吟詠コプヤン「リーダー、今度【ワルターの部屋】にゲスト出演してもらえませんか?」
アイドルグループ『フリープラネッツ』の楽屋で、シェーンコップがヤンに話しかけた。フリープラネッツは5人組グループだが、この日はヤンとシェーンコップのコンビでリリースする新曲のPV撮影のため、楽屋はふたりっきりだった。
「えっあの…キラキラしたリア充仕様のラジオトーク番組かい?私がトーク苦手だって君も知ってるじゃないか」
パイプ椅子の上で器用に胡座をかいていたヤンが微妙な表情になる。
「トークは私がリードしますから問題ないですよ。それに…」
撮影用のメイクをばっちり完了させたシェーンコップが、ヤンの分もやるために正面に座る。何かと器用なこの男は、メイクスタッフなしでもこういう作業を朝飯前にこなしてしまう。メイクブラシを持ち、いつも以上に整った顔がじっと宇宙色の瞳を覗き込んできた。
「今回は100回記念に、お酒を飲みながらお話しすることになってます」
「よし、出よう」
酒と聞いた瞬間即答するヤンに、シェーンコップは苦笑するしかなかった。
この日の撮影は、ヤンを番組に呼べてウキウキしているシェーンコップと、番組でお酒が飲めると知って終始ご機嫌だったヤンのふたりで驚くほどスムーズに進んだ。