一人部屋 ハッサンが、いつになく嬉しそうな顔をしている。
「何かいいことでもあったの?」
そう聞くと、よくぞ聞いてくれた、とでも言わんばかりにハッサンは何度も頷く。
「へへ、実はよ、自分の部屋作ったんだ」
見にくるか、レック、と、これはもう、絶対見にきてほしいんだろうなと察しのつく満面の笑みで言われて、オレはおもわず笑ってしまった。
オレたちのデートはいつも、サンマリーノの桟橋で落ちあって、どこか別の場所に移動してからってのがお決まりだけど。
「うん、行く行く! でもそれなら手土産でも持ってこればよかったな。お邪魔するなんて思ってなかったから」
「ああ、そんなの気にすんなよ。長居するつもりはねえし、ちょっと見せてえだけだから」
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