愉快な仲間夏も本番になり暑い日が続いているが、今日は心地の良い風が吹いていて、日光浴も気持ちいくらいの気候だった。珍しくせなっちがこっちに帰って来ており、忙しそうだったもりっちと三人で時間があったので、ES敷地内にある緑地でランチをすることにした。
「いい天気で良かったね〜」
「まあ、良過ぎる天気だったら断ってたからねぇ〜」
「瀬名は神経質だものな!」
「いやいや、もりっちが気にしなさ過ぎなんだって」
「なるほど、わからん!」
「ちょっとぉ?!」
もりっちのボケにすかさずツッコムせなっちを見ると、数ヶ月前までの日常と変わらない光景につい笑いが込み上げてしまう。
「かおくん何笑ってるの?」
「あははっ、二人とも変わらないなって」
「羽風は変わったよな!」
「そうかな?」
「あんた、卒業前に身辺整理してたでしょうが」
「ん?うん、そうだけど。それはアイドルとしてやって行くなら必要なことでしょ?」
「そういう真面目になったところの話をしてんの」
「あぁ、そういうこと」
普通のことだと思っていたことが、思ったより身内にも他人にも驚かれているらしい。同じようなことをUNDEADの皆にも言われた覚えがある。とはいえ、それは良い事だと言われたので、続けようと思っているというのが現状だった。
「よし、そろそろ陽も照り始めたし戻ろっか〜」
「そうだねぇ、俺は日焼け止めを塗ってるからって現抜かして焼けるようなことはしたくないからねぇ」
「瀬名…それは俺に言っているのか?」
「他に誰がいるわけぇ?」
再びいつも通りの会話が始まると、遠くからハチワレの猫が寄ってきた。どうやら着いてきて欲しいらしく、少し進んではこちらの様子を伺い、ナーンと鳴かれている。
「猫ちゃんに呼ばれてるんだけど、どうしよう…」
「俺は戻りたいんだけど?」
「何か助けを求めているのかもしれないから見に行こう!行くぞ、羽風!瀬名!」
「ちょっと守沢腕引っ張らないで!」
もりっちに腕を引かれ猫を追いかける。辿り着いた先には、木陰で眠りこけている蓮巳くんがいた。
「なんでこんなところに蓮巳がいるの?」
「いつからここにいるんだろう?」
猫が蓮巳くんに向かって鳴いているのを見ると、随分前からここで眠ってしまっていることが見受けられる。つまり、心配して人を探しながら彷徨っていたところ、俺たちを見つけて助けを求めたということだろう。
「蓮巳くん〜?」
「ん~……」
「ちょっと蓮巳!寝惚けてないでさっさと起きなよねぇ!」
「ん?なんだお前たちか。珍しいな3人揃っているなんて、それとも懐かしいと言うべきか?いや、対して月日は経っていないか…ところで俺に何か用か?」
ようやく目を覚ました蓮巳くんはきょとんとして不思議そうな顔をした。