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    そのこ

    @banikawasonoko

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    文責 そのこ

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    ⓒKonami Digital Entertainment

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    そのこ

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    ビクフリ。ビク→フリ気味です。お前そんなのばっかり書いてんな。2019年のやつ。6年前!?!

    #ビクフリ
    bicufri

    風呂場だ。湯気がたっぷりと立つ、寒い夜。人の輪郭も定かではなくなる中でも、隣にいる奴ぐらいは分かる。
    遠くから湖の波の音がして、近くでは暖かい湯が揺れる音がする。視界は霞む。輪郭が揺らぐ。
    「だいぶ治ってきた」
    うっかり閉じていた目を開けた。隣で、フリックの奴が軽く腕をあげた不自然な体勢をしている。二の腕の真ん中辺りに白く、治りかけた傷痕があった。この間の小競り合いでやらかしたものだ。魔法でふさいだ傷口はもうすっかり綺麗で、このまま跡も残さずに消えるのだろう。
    なんとなく眺めまわして、首をかしげる。
    「お前、あんまり傷痕ないよな」
    腕を下ろしたフリックが、バカにしたように唇を引き上げた。
    「お前みたいに突っ込めばいいと思ってないからな」
    「うるせえよ」
    楽しげに笑う顔にも伸びる首から肩にかけても、目立つ傷は1つか2つ。今は湯に隠れる腹に、命を奪いかけた物が1つ。
    だいたいそれぐらいだと思う。上げた腕にさえ幾筋も傷痕の残る自分とは違う。
    背後から手を伸ばした。
    「う、っわ!」
    フリックが派手な水音を立てて距離を取った。伸ばした指が所在なく残る。俺は笑みを作った。
    「敏感過ぎねえかその反応」
    「急に触んなよ!」
    指先で撫でた背中に傷が残っているはずもないが、それでも気色悪そうに回した手で撫でる仕草に、趣味の悪い笑みが深くなる。
    「ぞわぞわする」
    「そりゃあいい」
    「なにがだよ……」
    もう出る、と立ち上がった背中には傷ひとつない。気にする仕草で指が這うのがおかしくて、声を立てて笑った。
    「何もついてねえよ」
    「気になるんだよ」
    今だけだとしても、男の肌に触れた証明が残っている。その事実にひどい満足と焦燥を覚えている事など、まだ知られてはいけないのだ。
    爪のひとつでも立ててみれば良かったな。去っていく背中に赤いあとさえもないのを見ながら、ビクトールは淡く後悔した。
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