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    はるしき

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    はるしき

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    むそ軸りゅがとき落書き

    ##トキ受け

    Journey別れを惜しむ村人たちに別れを告げたトキは、その存在に気が付きふと立ち止まった。
    トキの目の前。ぶるる、と頭を振る馬に掛けられた手綱を握り、トキを真正面から見つめる男がいた。
    「リュウガ」
    トキが男の名を口にすると、男は瞬きでトキの声に応える。
    リュウガ。乱世を治める戦いの中で、幾度となくトキの背を守った、天狼の星の元に生まれた男。
    端正な顔を持つ男は、ゆっくりと口を開いた。
    「行くのだろう」
    リュウガの言葉に、トキは小さく頷く。
    未だ各地で混乱が続いているであろう世界。人々の心を癒やすのもトキの宿命。
    その定めの元、トキは村を発ったばかりだった。
    「俺も行こう」
    リュウガが続けた言葉。それは、馬が二頭待っている時から、薄々トキは勘づいていた。
    リュウガは北斗を戦場へと導く天の狼。
    ならば、戦が終わった後。狼は救世主を、この世界のどこへ導くか。
    トキはふ、と小さく息を漏らし、口元に笑みを浮かべる。
    「ありがとう、リュウガ」
    天狼が導くのはきっと、争いの芽が顔を出さんとする、未だ人心が揺らぐ混迷の地であろう。
    ならば、トキにとっても都合がいい。
    なにより。
    「お前がいてくれれば、心強い」
    戦場で幾度となくトキの背を支えたリュウガがいれば。
    トキは知らずのうちに上がる僅かな熱に心を躍らせる。
    この昂り、感情に未だ名前は、無い。
    トキの言葉に目を細めたリュウガは、手綱をトキに差し出す。
    言葉はなくとも。トキはリュウガから手綱を受け取り、馬に跨った。リュウガもまた、馬に跨る様子が見えた。
    どちらともなく、蹄の音を立たせ馬は並んで歩き出す。トキとリュウガを乗せて。


    (さぁ、どこへ行こうか)
    (あなたと一緒に、どこまでも)
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