悪の主人とその従者プロローグ
「時の流れは残酷ですね。」
あの御方の声がする。
唐突に話しかけられたことでこちらが話していたことをやめる。
「なんですか?急に。」
オレはその御方の声に応える。
「ふと、思っただけですよ」
彼は続ける。
「ガナッシュ、もしワタシの身に何かあったら……その時は後のこと頼みますね。」
彼はいつものように笑顔で微笑んだ。
悪の主人とその従者
オレの名はガナッシュ・パンドラ。
秘密結社Secretの頭領にお仕えする従者でもあり右腕とも言える存在……らしい。
要するに組織内では二番手という訳だが、オレ自身はそれで威張るつもりは毛頭ない。
ただ頭領であるあの御方に仕えることが出来ればそれだけで良いのだから。
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