興味の問題五条悟という男は周りの意見を気にしない。誰かの言葉で行動を変えたり、愛想を向けたりというのは不必要だと思っている。そんな非効率的な事をするより、彼にはやるべき事があった。
任務が午前中で終わったある晴れた日。五条悟は一人の友人を待つ。それは彼にとって唯一にして初めて出来た親友と呼べる相手。本来であればそんなに親しい間柄の友人を待つ間は少なからず前向きな感情であるはず。しかし、当の本人は大層不機嫌そうに眉間の皺を深めていた。何故かと言うと本日、既に六人目を突破したのだ。
「あの〜、お一人ですか?」
「良かったら、私達とお茶しましょう」
所謂、ナンパというやつだ。
「だーから、行かねぇって」
しっしっ、と追い払うように手で牽制するが、全く効果がない。最初の女は昼休憩の合間にでも来たようなOLで、昼食に誘われたが相手の顔も見ずに一言「嫌」と答えれば去っていった。次は同い年の女子高生三人組で逃げ道を塞ぐように囲われ、デートに行こうと言われたので「無理」と断ったが諦めない。いい加減鬱陶しいと、無視を始めたらいつの間にか居なくなっていた。
1942