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    Cloe03323776

    @Cloe03323776

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    Cloe03323776

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    アイコンをいただいたお礼に、半目さんへ五夏を意識した話を書きました。
    グロい表現が多いのでご注意ください。
    タイトルは何か思いついたら変えます(笑)

    #五夏
    GoGe

    無題「っ」
    「何」
    「なんで っ」
    「いおあ」
    「もう やめて」
     猿にしか見えなくなった。
     だが、本当は。猿に失礼だということも分かっている。よほど猿の方が世界にとって、価値があるだろう。
     そもそも、もはや、彼らを何かと比較しようとすること自体、その比較対象に対して失礼である。何もないのだ。この命には。何ら価値はない。意味はない。意義はない。どうしてこの世界に、これほどの人数でのさばっているのか。もはや分からない。
     どうして生まれてくるのか。所詮、死ぬしかないこの世界で。死ぬために生まれてきて、何がしたい。どうありたい。どんな存在として価値を発揮しようとしている。
     ただ呪霊から呪術師から守らなければ生きていけない命。己の力で生きていくことすら出来ない分際で、なぜ生きたいと思うのだ。それすら烏滸がましいということに、なぜ気づいていない。
    「あああああやめてどうかおなかのこだけはどうかどうか」
     随分と大きくなっている腹を抱えるように蹲っている女に対しては、そこに狙いを定めて呪霊に襲わせた。ぐちゃりと皮膚と筋肉と胎児が食い破られる音がする。生まれる前に死ねて良かったではないか。どうせ、生まれてから殺されるのだから。腹から血と臓物を垂れ流しながら茫然自失と座り込んでいる母親もまた、頭が食われて無くなった。腹の子と共に死ねて幸せだろう。
    「ぁろぉおぉおぁぁおういう゛おゴッ」
     二人の子供を置き去りにして逃げようとした父親の背中がバグンッと無くなる。剥き出しになった肺や肋骨。まるで汚物を撒き散らすような声を出しているので、その首を刎ねた。穢らわしい。その血が地に帰ることすら穢らわしい。震えて肩を寄せ合う子供は仲良く呪霊に一度に食わせた。多少の激痛はあるだろうけれど、父親と共に一緒に死ねて幸せだろう。
     そう、そうだ。幸せだ。幸せじゃないか。弱者が弱者と共に死ねることは。一人で寂しく死ぬよりも。命果てる時が同じであるなら、最高だ。死とは救済である。そうやって、非術師が一人もいなくなった時に、真の平和で世界は満たされる。
     村から一人ひとり、声が消えていく。阿鼻叫喚は数分のことで。あっという間に、村を構成していた非術師は死んだ。容易い。あまりに、容易い。それもそうだ。彼らは弱い。何ひとつ、力がない。力がないのに、生きていこうとすること自体、間違いだ。可哀想だ。分からせてやらねばなるまい。そして、救ってやらねば。
     救えるのは、私だ。私が、世界を。

    「俺、正論嫌いなんだよね」

     あぁ、本当に忌々しい。今更になって、悟の言葉が頭を過ぎる。いや、違う。あいつの言葉は、常に私の元にあるのだ。いつの間にか、腹の底に沈澱し、私の構成要素の若干を占めている。
     びちゃびちゃと血と臓物に溢れた道を歩く。もはや誰の声も聞こえない静寂の空間。木々の揺らぎ、風の音、虫たちの声だけが届いていくる。そんな夜だ。
     悟、悟。今頃、どうしているだろうか。寮の部屋で、ゲームでもしているだろうか。私がこんなことをしているとは露知らず、眠りにつくのだろう。悟の持っている力があれば、私の成し遂げたい世界など簡単に訪れさせることが出来る。だけれども、悟は決してそれはしないのだろう。

    「呪術は非術師を守るためにある」

     私が、そう言った。だから、悟は決して。そんなことはしない。
     私がそうであるように、悟の中にも私の言葉は沈殿している。それはよく分かっている。互いに、それを手放そうとはしていないことも。互いに、お互いの一部を、授け合っているのだ。今更ながら、私は悟が持っているものが羨ましく思えた。全てを凌駕する力だ。理想とする世界を簡単に生み出すことが出来るだろう。
     それでも、私は私の力で、それを実現する。やっと私の目指すべき世界が見えたのだ。邪魔などさせるものか。たとえ、悟であろうとも。私を止めることなど許されない。
     私が世界を破壊し、一から創造する。
     とある宗教では、この世界は七日で作られたという話がある。神は六日目に人を作り、最後の日に休んだという。その油断が、この事態を招いたのだ。最後の最後まで、徹底的に、世界を作るべきだった。だから、このような弱者が蔓延る世界となってしまったのだ。
     ならば、私がそれを作り上げよう。呪術師が生き残る世界を。

     まぁ、非術士がいなくなれば。
     私もまた、非術士となるのだけれど。
     それはそれで、私にとっては悪くない世界だ。
     なぜなら、きっと最期に、目の前にいるのは悟だろうから。
     その光景を想像すると、思わず。笑みが溢れる。

     最期に交わす言葉は何になるだろうか。
     密かな楽しみを胸に、私は村を後にした。
     
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