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    カヲシン版深夜創作60分1本勝負
    お題:夜更かし

    共犯者 こんなことして、悪い子になったみたいだ。
     そう蜜のようにどろりとした言葉は、先ほどまで声にならない声がいくつも浮かんでいた空間へ少しの痛みを抱えながら混じっていった。普通の人間ならばなんとなく居たたまれなくてそのままスルーしてしまうような、そんな言葉。しかし隣で横たわっていた渚には、そうシンジが発した理由がまるで分からなかった。好き嫌いは分かるし、善悪の区別だって一応つく。けれど人間の心情の機微に関しては、渚の理解度は生まれたての赤ん坊とそう変わりはしなかった。
    「悪い子?」
     安っぽい糊づけが施されたシーツの海の中で、渚が疑問をそのまま口にする。お互いに、服は着ていなかった。というより、シンジがこの部屋に身を寄せるようになってから服を着ている時間より着ていない時間の方がもはや長い。
    「綾波が死んで、アスカも大変なことになったのに……君とこんな夜遅くまで、あんなことしてる」
    「それって悪いことなの?」
    「……悪いことだろ」
     そう言ったきり黙りこくってしまったシンジに、渚は分からないなァ、と胸の中で独り言つ。けれどシンジのそういうところが、渚は好きだった。悩みがちで、なんだかんだ真面目で、自分とセックスまでしているくせに一向に甘えてきたりなんかしない。

     そこが厄介。そこが面倒くさい。そこが可愛い。

     だから、側にいる。彼が欲しがるならセックスだってする。きっと自分が相手じゃなくてもいいんだろうな、と渚は分かっていた。シンジはきっと誰だって良かったのだろう。自分に気を遣わない相手なら誰でも。でも、だからこそ、渚は自分が選ばれたことを嬉しく思っていた。
     美しい、と信じて疑っていなかった。シンジ本人がどう思っていたとしても。渚はシンジ以上に繊細で美しいものを見たことが無かった。
     老人たちは人類のことを愚かな生き物だと言っていたけれど、あんなのは嘘っぱちだ。あんなところに引きこもっているから視野が狭いのだ。
    「そうだね。なら、悪い子なんじゃない」
     けれど、と思う。
     清く正しく美しいものを自分の色に染めるのはあまりにも快感だった。ほの暗い闇の中でそっと光を灯すような行為だった。更けていく夜の中で、シンジが曝け出すエゴは渚の胸の中を酷く焦がした。
    「でも、僕はそれで良かったと思ってるよ」
     遠くないうちに来る、終わりの時に思いを馳せる。
     だって悪い子じゃなきゃ、僕を殺せはしないだろう。


     * * *


     本当は一度だけ、遠い昔に渚はシンジに出会ったことがある。
     ユイに連れられて研究所にやって来たシンジがたまたま迷子になってしまい、そこを脱走常習犯であった渚が助けたのだ。泣いているシンジの手を引いて、大人たちがいそうな場所へ導いてやった。あの、研究所を彷徨う時間が永遠に続けば良かったのに、と渚は思う。もしくは自分の部屋に閉じ込めてしまえば良かった。そしたらもっと彼を悪い子にできたかもしれない。

     あの時と反対じゃん、とシンジの手に絞め殺されながら渚は思う。あの時幼いシンジの手を握ったら、彼は優しく握り返してきた。あれが、渚が初めて人と触れた瞬間だった。そしてその皮膚から伝わる体温に、手を離したくないと思った。そんなことは出来なかったけれど。絶対に出来なかったけれど。
     ねぇ、僕のせいで、君はもっと悪い子になるね。遠のく意識と苦痛、そして満足感の中で渚は笑う。でもね、僕はそんな君が大好きだよ。


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    mifuji0530

    SPOILER長編「ただしい愛人の作り方」プロットです。
    かなり長いです。完全ネタバレなのでご注意ください。
    (どんな話か知りたいけど全部読むのはな~という方や、全部読んだけどこのエピソードが何話にあったか思い出したい!という方におすすめです)(ただし話数の区切りは実際にアップしたものと異なる可能性もあります。すみません…)
    「ただしい愛人の作り方」プロット【人物設定】
    ★オメガバース庵53パロ
    カヲル:ドイツに縁を持つゼーレ財団の若き理事。29歳。日本を拠点としている化粧品メーカーの代表。純血のαであり、正妻となるαのフィアンセがいる(純血を守るためであり、正妻からは愛されているがカヲル自身は何とも思っていない)。
    昔からよく命やその立場を狙われることが多く、また両親は幼い頃に亡くなったということもあり、基本的に人間というものを信用していないし愛というものは全てまやかしだと思っている。
    しかしシンジと出会って彼の思いやりに触れてからは彼のことが好きになり態度も軟化させていく。

    シンジ:14歳のΩ。元々没落貴族であり、ほぼ一般人のような暮らしをしていたが両親が急死。その後しばらくは一人で暮らしていたものの、家賃や光熱費、何より抑制剤が払えなくなり困っていてパパ活をしていたところ(Ωとはいえども中学生ということもあり、食事のみだったのであまり稼げなかった)で両親の知り合いであるゼーレの会長(カヲルの祖父)がカヲルを頼るようサポートしてくれる。不自由なく大人になるまで面倒を見てやるから、αであるカヲルの愛人となってくれと頼む(シンジはそれを知らず、カヲルからそれを聞かされる)(しかしカヲルは未成年に手を出す趣味はないと言い、何の条件もなく普通に暮らしていいと告げる)。
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    mifuji0530

    DONE人間Q5×サキュバスQ3くんのお話です。
    強い魔力を手に入れるため、餌場である人間界にやって来たQ3くん。Q5くんを自分の餌として契約したはいいものの、Q5くんは実は不能で──というお話です。

    10月30日のカヲシン版深夜創作60分1本勝負の「お題:イタズラしちゃうぞ!」投稿作品です。
    サキュバスくん、逆襲される。 僕の搾精対象である人間・渚カヲル君はとってもかっこよくて、性格だって優しいし、何不自由ない暮らしをさせてくれるし、所謂『当たり』の部類なのだと思う──たった一つのことを除けば。

    「碇君、君がそうして涙目になりながら僕に跨っているのは本当に煽情的だし、いつまでだって眺めていたいと思っているよ」
    「ならっ、いい加減勃起してよ!」
    「……面目ないね」

     申し訳なさそうに謝る渚君に、僕も何も言えなくなって口をつぐむ。分かっている、渚君が悪いわけじゃない。彼だって自分が不能であることに悩んでいるのは知っているし、そもそも責めてたって仕方のないことだ。そう、分かってはいるけれど。
     むすっと頬を膨らませながら、渚君に身体を預けるようにして寝そべる。もう何日、精子を摂取していないだろう。代わりに人間界の食事だったり渚君の体液──主にはよだれ──を摂取しているけれど、それらはあくまでも代替品。強い魔力を手に入れるための修行として餌場である人間界へ降りたのに、こんなんじゃ天界にいた方が豪華な暮らしをしていたに違いない。
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