     祭囃子にも。盆踊りの音楽にも。祭に溢れる喧騒にも。
     この大包平、絶対にこの娘をかき消させたりはしない。
     声を上げ、辺りを練り歩き。俺と娘は呼びかけ続けた。

     それから、どのくらいたっただろうか。

     広場の片隅に佇む朝顔柄の浴衣の女性の姿が俺の目に留まった。
     多くのものが面を被っている中で、その女性は狐面を頭の上にあげている。

     ああ。彼女こそが、この娘の母親か。
     俺はそう確信した。

    「おかあさん!」
     娘もその存在に気が付いたらしい。
    「ああ、そうだな。行こう」
     俺はその女性へと近づいた。



    「ああ、すまない」
    「はい?なんでしょうか」
    「この娘は、あなたの子ではないだろうか?」
    「!」
    「誰にも気づかれず泣いていたのを偶々俺が見つけた。ずっと、ずっとあなたを探していたようだ」
    「……」
    「どうか自分を責めないで欲しい。盆踊りでは皆が面をかぶる。生者も死者の境界が曖昧になるから」
    「………」
    「あなたの娘は勇気のある子だった。蹲るのをやめ、最後には俺と共に声を上げた。そして」
    「……はい」
    「その言霊があなたの方へと導き…そしてあの子は気が付いたのだ」
    「………」
    「……迎えて、やりなさい。今度はあなたが気が付く番だ」

     母親は両手に真っ赤な髪飾りを握り締め、その場で声を殺し涙を流す。
     ちいさく「おかえりなさい」そう呟いて。

     おおかねひら、ありがとう。

     どこかで小さな声がきこえる。

    「ああ。縁があったら……いずれどこかでまた会おう。この大包平、地味な仕事と待つことには慣れている」
     軽やかな笑い声と共に、心の片隅で小さな赤い金魚が弧を描いた。
     そんな気がした。



                        了

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    ouse_kaeden

    DOODLEラクガキ、になるんかな。これも
    診断メーカーで出た
    『おうせ本丸のくわぶぜのBL本のタイトルは「シーツの波間で待っている」で、帯のフレーズは【 身体だけでも愛して欲しかった 】です。』をちょっぴりと

    ぶぜの「存在感すごいのに、何だか希薄」という雰囲気やばい…
    目を覚ますと…背後から緩やかな寝息が聞こえて来た。
    「…………」
     そうだな。夜明けがくるにゃあまだ早い。
     ふわりとあくびをつきながら…俺はその場に起き上がる。
     腰に回っていた桑名の腕が、へたりと敷布の上に滑り落ちた。



     昨夜の事は全部覚えている。
     呑んで。酔って。

    「自分の事なのにさ、俺は自分が今…本当に在んのか。正直わかんねぇんだ」

     言葉が零れる。

    「確実なのは、俺という自覚を持つこの身体だけ。振るう本体だって…結局は主に与えられた仮初の器だから…」

     考える事すら億劫で…
     だけど気持ちかひどく逸る。

    「……布団敷いてくるから、少し休みなね?」

     ふわっと笑う桑名の声。
     いつものように優しくて……

    「大丈夫?立てるかい」
    「…………」
    「そんな風に見上げてくるだけじゃ、解んないよ」

     なぁ。この戦が終わって…
     俺たちが全て本霊のもとに帰るとして。
     だけど。
     もしも…俺の寄る辺が逸話だけであったのなら。

    「わり…確かに深酒しちまったみてぇだ」
    「うん」

     当たり前のように桑名が俺を抱き上げる。
     多分…立てないと判断してなのだろう。
     善意 1247

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    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ「誕生日」
    いつものハードプレイしている時空のあまあま誕生日。ノーマルなえっちをしたことがない二人にとっては特別なのは普通のことでしたとさ。
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    『ああ、イデアさん。こんなところで会うなんて偶然ですね。そういえば今日、あなた 2794

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     あれは随分前のことだ。といっても、数か月程度のことだけれども。
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     何がきっかけだったか、部活の最中にひとしきり笑った後で、アズールはそうポツリと漏らしてしまった。気が緩んでいたのだ。口から零れ落ちた本音は、もう取り消せない。見れば、ポカンとした顔のイデアがこちらを見つめている。
     まずい。
     一瞬でアズールは、それまでの本気で笑っていた表情をいつもの営業スマイルへと切り替えた。
    「本当に、かわいい人だ」
     繰り返すことで、言葉に含まれた真実を、嘘で上塗りする。我ながら咄嗟の判断でよくできたと思う。思惑通り、イデアは顔をしかめて、「そーいう煽り、キツいっすわ」と溜息を吐いた。よかった。本音だとは思われなかったようだ。アズールはイデアに気付かれないように、そっと胸をなでおろした。



     陸の事はよく勉強したから知っている。人間は、一般に同性同士や親族間で番にはならない。今でこそ理解の必要性が問われ、寛容な社会の形成が始まっているとは言うけれど、それでも一般的なことではないのだ。多種多様な生態を持ち、性的タブーの形が全く異なる人魚の 3062

    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ
    カプ無しベスティ小話
    お題「同級生」
    「はぁ……。」
    「んんん? DJどうしたの?なんだかお疲れじゃない?」

    いつもの談話室でいつも以上に気怠そうにしている色男と出会う。その装いは私服で、この深夜帯……多分つい先ほどまで遊び歩いていたんだろう。その点を揶揄うように指摘すると、自分も同じようなもんでしょ、とため息をつかれて、さすがベスティ!とお決まりのような合言葉を返す。
    今日は情報収集は少し早めに切り上げて帰ってきたつもりが、日付の変わる頃になってしまった。
    別に目の前のベスティと同じ時間帯に鉢合わせるように狙ったつもりは特に無かったけれど、こういう風にタイミングがかち合うのは実は結構昔からのこと。

    「うわ、なんだかお酒くさい?」
    「……やっぱり解る?目の前で女の子達が喧嘩しちゃって……。」
    「それでお酒ひっかけられちゃったの?災難だったネ〜。」

    本当に。迷惑だよね、なんて心底面倒そうに言う男は、実は自分がそのもっともな元凶になる行動や発言をしてしまっているというのに気づいてるのかいないのか。気怠げな風でいて、いつ見ても端正なその容姿と思わせぶりな態度はいつだって人を惹きつけてしまう。
    どうも、愚痴のようにこぼされる 2767

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ第21回お題「お菓子」お借りしました!
    なんかキャンディキスの話を書こうかなと思って、詳細を調べようとしたらマシュマロをちゅっちゅするとそれっぽい感じがするという記事が出てきたので、これアズイデちゃんでやってたらかわいいなあ、と思って書いてみました。
    なお全く描写してませんが、アズールもめえっちゃ練習はしてます。努力の君だもんね。
    イデアはオルトがスリープモードに入ったことを確認すると、いそいそと机の引き出しに隠していた紙袋を取り出した。中に入っているのは、マシュマロとチョコレート、それにキャンディだ。なんのやましいところもないお菓子……なのだが。イデアはそれをこそこそとベッドの上に並べて、溜息を吐き出した。
     そう、これらはイデアにとっては、恥ずかしい品物……つまり、彼はキスの練習をしようとしているのだった。


     経緯を簡単に説明すると、イデアは部活の後輩アズールとお付き合いをする関係になった。アズールが了承してくれたのは奇跡だと思っているし、未だに彼が自分のことを本当に恋愛対象として見ているかどうかは怪しいのだけれど、とにかく、関係は築けたのだ。これまで、部屋デートのようなことや、スキンシップは繰り返してきた。次は、キスだ。年上であるからして、こういうことはイデアがリードするべきだろう、と思っている。しかし、やり方を全然知らない。
     そこで頼ったのがネットの知恵だ。キスをするにはまず清潔感、そしてムード、ダメ押しにテクニック。イデアは熱心に記事を読み漁って、念入りに歯磨きをするようになり、練習に踏み出そうと 2823

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ「カップ」
    前回の「誕生日」の前、アズール視点の話。バグったアズールが双子に相談しているだけの話です。
    「おまえたち。イデアさんへの誕生日プレゼントに何を贈ればいいと思いますか」
     アズール・アーシェングロットがソファに腕組みをしたまま腰かけ、そう尋ねて来たのは11月18日の夜であった。テーブルの上には会計書や誓約書が束になっており、それを整理していたジェイドと、ソファに靴を履いたまま転がっていたフロイドがアズールを見る。
    「おまえたちの考えを聞かせてもらいましょう」
    「えー、なんでオレたちがアズールのプレゼントを考えなきゃいけねえの」
    「僕たちより、あなたのほうがイデアさんのことは詳しいでしょう?」
     リーチ兄弟の言葉に、アズールは「ふぅ」と溜息を吐いた。
    「いいですか? 僕とイデアさんの関係については、二人共理解していますよね」
    「恋人同士、ということですね」
    「そんな身内のプライベートなこと、オレ、首つっこみたくねぇんだけど」
     フロイドが嫌そうな表情を浮かべている。ジェイドも「できれば先に会計書を処理したいのですが」と顔に書いてあったけれど、アズールは無視して続けた。
    「そんな僕が、イデアさんへのプレゼントに失敗したとしましょう。どうなると思います? ああ、僕はショックのあまり会 2934

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