ぼくの青木ある日の青木と薪にゃん。
弱火で火を入れ直す鍋の傍からなかなか離れない青木に痺れを切らせ、ついにまだお腹空いてないしどうでもいい風でひとり遊びするのを忘れた薪。寂しいと気まぐれに甘えたスイッチが入ったりする。気配を消して青木の背後に回ると、腰に腕を回して抱きついた。
深いブルーのセーターに鼻を埋めて青木を補給する。
「……いい匂いがする」
「おでん炊いてますから」
「そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」
「おまえの匂い」
「え」
青木はお玉を持ったまま腕を持ち上げ、クンクンと脇の辺りを嗅いだ。
「オレそんな匂います?」
おでんの鍋の傍でもわかるくらいだとしたらちょっとショックだ。
「臭いとはいってないだろ。いい匂いって言ってるんだ」
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