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    月代華表

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    月代華表

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    モブ視点から見たウィルシャロです!コウくんリクエストのうちの一個。良いネタをありがとうございました!!

    目撃者は秘密を守る モリアーティ教授は穏やかで、優しくて、教えるのが上手い。あとそれから怒ると怖い。とにかくミステリアスで、麗人という言葉が似合う御仁だ。教授は女性じゃないけど……麗人っていうのがしっくりくる気がする。男の自分でもドキドキするから……
     これで教授に婚約者がいないというのだから驚きだ。貴族のご令嬢が放っておくはずがない。
     そんなことを考えていれば、あっという間に授業終了の鐘がなる。
    「今日はここまでですね」
     そう言ってチョークを置いた教授は振り返って、いつもの優しげな笑顔を生徒である自分たちに向けた。
    「では、課題の提出は明日までという事で……」
     その天使とも言えるような笑顔でまぁ、なんとも悪魔の様な発言をする教授。たった一問のその数式がどれほど解くのが難しいと思っているのか……ため息が思わず出てしまった。あまりの無茶ぶりにやはり声が上がって、誰かが教授に向かって叫ぶ。
    「先生!! 無茶ぶりでは!?」
    「無茶ではありませんよ? あなた達が酒場遊びを一日やめ、勉学に取り組めば済む話です。例え真実に辿り着かずとも、しっかり自分で考えた答えが書いてあれば僕はきちんと評価しますし……」
     今の教授の発言は大多数の生徒の心に刺さったようで目を逸らしている者が多くいた。勿論、自分の心にもだ。
    「それでは、皆さん明日までですからね?」
     そう言いきって、教授は後ろを向き黒板を消し始めた。それを合図に各々席を立つと、昼食をとるために動き出す。食堂に早くいかねば混んでしまう。いそいそと教材を纏めて、席を立つ。見渡せばもう学生は自分一人だけだった。皆行動が早い……自分も早く行かねば食いっぱぐれてしまう。
     出口に向かい歩き出そうとしたその瞬間にふわりと香るタバコの匂い。ブルネットの髪を高い位置で結ったスーツ姿の男が目の前を通り過ぎて行った。
    「よう。リアム……今日も先生やってんな」
    「また勝手にいらしたんですか? ホームズさん」
     男は気さくに教授に話しかけ、教授も呆れた様な顔をしながらも少しだけ嬉しそうに見えた。そのまま男は一列目の席に座って、なにやら教授と話し始める。教授は黒板を消す作業をしつつ彼の話に耳を傾けていた。後ろを見つつ、男を観察する。男の格好や口調は貴族とは到底思えない。つまり、労働者階級の人間という事になる。ダラムに住む人間でもなさそうだ。では、貴族の教授とどこで知り合ったのだろうか? 教授に不思議な関係の友達がいるものだと思い教室をでた。
     
     放課後、図書館で早速教授から出された課題に着手する。が、いかんせん取っ掛かりすら見えない。すでにいくつかの方程式を当てはめてやっては見たものの、全て途中で行き詰まってしまう。取っ掛かりだけでも聞きに行こう。そんな思いで、立ち上がって図書館をでた。きっと放課後は研究室に居るはずだ。
     真っ直ぐに教授の研究室の前まで来ると中から話し声が聞こえた。ノックしようとした手が止まる。自分と同じく、課題のヒントを聞きにやってきた学生と話でもしているのだろうか? だが、その考えを否定するかの様に、先程教授と親しげに話していた男の姿が思い浮かんだ。思わずぴったりと耳を扉くっつけて中の話を聞こうとする。扉越しで聞こえにくいが、中にいるのはあの男で間違えなさそうだ。聞こえてくる単語が、数学の話ではない。「事件」や「犯罪卿」と言った物騒な単語だ。次第にそんな物騒な単語は聞こえてこなくなり、声が小さいのか聞き取れない音だけが耳に入ってくる。不思議な教授の友達が気になって音を立てない様にそっと取手を握り慎重に捻る。ほんの少しだけ扉を開けて中を盗み見た。
    「リアムっ……ここ、お前の職場っ」
    「大丈夫、ここは私の研究室です。滅多に人は来ません。それにもう帰ってしまうのでしょう? 名探偵さん」
     デスクの端に腰を掛けた教授と、そんな教授の前に立っている男。一つ友達というには不自然な点を挙げるとすると、教授が男の首に腕を絡めて引き寄せ、男はデスクに両手をつき教授に覆い被さる形で自分の身体を支えていた。まるで恋人同士がするような距離感に驚く。真後ろから見ているせいもあって、男と教授がキスをしているように見えた。ゴクリと喉がなる。思った以上に大きくなったその音に気づかれていないか心配になったが杞憂だったようだ。
    「そりゃあ……ここに来るってジョンとかに言ってねぇし。帰んねぇと」
    「ほら……じゃあ今しかない」
    「明日にはロンドン来るんだろ? それからでも……」
    「んー私は今、貴方に甘えたい気分なんですよね。そうでなければ、わざわざ人気のないところに来ません。それに、明日私がロンドンに来るとわかっていてわざわざダラムに来るという事は貴方も甘えたかったのでしょう?」
    「リアム……」
    「シャーロック」
     美しい金糸とブルネットが絡んで混ざり合う。教授は男の頭を掌で押さえつけて逃げられないようにしている。直後、卑猥な水音だけが部屋の中に響き、教授と男が友人関係ではないということが明白になってしまった。空いた口が塞がらない。教授の恋人が男性だなんて……
    「ん……なぁ、明日は夕方には会えんだろ?」
    「えぇ……駅まで来てくだされば。大学は午前中までなので」
     一言二言話すと再び濃厚なキスの音が部屋を支配する。そっと扉を閉めて見なかった事にすればいいのになんとなくできなかった。この国の法では禁止されている行為だ。なのに、どうしようもなく見入ってしまう。芸術品のように美しいと思ってしまった。
     ふと、教授が男を抱きしめた。男の肩口から見えた教授の顔は妖艶に微笑んでいた。そして真っ直ぐにこちらを見て、人差し指を唇に当てる。
     見られているとわかっていてシたのだ。見せつけられたとわかり、縦にうなづく事しかできなかった。そっと扉を戻して、早足で寮に帰ったことは覚えている。その日の記憶はそれからない。次の日、教授に課題を提出する際とても気不味かった事だけは覚えていた。
     
     あの衝撃的な体験をした数日後、教授が犯罪卿だという報道が流れ、大学内が騒然とした。教授の恋人らしき男があの日口にしていた単語だ。もしかしたらあの日、男は犯罪卿が教授じゃないかと疑い、詰め寄っていたのかもしれない。だから然程自分は驚かなかった。それよりも驚いたのは、教授の恋人と思われる男の正体だ。シャーロック・ホームズ。犯罪卿をずっと追っていたロンドン一の名探偵。
    「一体全体、本当はどんな関係だったんです? モリアーティ先生」
     友達? 恋人? それとも敵……?
     寮で一人、犯罪卿と名探偵がテムズ川に落ちて亡くなったという記事を握りしめてボヤくのだった。
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    Replies from the creator

    月代華表

    DONEウィルシャロwebオンリー2「WiSh for…②」開催おめでとうございます!!
    久しぶりのウィルシャロです。一度はやってみたい「兄さんと弟に朝チュン見られちゃった!!どうしよう!?」系の全年齢スケベ。ちょっとウィさんがポンコツ。
    ふふっと笑ってもらえたら嬉しいです!
    【WS】Good morning shock 昨日の事だ。ウィリアムからこう言われた。
    「今日はね、皆任務で貿易社を空けるんだ。アルバート兄さんも別件で君のお兄さんに呼び出されていない」
     少し頬を赤らめ、こてんと小首を傾げ言われた。その意味がわからないほどシャーロックは愚かではない。
     三年の間で友達から恋人にまで発展してしまったウィリアムとの関係を秘密にしたままロンドンでの生活を再開させた。皆に言うか未だに迷っている。そのため、なにかと理由をつけて外泊するのも大変なのだ。自分は衆人環視の的でもあったため、ロンドン内のホテルにでも入ろうものなら大変な事になる。逢引場所は唯一、自分達の関係を知っているビリーに手配してもらった市内の中心地から外れた一軒家である。逢引場所は一応ピンカートン側の建物という事になっているらしい。ビリーには感謝だ。しかし、外泊の言い訳をするのも、場所へ向かうのも、意外と重労働なのだ。それに、ロンドンのウィリアムの部屋を見てみたい気持ちもあった。好奇心には勝てない。
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