この気持ちはなんだか苦くて。放課後、学校での授業を終えた九門は一目散に校門から駆け出した。
慌てて周囲を見渡すと通学路を歩く学生達の中から頭一つ抜けた見慣れた長身を見つける。
九門はその長身でありつつも線が細くて綺麗な背中が好きだった。
目的の人物を見つけられた事に内心ほっとしつつ、後ろから元気良く声をかけた。
「莇!一緒に帰ろ!」
「うわ、九門か。まぁ、いいけど...。」
「やったー!!」
一見無愛想に感じる言葉だが、そうでない事を九門が一番知っている。九門はニコニコしながら莇に並んで歩き出した。
「なぁ、莇。」
「なんだよ。」
数メートル歩いた所で九門が莇を呼ぶ。
「このお菓子、食べるの手伝ってくんない?」
そう言って九門が取り出したのはチョコレートとクッキーが一体になったお菓子の箱だった。
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