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    tamagobourodane

    @tamagobourodane

    書きかけのものとか途中経過とかボツとかを置いとくとこです
    完成品は大体pixivにいきます

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    POIPOI 22

    tamagobourodane

    DOODLEお互いのチャンネルに日参してるVtuberのフィガ晶♂の話
    ※Vtuberパロ注意/リバの気配というか左右曖昧注意

    なりゆきで弱小センシティブめ企業Vやってる晶くんが、厄介リスナーの「がるしあさん」に悩まされつつ「フィガロちゃん」の配信に通う話
    文字通りほんとに悪ふざけの産物です
     手にはワセリン、傍らにはティッシュペーパー。ジェル、コットン、ブラシだ耳かきだのが並ぶ脇には、更に行程表が見える。『耳かき左右五分ずつ、ジェルボール五分、ここで耳ふーを挟む。数分おきに全肯定、“よしよし”』。アドリブに弱い晶が、慌てないようにと自分の為に用意したものだ。
     成人男性が普通なら机の上に並べないようなそれらのアイテムの真ん中に鎮座しているのは、奇妙な形をしたマイクだった。四角く黒い躯体の両側に、二つの耳がついており、その奥に小さなマイクが設置されている――最近流行りのバイノーラルマイクというやつで、このタイプは手軽に耳かきをされているような音声を録音することができる。
     そしてその奥にあるのはモニターとオーディオインターフェース――画面に流れるのは、大手配信サイトの管理画面と、コメント欄だ。配信のタイトルが目に入るといつもげんなりするので、いつもその画面は閉じているのだけれど、今日はその手順を忘れていた。――「ぐっすり眠れる耳かきとジェルボール――入眠用ASMR♡」。
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    tamagobourodane

    DOODLE元の世界に帰れなくなっちゃった晶くんが全部忘れたフィガロの家の近くに住んでいる話
    フィガ晶♂

    点滴効果はないよ!

    注意書き↓
    ※ループものの最初のルートとして考えていたお話の最初のところです。
    2周年読んだ感じ、2章の方向性次第ではプロットごとさよなら(あーん)かもしれないのでどんな話だったのか、最初のとこだけダイジェスト風にして置いておきます。
    2章の雰囲気次第では長いやつとしてぜんぶ書くかも?



     子供の泣く声が響いている。
     今しがた細い若木のような腕に差したばかりの注射針を鉄製の容器の中に戻しながら、フィガロは単純に元気な子供だな、という感想を抱いていた。若い生命は小さな痛みも大きな危機のように捉えて、助けを求める声を上げるエネルギーを惜しまない。隣では子供の母親が決まり悪そうに身体を竦めていて、時折その小さな背中に触れていた。我が子の行儀が悪いと思っているのかもしれない――医師としてはそんなことは気にならなかったのだが。医者の処置を受ける時の子供というのは、得てしてこんなものである。
    「痛いの我慢して、よく頑張ったね。ちゃんと毎日薬は飲むんだよ」
     子供にねぎらいの言葉をかけながら、フィガロは傍らの薬の包みを取ってそれを紙袋に入れると、母親に向かって差し出した。
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    tamagobourodane

    DOODLE自分の世界に帰って異世界のことをかなり忘れちゃってる晶君のところにこれまた色々忘れてるフィガロが「来ちゃった♡」する話 (3/4)

    フィガ晶♂です

    多分しんどいところだから元気な時に読んで欲しい

    あと6話くらい残ってますが多分あとは出来上がったら全部まとめてピクシブいきます
    9.

     たくさんの美しい布地がベッドの上に置かれ、晶のベッドの上はまるで仕立て屋の机の上のようなことになっていた。薄く透けるシフォンからしっかりとした絹まで、あるいは綿の丈夫そうな布地まで、その淡い色彩が部屋を少しだけ賑やかにする。
     晶はちょうど任務の為の衣装の試着をしているところだった。今年の賢者の魔法使いにはデザイナーを志す青年が名前を連ねていて、特別な衣装が必要になる場合はこうして仕立ててくれるのだ。今回は南の国のある村に調査任務に行くというので、なるべく地味で目立たないような、しかし動きやすい服をという注文がついていた。
     既に彼が作った衣装は、調整が必要ないほどに晶の身体にぴったりなように見えた。麻のようなものでできたシャツに房飾りのついた薄茶色のカーディガンを羽織ると、若草色のパンツと相まって、南の国の景色に良く馴染みそうだった。作業中の村人と名乗るには少々余所行きに見えてしまうかもしれないが、旅人と名乗っても問題はなさそうだ。
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    tamagobourodane

    DOODLE自分の世界に帰って異世界のことをかなり忘れちゃってる晶君のところにこれまた色々忘れてるフィガロが「来ちゃった♡」する話 (1/4)
    全編にわたってフィガロがほぼヒモ
    重いけど最後まで手は離さないパターンのやつ


    ※若干心療内科のシーンがあるので、その場所にトラウマがあったりする人は注意してください
    ※模造の城読んだ人はあれの対になるやつなので話の構造はやや似てます




    1.

    『八日未明、〇〇海岸沿いにて、三日間行方不明になっていた男性が発見されました。現在は意識を回復され、ご家族にも連絡が取れたということです。海難事故に遭った経緯に関して本人は覚えていないと話しており、警察は事件性の有無を調査しています――』

     モニター越しに見える濃い青をたたえた海、それに広がる小さな白波、それから少し黄色い砂浜。それらはいずれも晶が良く見知った光景で、彼の住んでいるマンションから十分ちょっとも歩けばその目で見に行くことができる。カメラを通さず自分の目で直接見るそれは、もっと青と緑の濃く入り混じる複雑な色をして輝き、それから人を飲み込むように暗い。
     晶は歯ブラシを口の中で動かしながら、ぼんやりとその映像を見ていた。安価であることだけが取り柄の家具屋で買った、どの単身者の家にもある、白木の背もたれ付きの椅子に身体を預け、日々の仕事で疲れた足を安っぽいフローリングの上に投げ出していた。それから椅子と揃いのテーブルに朝食の食べ残しを載せて――そんな若い単身者にお決まりの光景であっても、晶にとっては自分の稼ぎで住んでいる、自分だけの城の景色だった。
    映像は海の危険性に 44754