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    さく🌸

    鍾魈、ディルガイ、タル蛍の小話。新刊没ネタ、進捗などはTwitterのフォロワーさん限定

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    さく🌸

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    タル蛍の小話。
    タルタリヤって、こういう感情抱いてるよねってやつ。

    #タル蛍
    chilumi

    あの日、確かに。 ──君に一度だけ、訊ねたことがある。


    「君も、こちら側に来ないか?」

     璃月の街の頭上に、群玉閣があった頃。
     神の心を手に入れようとしていた俺は、君という異分子を掌の上で転がし、誰よりも先に掠めとろうとしていた。そんな頃に、君をファデュイに誘った。あからさまな言葉ではなく、ただ、『こちら側』に、と。だけど、君ははっきりと断った。

    「私は、空を探すの。だから、そちら側には、行かないよ」

     何に誘ったとも言っていないのに、君は明確に俺を拒絶した。その答えに、落胆したのは事実。そして、何処かで安心したのも真実。
     執行官第一位の男に、武術を授けられた後から、世界が白黒となった俺の視界に、君は鮮やかな色を持ち込んだ。だから、岩王帝君の骸のそばにいた君に、愚かにも俺は『裏切られた』と思った。どうして、そう思ったのか、その時の俺は分からなかったけれど。
     璃月の騒動が、同執行官である淑女の掌の上だと知った後、君と七日に一度刃を交えるようになってから、君はめきめきと力をつけていく。
     そして、稲妻で再開した君は、俺の知らない、手の届かない、届きようもない星の如く輝いていたんだ。
     君がいつからか名前を呼ばないことに気づいていた。だから、俺は君を『相棒』と呼ぶ。だって君は、俺に名前を教えていない。その口から、聞きたいのに。
     それが君が明確に拒絶した境界線。その線に気づかないフリをして、君に近づいては、届かない光に焦がれる。
     初めて出会った時から、君の周りには、輝く何かがあった。それは、とうの昔に捨てたもので、要らないと、心から削ったもの。
     俺は、あの日確かに、君に。






    『こいをした』
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