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    rio_bmb

    @rio_bmb

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    rio_bmb

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    なんか無茶して足捻ったチェズの手当てをしながら突然纏足の話をはじめるモッさんという文(オチをわすれたので書きかけのまま)

    たぶん「お姫様・下衆」で書こうとした「足、見せて」
     懇願ではなく、命令だった。
     低い声音にいつもの軽妙さはなく、代わりに有無を言わせない圧がある。
     モクマに促されるままベッドに腰掛けた途端、目の前に跪かれて内心ぎょっとした。もちろんそれを顔に出すような真似はしないけれど。
     チェズレイはわざとらしくゆったりと首を傾げてみせる。
    「おや、ガラスの靴でも履かせてくださるので?」
     揶揄する言葉に、モクマは答えなかった。
     背丈のわりに大きな手がチェズレイの右足を捕まえて、ルームシューズをするりと脱がしてしまう。
     かかとを手のひらに乗せて、空いた手でふくらはぎを支える。そうして関節の動きを確かめるようにゆっくりと左右に動かす。
     足首に鈍い痛みが走った。
     けれどチェズレイは眉のひとつも顰めることなく、自分を見上げるモクマの探るような視線を受け止める。ポーカーフェイスは得意だった。どんな苦痛も動揺も、この仮面を剥がすことはできない。夜の色をした瞳が険を帯びて、月が欠けるように細められた。
    「……捻っとるね。腫れてるし、痛いだろうに」
     お前さん、ちっとも顔に出さないんだもの。
     ぼやくような言葉に、チェズレイは失笑した。どの口がそれを言うのだろうか。いつも怪我を隠してやせ我慢をするのはモクマのほうだ。痛みにも強いのだろう。ミカグラ島を出て一年余りになるが、チェズレイはモクマが苦痛を訴えている姿を見た事がなかった。
    「この程度、すぐに治ります。それに、あなただってこんな傷をいちいち申告などなさらないでしょう」
    「そりゃまあ、そうだけども……」
     暗にお互い様だと言えば、それ以上強く言うのも憚られたのだろう。モクマは苦く笑ってから立ち上がり、キャビネットから救急箱を取り出した。消炎鎮痛剤の湿布を手に、再びチェズレイの前に跪く。
     足首に湿布を貼りながら、モクマはひとりごとのように囁いた。
    「でも、やっぱり心配にはなるよ。お前さん、案外無茶をするから」
    「あなたにだけは、言われたくありませんねェ」
     つい先日、何針も縫うような怪我をしたくせに。この男は自分を棚にあげることばかりがうまい。モクマは肩をすくめて嫌味を聞き流し、包帯を手に取る。
     あしたテーピング買ってこようかねと独り言のように呟いた。
    「大仰ですねェ」
    「捻挫はクセになるからね、あんまり動かさんように」
     モクマは慣れた手つきで足首に包帯を巻いていく。
     実際、慣れているのだろう。煌びやかなショーステージの舞台裏に怪我はつきものだ。
    「東のほうにある国では、幼いお姫様の足を布できつく縛って、足が大きくならないようにしたんだとさ。ずいぶん昔の話らしいけど」
     世話話のような軽い口調だった。
     ぱたりと目を瞬いて、自分の足首に包帯を巻く男を見下ろす。
     チェズレイもその話をどこかで耳にしたことがあった。趣味が悪い、と思ったのを覚えている。縛られて本来の形を歪められた小さな足は美しさとして持て囃されたらしい。そんな足ではまともに走ることなどできず、どこにも逃げられない。籠の外に飛び立つこともできない哀れな鳥――地面に堕ちて死んでしまうのとどちらがみじめかは、わからないが。
    「その話聞いた時はむごいことするもんだと思ったけど、今はちぃとばかりわからんでもないね」
     なにせ俺のお姫様はお転婆で、目を離した隙に何をしでかすかわかったもんじゃない。
     冗談めかした言葉の、どこまでが冗談なのか。チェズレイは探るように男を見たが、軽薄な笑みからは真意が読み取りづらい。
    「……この足を切り落として、籠にでも閉じ込めたいですか? 私が逃げ出さないように」
    「まさか」
     モクマはからりと笑って、包帯の端を留めた。恭しく足を下ろして、チェズレイを見上げる。
    「いざって時は抱えて走るくらいするけどさ、俺はお前さんの隣を一緒に歩きたいよ」
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    rio_bmb

    MOURNINGけっこう前(6月か7月?)に書いてたけど新情報が出るたびにお蔵入りにせざるをえなかったモクチェズのラブコメ。読み返したら一周回って記念に供養しとくか…という気持ちになったのでお焚き上げです
    同道後のラブコメ「おじさんを好んでくれる子はいないのかなあ……」
     などとわざとらしく鎌をかけてみたこともあったのだが、あの時は正直なところ半信半疑だった。
     何せ相手が相手だ。都市伝説になるような詐欺師にとって、思わせぶりな態度を取るなんてきっと朝メシ前だろう。そう思うのと同時に、自分を見つめる瞳に浮かぶ熱が偽りとも思えなかった。
    (ひょっとして、脈アリ?)
    (いやいや、浮気って言っとったしなあ)
     その浮気相手にあれだけ心を砕く律儀者が、本命を前にしたらやはり相討ちも辞さないのではないだろうか。あなたと違って死ぬ気はないとは言っていたものの、刺し違えれば勝てるとなればうっかり命を懸けてしまいかねない。彼の律儀さはそうした危うさを孕んでいた。だからその時は脈があるかどうかより、ただ復讐に燃えるチェズレイの身を案じていたのだ。約束で縛ることは叶わず、己では彼の重石にはなれないのかとじれったく思ったのも記憶に新しい。
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