【イチ桐】サンセットセンチメンタル「桐生さん、今日の夕飯何すか?」
夕暮れ時の異人町。食材でいっぱいになったエコバッグを肩から提げ、春日は隣を歩く桐生の顔を覗き込む。
「そうだな……」
問い掛けられた側の桐生は酒とつまみの入ったエコバッグを背負い直すと、数秒悩んだように視線を宙にやり。やがてオレンジ色に染まった空までそれが上がっていくと、思いついたと言わんばかりに春日の方へと顔を戻して口を開いた。
「久しぶりにカレーにするか」
「おっ! カレーっすか! やったぜ! 俺桐生さんのカレー好きなんだよなー!」
野菜大きめなのが好きなんすよー! などと子供のようにはしゃいで続ける春日にお前も手伝えよ? と小さく笑いながら返すと、春日はもちろんっす! と拳を握って見せ、桐生は再び口元を綻ばせた。
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