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    hananokosituki

    @hananokosituki

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    hananokosituki

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    橙色の

    練習ルツ🎈🌟ちゃん9
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     君から香る君じゃない匂い。甘くて少し渋くて、でも瑞々しい香り。君のアプリコットの髪と合わせるととっても美味しそう。

    「ん?この香りか?我が妹の咲希が香水?のようなものを買ったみたいでな。いい香りだからとオレにもつけてくれたんだ。香りはピーチティーらしいぞ!」

     なるほど、妹さんだったのか。確かにいい香りだけれど僕は司くんのひだまりのような安心する匂いが好きなんだ。だから、

    「こ、こらこら!あまり嗅ぐんじゃない!」

     司くんが抵抗するけどお構いなしに抱きしめて髪の毛に顔を埋める。うん、ピーチティーの香りの奥にちゃんと君の匂いがする。ちょっと変態くさいかなとも思うけどそれならそれでいいや。僕にはこっちの方が大事。

    「う〜っ類!いいから一回離れろ!話を聞け!!」

     司くんが僕の胸を叩きながら叫ぶから渋々体を離す。きっと今の僕の顔は物凄く不満げなんだろうなって自分でもわかる。だって不満だもん。

    「はぁ、やっと離れたな。人の頭に顔突っ込んだと思ったら一体何をしているんだお前は!」

     だって君の匂いが感じられなかったから。

    「…………なら、普通に抱きしめればいいだろう。別に拒んだりなどしないぞ?ほら」

     君は唐突に爆弾を落としてくるよね………。びっくりしたよ。今だって呆けてる僕にしびれを切らして司くんから抱きしめてくれる。安心するなぁ……。

    「ほら、これでいいだろう……。全くお前は頭が良いはずなのにたまに短絡的だな」

     ちらりと盗み見た顔は母親が子供に向けるように穏やかで、ありったけの優しさと愛しさの込められた視線でどうしようもなく安心してしまう。

    「どうした、眠いのか?いいぞ寝ても。少ししたら起こしてやるから。」

     背中を一定の速度で優しくたたかれる。ああ、だめ、だめだよ司くん。せっかく君といるのに寝てしまう。

    「ほら、眠いな…寝ような………るい。うん……いい子、いい子だな」

     君のいのちの音をきいて、あたたかな温度につつまれて…。きみのあいでつつまれてしまったら………………。

    「…………おやすみ、類。いい夢をみるんだぞ」
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