愛の鍵ジルエイ「おや、何を持っているんだ?」
依頼を終わらせた深夜、協力をとりつけた動物たちを解放している最中、一匹の犬が小箱を咥えていた。落とし物か? そう推理した私はそれを受け取り、ピンクの蓋を開いた。
「鍵か。しかしこれは……オモチャだな」
わざとらしいハート型のキーヘッド、簡素な鍵山、軽い素材。
どうみても女児向けのオモチャなそれを緊急性の低い物と判断し、届けるのは朝でかまわないなと、欠伸を噛み殺しながら私はホテルへの帰路についた。
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ホテルにてシャワーを浴び、ホットミルクを淹れて一息つく。
そういえば小箱の方をちゃんと見てなかったな。
名前でも書いてあればと、改めて確認してみる。
1942