お年賀「今年の私は本当に最強かもしれません……」
「なんですか急に」
時間を気にせずゆっくり過ごせる長期休暇は控えめに言って最高である。しかも今日はまだ昨日のお雑煮の残りがあるので、朝食の準備もお餅を入れて温め直すだけ。そんな余裕のある朝を噛みしめながらキッチンに立っていると、遅れて寝室から来たラスプーチンさんがふらふらとこちらに近寄り、後ろから抱きしめられた。普段の朝なら引き剝がして支度に急ぐけれど、まあ別にこのままでも構わないかな、と思えるのは時間に余裕があるからだ、としておく。
「とても良い夢を見ました」
「初夢見たんですか? わたしはまだですね……どんな夢だったんですか?」
「ふふ……聞きたいですか?」
「それはそれは可愛らしいうさぎさんでした……。私の元に現れたのは、バニーガールの衣装を身に纏った菫さんだったのです。それはもう可愛くてエッチで……。私の姿を見るなり抱き着いて『あの……これ、喜んでもらえるかなって着てみたの。うさぎ年だから。どう?』と首を傾げてくるものですから私も興奮してしまい、褒め称える余裕もなく熱く絡め合うようにキスをしてしまいました。菫さんはそのキスのあと『ねえ、どう? って聞いてるのに』と少し拗ねていらしてそれも非常に可愛らしくて堪りませんでしたね。勿論、あまりに可愛らしすぎたために取り乱してしまったことをお伝えしました。すると菫さんがパッと笑顔になり、『よかった……♡』と私の胸板に頬を摺り寄せられました。愛おしすぎる笑顔と腹部に当たる胸のむにむにと柔らかい感触にいよいよ勃起を禁じ得なかった私はそのいきり立つ肉棒を露わにし、菫さんの身体に「はあ……」菫さん?」
「聞いて損しました」
「菫さん、まだ話はここからなのですが……」
「その話続けるなら初詣置いていきますからね。お雑煮温めましたけどお餅もあげません」
「そんな……昨日、一緒におみくじを引く約束をしてくださったではないですか!」
「変態とおみくじなんて引いたら縁起悪そうだし」
「私は変態ではなく菫さんを心から求めているだけの男ですよ」
「そもそもなんでいつもあなたの妄想のわたしはあざとい女なんですか、そういう方が好きならわたしよりもそういう人と……」
「またそのようなことを仰る……菫さんのデレの破壊力に敵うものなどありません。ご自身でお判りにならないのも無理はありませんが、この胸が灼けそうなほど熱く焦がされるような気持ちになるのは菫さんの持つ魅力あってのことなのですから」
あまりそんなことばかり言われると、この男は本当にわたしのことが好きでたまらないのだと自惚れに溺れてしまいそうになる。そう思っても良いのだろうかと揺れる気持ちこそあなたにはわからないでしょう、と言いたい。
「はいはい、わかりました。お雑煮冷めちゃうから早く食べましょう」
「ああ言いつつ食べさせてくださるのですね。お優しい菫さん」
今年も平和に過ごせますように。