プロローグーごめんなさい。
誰も居ない真っ白な空間のどこからか、女性が謝る声が聞こえる。これは何度か見た事のある夢だ。
ーごめんなさい。
この声はどこかで聞いたことがある。優しくて懐かしい声。だけど何故かこの声を聞いていると嫌な気持ちになる。
ーごめんなさい。
そんな俺の気持ちなんて気にせず、謎の声は謝り続ける。この夢は見慣れているが声を聞いて陥るこの感覚…嫌な記憶を思い出させようとしてくるかのような感覚にはまだ慣れない。
ーごめんなさい。
思い出したくない。大嫌いなあの記憶。声が聞こえる度に少しずつ思い出してしまう。
ーごめんなさい。
もうこれ以上思い出したくない。なんでこんな思いしなきゃダメなの?俺は何もしてないのに…。
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