Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    きみどり

    @kimi_0812

    かきかけ途中のログ投下場所なので、完成したものはpixivに体裁整えてまとめています。
    詳しい事はプロカを見て下さい。
    TRPGは全部ワンクッション入れているので、閲覧は自己責任。
    リンク一覧:https://lit.link/gycw13

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 🐍 ⚽ 👏
    POIPOI 83

    きみどり

    ☆quiet follow

    アイドルやってる乱凪砂が好きすぎる茨の話と、事務所に一刻も早く帰りたい七種茨VS期日までは絶対に島から出したくない巴日和の攻防

    #凪茨
    Nagibara
    ##底なしのこころ

    「俺、死んだ……?」
     夢から覚めた筈が、未だ奇妙な感覚が拭いきれない。つよく握られた手の感触、唇に触れたあたたかさ、叩き付けられぐしゃりと潰れた自分の体……全部、ぜんぶ、夢の中の出来事の筈だ。
     己にそう言い聞かせていると、外から聞こえてくる歌声に弾かれたように茨は部屋を飛び出す。間違える筈がない。
     聞こえてくる歌声を頼りに、なんとか辿り着いたその場所は、建物の中心につくられた中庭のようだった。大きく枝を広げた大樹と、その下に備え付けられたベンチ、そこに腰を掛け凪砂は歌っていた。
     伴奏も何も無い、ア・カペラで歌い上げるそれは、どこまでも自由で伸びやかで、朝日に照らされきらきらと輝く『アイドルの乱凪砂」がそこに存在していた。
     こんな場所じゃない。貴方には、もっと相応しい場所がある。
     もっと広く大きな舞台で、焼かれてしまうくらいに眩しい照明の光を浴びて、何千何万の人の歓声に包まれて、日和殿下と、ジュンと……俺……そう、俺たち『Eden』で、その舞台を作り上げるんだ。
     自然と茨の足は凪砂に向かって進む。
     もっと、歌っている姿を見ていたい、よりも今思った事を一刻も早く伝えたい、という気持ちが上回っていたからなのだろう。一歩踏み出す度に気分が高揚してくるのが分かる。
     足音に気付いたのか、凪砂の視線が茨を捉えるのと同時に、慌てて立ち上がり駆け寄ってくる。
    「……い、茨! ど、どうしたの? どこか痛い? 辛いの、それとも苦しい?」
    「な、何がですか……? ちょ、閣下!」
     凪砂の両手が茨の頬を包み、撫でる。自分の頬が濡れる感触に、そこで初めて茨は凪砂を見て大粒の涙を流していたことに気付いた。
     悲しいわけでも、苦しいわけでもない。ただ、どうしようもなく込み上げてきた、名前のつけられない感情が、茨の涙腺を刺激し、溢れさせた。
    「大丈夫。大丈夫です……閣下。ちょっと、目覚めた時に居なかったのは、びっくりしましたけど」
    「……ごめんね。寂しい思い、させちゃった?」
    「死んだのかと、思いました」
    「えっ、」
    「落ちる、夢を見たんです。閣下と一緒に、どこまでも深く……地面かどこかに叩きつけられた瞬間、目が覚めて隣に閣下が居なかったので、本当にあの世かと思って」
     いつものように、理論立てて整然と説明することができない。断片的な言葉をいくつも繋いで、なんとか話せているような状態だった。
    「……不安にさせてごめんね、茨。夢見が悪かったなら、もう一度寝直す?」
     茨の涙を拭い続ける凪砂は本当に心配らしく、何度も何度もあふれる涙を拭ってくれて、しまいにはパジャマの袖口がびしょびしょになってしまっていた。
    「いいえ閣下。自分、やりたい事が見つかりました」
     真っ直ぐ凪砂を見る海色の瞳に、気分が高揚した。この目は凪砂もよく知っている。企画の打ち合わせ、ライブやステージの設営、セットリスト等……特に音楽に関わる仕事を考えている時に見せる表情だ。今の茨のやりたい事はきっと、あの日まだ決まらないと悩んでいた、『Eden』のライブ。
    「……茨、聞かせて欲しいな」
     ベンチに座るように促し、凪砂は茨の話すプランに耳を傾けた。


    ***


    「と、いう訳であります。一刻も早く皆さんが立つステージの準備から企画諸々を立てたいので、早々に迎えを寄越して頂きたいのですが……日和殿下、聞いていますか?」
    「聞いているね。何なら、後で伝えた話と違うなんて事が無いようにこの通話を録音しているくらいだね!」
    「それはそれは、有難い。仕事道具を取り上げられてしまっている以上、いち早く誰かに伝えねばと思い、閣下から端末をお借りして良かったです! で、迎えに関しては」
    「そこは茨の希望に沿うことは出来ないね。やる気が出てきた所で申し訳ないけど……休むと言った以上、それを繰り上げて戻ってくると混乱するのは現場だね。期日を決めて、事務所のスタッフに割り当てて任せているし、何より上がちゃんと期日を守って休まないと部下も安心して休めないね!」
     事務所に一刻も早く帰りたい七種茨VS期日までは絶対に島から出したくない巴日和の攻防は、ずっとこんな調子だ。横で聞いている凪砂は何度目か分からない同じやり取りに、流石に聞き飽きてきた。
    「……茨、日和くんも仕事があるから、連絡はほどほどにしないと」
    「そうですね。これ以上殿下と話をしても事務所に戻れないのでしたら、期日まではバカンスを楽しませて頂きます」
    「随分、調子は良さそうだね。茨」
    「おかげさまで。戻ったらすぐにレッスンに取り掛かりますから、よろしくお願いします」
     そう言って日和との通話を終え、端末を凪砂に返す。茨が持っていてもいいのに、と言うが、もし日和から連絡があった時にうっかり茨が出てしまったら「何故凪砂の端末を茨が持っているのか?管理しているのか?」と、質問攻めにあうに決まっている。面倒を避けるためですよ、と言って差し出された凪砂の手を押し戻し、茨はベンチから立ち上がる。日は高くなり、影は短くなっていた。随分外に長居してしまった。そろそろ空腹になってくる頃合だなと思った矢先に、ぐう、と腹の虫が空腹を訴えてきた。
    「閣下、少し早いですが、昼食はいかがでしょう?」
    「……そういえば、朝も食べていない気がする。お腹が空くのも当たり前かもね」
     そう言って、二人は並んで中庭を後にした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    Elocy

    DOODLE·以赛博朋克2077边缘行者动画为背景的俊日同人作,副cp为凪茨,其他皆为CB向。
    ·作者的游戏是云的,如果有与游戏的任何出入,请当成是作者的私设
    ·分级是NC-17,请了解该分级后再选择打开。
    ·不是什么愉快的,细想后仍旧不是很愉快的故事
    ·有角色死亡,还有会剧透所以无法打出的预警,请看之前做好心理建设。
    【纯日和&凪茨】赛博朋克2077——衰败乐园001“纯君。”
    夜幕好似寡妇漆黑庄重的裙摆,黑夜中有绚烂精美的烟花裂出划破长空的星流,巴日和站在无数绽放的焰火前,浅绿色的发丝被火光照耀,透着温润又晶莹的光。他的笑容柔和,紫眸里倒映出他的身影,漂亮的嘴唇微张,明明是震耳欲聋的烟花声响,涟纯却清晰地听到了巴日和说出的话。
    “要去做不会让自己后悔的事呢。”


    赛博朋克2077·衰败乐园

    “跑快点!跟上!”

    乌泱泱的武装队伍手持枪械,步伐整齐又急促地朝着同一方向前进。在他们前方是一道肉眼几乎无法捕捉的身影,索性军队也不是吃素的,集体安装过的电子义眼可以捕捉到他几秒前留下的残影。队员的机械眼眸在瞄准镜的后方不断变幻着焦距,脑中的信号集结,预判出对方的落脚点。

    红圈刚一框到人影边缘,手指便没有任何迟钝地扣下扳机,接着数十发弹药同时从不同方向发出,染灰的梁柱上顿时便出现了一个极大的深坑,那是所有队员训练有素的象征。
    7977