12.照らしてよ、ペリドット体がガクガクと揺れる感覚に意識が覚醒した。休んでいる内に眠ってしまったようだ。そう認識したと同時に体がとても冷えているのを感じてぶるりと震える。
「煉󠄁獄…!」
(……?)
寒さに首を竦めたのとほぼ同じタイミングで聞こえた声にぴたりと固まった。長いこと一処に閉じ籠もっているせいでとうとう幻聴まで聴こえるようになってしまったらしい。
(宇髄…)
最後に顔を見たのはいつだったか。感情の伴わない情交だけれどそれでも君に触れることのできるその時間は特別以外の何物でもなく、苦いと同時に、痺れをもたらすほどの甘い毒が全身に回るようなひと時だった。いい加減に忘れないといけないのに。だからここへ来たのに。心の中に君を居座らせたままでは今までと何も変わらない。俺はまだ裏切り続けるつもりなのか、自分の恋人を。彼に償うためにここに居ることを選んだのにーーでも、そうだ、彼はさっき、
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