架空に見たハッピーエンドは平行線本当に悪趣味だ。
後継者も計画も崩れ去った暇な魔王は、今日もifの世界を実況放送する。
それが絵空事であるのを知っていながら。
無象に紛れて見上げる大型スクリーンにはヒーロー達が映る。
巨大な火柱となり最大火力をぶつける自分。
炎を叩き込んだ赤色の残る半分頭。
イカれた教祖を蹴り飛ばす、オールマイトから力を貰った光輝くアイツ。
そして爆弾は無事に解除される。
フィクションだ。
爆弾の解除はされず、教祖を倒したのはヒーローではなく日本のスーパーヴィランで。
オールマイトの後継も力も世の中から喪われ、何より16才のアイツなんて存在は、こっちにはいなくて。車から人を庇った無個性は15で。
過ぎ去った時間の〝もしも〟を知ったところで自分には何も出来ない。
けれど、いつも最後まで観てしまう。
その続きに、もう夢ですら辿り着けない答えがある気がして。