winter morning 夢から覚めた瞬間は、いつだってなぜか、もの哀しい。
零れた雫は夢に消えた何かのせいか、生理的な涙か。夢の内容さえ覚えていないのに、おぼろげな感覚のままに志保は、軽く目を擦った。
ぼんやりとした視界が開けてくると、室内の様子が目に飛び込んでくる。
カーテンに覆われた窓の外は既に日の光を透かしていた。
季節は、冬。夏のそれよりも薄い光は、朝にあってもどこか薄暗く、モノクロームだ。
一晩を過ごしたベッドの中はぬくぬくと温かいが、外気に触れれば急激に冷えるだろう。
起きたくないわね……と眠気の狭間に思いながらも枕元のリモコンで暖房を入れようとすると、背後からにゅるっと腕が伸びてきて、志保の身体を抱きこんだ。
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