見えないみえ子本丸審神者と本丸
桜が舞い散る季節。
いろいろな所で新たなストーリーが始まる。
そして、この本丸でも新たなストーリーが始まろうとしていた。
庭に植えられた桜の木々が開花し、一面を桜が包む圧巻の景色。
春の花が咲き誇る庭から、玄関にかけての石畳の通路を桜が舞えば、玄関に佇む幾多もの刀剣男士の姿がそこにある。
審神者交代のこの時、刀剣男士は正門から玄関までの通路を開けた状態で新しい審神者を迎えるために整列していた。
一ヶ月前。前任、月宗が審神者業を辞任し、その娘であるみえ子という三十路前の女がここの審神者となることとなった。
この時、この瞬間、皆は胸を逸らせた。
主となる審神者に気に入られるだろうかという少しの不安も、これから先の自分達が彼女の采配により役目を受け、戦場を駆け抜けると思えば気にもならない些細なものである。
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