残さず食べて 『月末は忙しいのでデートは来週末に』
そんなそっけないメールを見てため息をついているだけの私はもうどこにもいない。
なんと言っても、私の手には月島宅の合鍵があるのだ。
合鍵、すなわちそれは二十四時間いつでも月島宅を訪問できる魔法のアイテム。それが今、私の手の中にある。
何も外で会うだけがデートではない。疲れた月島を癒すべく、おうちデートとしけこもうではないか。そしてうってつけに今日はハロウィンだ。恋人がイベントの日に託けて愛を確かめ合うのは世の常である。手土産も持った。すべからくなんの問題もない。
私は、手にした魔法の鍵で月島の寝込みを襲うことにした。
鍵穴に鍵を差し込んで回す。難なくその扉は開いた。
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