ヒール男士のすゝめ 時折短刀たちが竹馬に乗ったり、丈の高い男士に肩車されている姿を見かける。大太刀や槍、薙刀とは大変な身長差であるから随分と視界が変わる事だろう。
大きいと言えば兄弟こと大典太光世も太刀の中では上背があり、猫背気味ではあるものの数値上で俺とは10㎝以上離れている。190㎝の視界、気にならない訳がない。いつも一緒にいる兄弟の視界であるから尚更だ。
さて、この12㎝の距離をどう縮めたものか。竹馬では大げさすぎるし、かと言って俺の履き物ではそこまでの高さは出ない。
ここはかかとの高い靴を履き慣れた奴に聞いてみるかな。一番始めに思い至ったのは可愛いが口癖の赤い彼だった。
「12㎝ー?さすがにそこまで高くないよ、これ」
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