揺れる炎と、マシュマロと存在しない記憶ゲーム「存在しない記憶ゲーム、しようぜ」
末の弟が言い出した突拍子もない提案に脹相は食事の手を止めた。荒廃した魔都で彷徨って数日。悠仁がこのようなことを提案してきたのは初めてだった。思わず硬直した脹相はまじまじと悠仁を見る。
星空の下、調達してきた夕飯を共に摂る大切な弟は脹相のおにぎりの具がボロボロと盛大に落ちるのを「おーい、聞いてる? てか、勿体ないんだけど」と言い、拾いながら口に入れている。
「待て、悠仁。衛生観念はどうなっている。お腹を壊したらいけないからやめなさい」
「それ会う人みんなに言われてきた台詞だわ……。 てか、こんなんで腹壊してたら宿儺の指なんて発酵食品もいいとこだろ。あれで腹壊してないからへーきへーき」
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