Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    河東🌻

    杉推しで尾杉の人|右杉固定|左非固定
    Wavebox https://wavebox.me/wave/7bpd6n4yb3pbmd6q/
    くるっぷ https://crepu.net/user/heromove0301
    タイッツー https://taittsuu.com/users/heromove31

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 22

    河東🌻

    ☆quiet follow

    尾杉原稿進捗。いい感じにラブラブっぽく見えるかもですが、話の設定はアホです。

    #尾杉
    tailFir

     少し考えてから、杉元は起き上がった。グズグズしている暇はない。早くしないと尾形が寝てしまう。自分の部屋を出て、隣の部屋のドアの前で止まる。隙間から、灯りは漏れていない。ほんの少しだけ逡巡してから、おずおずとドアを開けた。
    「尾形……もう寝た?」
     部屋には入らず、半分くらい開けたドアから顔を覗かせると、ベッドに腰掛けている尾形の姿が見えた。
    「今から寝る」
     尾形の疲れた表情は、暗がりでもわかる。杉元は、次に言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
    「え、ええと……」
    「何だ。用があるなら早く言え。俺はもう寝るぞ」
     尾形の声が苛立っている。杉元は一度飲み込んだ言葉を、思いきって口に出した。
    「い、一緒に寝てもいい?」
     すると、疲れ切って死んだようになっていた尾形の目が、大きく見開かれた。どういう類の反応なのかわからず、杉元が怯んでいると、ぽんぽんとベッドを軽く叩いて手招きされた。
    「早く来い」
     拒まれなかったことに安堵して、杉元は尾形の部屋に入った。二人で横になってもギリギリじゃないサイズのベッドに上がり、ちゃんとスペースを空けてくれている布団の中に潜り込む。ベッドは一つで充分だったかなと思うこともあるけれど、やっぱり一人で眠りたい夜もある。だけど、今夜はきっと、一人では眠れない。
    「杉元」
    「ん?」
    「……いや、なんでもない」
     尾形は何かを言いかけて、何も言わずに杉元の肩を引き寄せた。ぴったりとくっつくと少し暑いけれど、安心できる。
    「おやすみ」
    「ああ」
     尾形が目を閉じたのを見つめてから、杉元も目を閉じた。風呂上がりの体温を感じながら、眠りにつける……はずだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💯💯💯💯💯💯💯💯💯💯❤❤😍🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    河東🌻

    DONEフォロワーさんへの、遅すぎる誕生日お祝いの鯉杉です。杉元誕生日のお話でもあります。
    鯉杉はどっちも可愛いから、お話も可愛くなっちゃいますね(当社比)
    反対方向のふたり 三月になったばかりのその日は、良い天気だった。
     日中は日差しがよく届いて暖かかったけれど、日が落ちると気温がグッと下がる。西の端っこが茜色をしていて、東へ行くほど藍色になっていく空には、一番星が輝いていた。
     平日の黄昏時の駅前は、家路を急ぐ人でいっぱいだ。駅の建物には、ひっきりなしに通勤客が出入りしている。混雑しているのに、黙って足早に歩いている人が多いので、賑やかという感じがしない。いろんな歩調の足音と車の音、駅を発着する電車の音ばかりがよく聞こえて、人の話し声は雑音に紛れてよく聞こえない。
     駅前広場に設置された、不思議な形をした謎のオブジェは、待ち合わせの目印としてよく使われている。人混みの向こうに鮮やかな色彩のそれがチラリと見えて、杉元は足を速めた。そして、いつもの癖で腕時計の時刻を確認しようとした。遅刻なのは重々承知だけれど、何分遅れか気になったのだ。だが、すぐに手首には何も着けていないことを思い出す。
    5262

    related works

    recommended works