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    viole_t_te

    成人 夢創作
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    viole_t_te

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    怪僧と菫です

    サキュバスパロ② というわけで、サキュバスの菫さんと契約を交わした私は、彼女との淫らで甘い生活をスタートさせ……るはずだったのですが……。
    「菫さん? もう少しお顔をよく見せてくださらないと……」
    「や、やだ! 恥ずかしいです! もうちょっと待って!」
     鼻が触れる距離まで近付いてみたものの、このような調子でキスすら満足に済ませることができず、彼女との淫らで甘い生活はまだまだ先が長くなりそうです。まったく、なぜ彼女のような初心な女性がサキュバスに生まれてしまったのでしょう。人間の世界でも生まれ落ちる環境は選べぬものですが、悪魔の世界も同じようなものなのでしょうか。いや、まあ……恥じらうお姿も可愛らしくてそそるのでこれはこれでアリですが。調教のし甲斐があるというものです。
    「ですが菫さん、キスがうまくできないと先には進めませんよ? そうなると私の精力もうまくお渡しできませんし……」
    「そ、そうだけど……!」
     菫さんはそう言うと、膝を抱えて俯いてしまいました。かれこれ三十分はこの押し問答を繰り返し、疲れてしまわれたのでしょう。もう立派になれなくてもいい……と嘆く菫さんに、私はある提案をすることに致しました。
    「気分転換に少しお外に出ましょうか。菫さんの物も色々買い揃えたいですし」
    「お、お買い物……」
    「はい。ついでに美味しいものでも買って帰りましょうか」
    「美味しいもの……」
     食べ物に弱い菫さんをなんとか美味しいもので釣ることには成功。とりあえず菫さんの気分を変えるためにも出かけることにしました。本日の目標はキスをすることのつもりでしたが、菫さんはやはりあの調子ですし、せめてハグまで出来れば御の字と致しましょうか。

    「では、参りましょうか」
    「えっと……これは」
    「何でしょう?」
    「い、いえ……なんでも」
     とりあえず菫さんになにか服を着せなければ、と思ったのですが、女性物の服などうちにはありません。お洋服も今から買いに行くわけですから。仕方がないので私の服を着て頂こうとお渡しした次第なのですが……。
    「ふむ……これはこれで、ですねえ」
    「なにがですか?」
     ぶかぶかの私の服に身を包んだ菫さん。普段のサキュバス然とした出で立ちは勿論股間を刺激する美しさなのですが、男物の(それも私の私物)服によって顕わになる体格差がこんなにも堪らないものだとは……。
    「このような物しかなく申し訳ございません。今日は是非可愛いお洋服を沢山買いましょうね」
    「え、はい……」
     菫さんの返事が少し浮かないような気がしましたが、このような洋服で出かけるのでは気分も高揚しないのでしょう。今日は菫さんにお似合いのお洋服を沢山購入し、次回の休日は素敵なデートが出来るようにして差し上げなければ。


    「少し買いすぎてしまいましたね……」
     買い物の合間に腰を下ろしたベンチで、増えすぎた荷物を前に私は我に返りました。お洋服だけでなく寝間着や部屋着、靴やバッグに化粧品などなど……女性の身嗜みにはお金がかかりますね。あっという間に軍資金は僅かになり、今日のところは帰ることにするか、はたまたお金を下ろしてもう少し店を回るかと考えていたのですが、菫さんからもう帰ろうとご提案を受けたので、あとは家で食べるおやつを買って帰って今日のお出かけは終了ということになりました。
    「こんなに買ってもらっちゃって……すみません」
     大きな袋を抱えて座る菫さんが申し訳なさそうに眉を下げて謝るので、私はそっと彼女の頭を撫でました。
    「全部私がしたいことですので、菫さんがお気になさることはないのですよ」
    「荷物もたくさん増えちゃったし……」
    「私にお任せください。幸い、私には両腕がございます」
    「え、でもそれじゃ……」
     なにか言いたげな表情の菫さん。困ったような、焦れたようななんとも言えない表情で私を見つめています。
    「帰ったら全部もう一度着て見せてくださいね。あと、おやつですが最近出来たドーナツ店があるのでそちらに行ってみましょうか。とても美味しいと聞きました」
     勿論着替えは目の前でお願いするつもりです。きっと恥ずかしがって可愛い反応を沢山してくださることでしょう。楽しみです。
    「ではそろそろ……」
    「ま、待って……!」
     紙袋を持って立ち上がると、慌てたように菫さんも立ち上がり、私の持っていた袋を奪って左手を差し出しました。
    「これ持つから……こっち繋いでも、いい、ですか……」
     とても勇気を出してくださったのでしょう。よく見ると指先は震え、耳は真っ赤に紅潮していました。
    「断るわけないでしょう?」
    「ラスプーチンさん……」
     彼女が差し出した手を包み、コートのポケットに招き入れ、中で指と指を深く絡めました。菫さんの頬が更に真っ赤に染まるのを横目に、満足気な表情が隠せない私はまたしても調子に乗ってしまいます。
    「帰ったらもう少し頑張ってみましょうね。ディープキスとか」
    「ぬ……」
     眉間にしわを寄せて怪訝な顔をする彼女が本当に淫魔なる存在なのかと今でも疑問が残りますが、今この手の中にある小さな手がぎゅっと握り返してくださることが、今の私には堪らなく喜ばしい出来事ですのでそんなことは些末なことです。じっくりゆっくりと時間をかけて、いつか快楽に誘い込む日まで。
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