『三ツ谷くん!ドラケンくん!』
俺たちの名を呼ぶ声が一等好きだった。
底抜けた明るい声で呼ばれる名前は愛されていると実感できるようで。
『ギャー!何すんすか!?』
『え!これくれるんですか!?本当に!?やった!』
『ゔぅ〜、またマイキーくんに騙された……』
コロコロ変わる表情に目を惹かれた。
名前を呼ぶと嬉しそうに、騙されると悲しそうに、驚かすと目を見開いて叫ぶ様が面白くて、愛おしくて。
叶わない恋だった。そうして蓋をした愛だった。アイツには光の場所が似合っていたから。アイツの幸せを願っていたから。そう、思っていた――。
「はじめまして、ごしゅじんさま」
目の前で下半身を晒したまま頭を床につけるのは、かつての世界で俺らが恋をして、幸せを願った男。格好とはチグハグな何も知らない無垢な目は、俺たちに絶望を突きつけた。
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