シドクリ「……シドー?」
伸ばした指の行き先に迷いながらも目の前の頬に触れる。触れることが自然な気がしたのだ。人肌よりも少しだけひやりとした頬が触れた指先に擦り寄ってくる。温もりを確かめるように。
「……なあ」
静かに開かれた口はしかし言い淀んだのかもごもごと不自然に開閉する。クリエは黙ってシドーを待った。
「オレは、お前とこれからもずっと変わらずにこの島でモノ作りをして暮らしていくだけだと思っていたんだ」
「……うん」
頷く。クリエも同じだったから。シドーがずっと隣にいて、刺激的なモノづくりが日々続くのだと。シドーは元々神様だから変わらないかもしれない。だけどクリエは。成長して、成熟した人間の身体が永遠に続くなんてことが奇跡がこの世界では成り立つ、なんてことはないのだろう。生まれてくる命があれば、尽きる命もある。実際にこの世界で数多く目にしてきた。ビルダーとはいえクリエは一介の人間でしかない。いずれはこの命は尽きる運命になるのだ。