きらきらひかる 港の桟橋のあたりに人だかりができていた。
作業場に籠ってずっと細かい作業をやっていたら肩が凝ってしまい、気分転換でもするかと散歩をしていたら、その光景に出くわした。
こんな所で珍しい、何事かと興味本位で近づいてみれば、集まっているのは男より女の方が多そうだ。後ろの方からひょいと覗いてみれば、そこには。
「綺麗ね、この指輪」
「奥さん、お目が高い! そりゃあ有名な細工師の品でね。そいつが辺鄙な山奥の村に住んでる変わり者だから、なかなか手に入らなくって」
どうやら貴金属やアクセサリーを売っている露店のようだった。露店の主人は得意げにお客に話を披露している。
「大魔王がいなくなって平和になったからな。世界中に買い付けに行けて、こういう珍しい品も手に入る。いやあ、いい世の中になったもんだ」
2828