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    smalldespair57

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    smalldespair57

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    五×転生ばぶ七 
    事変後もろもろ落ち着いた世界線で、最速転生した七(5ちゃい)を五(34ぐらい)が育てています。
    七幼児注意。全ては私が生きるための妄想です。

    #五七
    Gonana
    #幼児化
    infantilization
    #転生
    reincarnation

     よく晴れた昼下がり、気温は20℃前後、空気も澄んで抜群の公園びより。
    平日でも結構子連れが多く、家の近くにはない大きな遊具や広い芝生で楽し気に遊んでいる子らの声が、青空の下に響いている。

    七海もついさっき、公園に着くまでは同じようにはしゃいでいた。
    片手に砂場で遊ぶための大きなプラスチックのスコップをひきずり、片手では僕の手を握ってはいたけど、早く遊びたくて今にも振り払って駆け出していきそうだったのに。今は、足から根が生えたみたいにびたっと止まって動かない。僕の手をぎゅううと握りしめ、直立不動で、目の前のたくさんの呪霊を視界に入れないようにうつむいている。スコップも力なく地面に置かれてしまった。

    あーあ、ガン萎えじゃん。せっかく朝早くから遠出して、お弁当も持ってきたのになあ。


    「……こわいこわいがいる」

     七海がボソッと口に出す。もちろん僕も気づいてはいた。だって僕だし。
    でもまさかこんなに数が多いとは。ざっと数えても二十体はいる。
    でも何体かは、僕のヤバさに気付いてそそくさと姿を消した。うん、賢明賢明。

     滑り台の上でギャン泣きしている女の子を、母親がスマホを構えてほら頑張って、降りておいでと励ましているけど、下でキモくてデカいバケモンが手招きしてればそりゃあ無理な話だ。
    少し距離があったけど、僕はひょいと呪力を飛ばして一体祓った。
    女の子は無事泣き止み、何事もなかったかのようにすいーっと滑り台を降りて、母親に喜ばれていた。

    だいたい5歳ぐらいまでの子供は、呪いや霊的なものが見えることが多い。
    現に、芝生を少し超えたところにある、結構大きさもあって、見るからに子供が好きそうな木の遊具には、ほとんど子供がよりついていない。
    この公園内で今のところ一番呪力のある呪霊が、後ろから無数の脚で抱え込むようにしてその遊具に張り付いているからだ。
    とはいえ、祓うのに帳を下ろすほどのこともない、ざっと見積もって二級の雑魚だろう。

    「ありゃ。ほんと、いっぱいだねえ」

     駐車場から入口ぐらいまでは何もなかったのだが、園内に入って遊歩道を過ぎたぐらいから、七海の口数が減り、歩調が遅くなっていったので、たぶんしっかり残穢を追えていて、大体の数もわかっていたんだろう。気配が濃くなるにつれて、どんどんしゅんとしていくのを見るのは忍びなかったけど。
    さすがは一級、ちゃんとセンスは保ったままだね。このまま早い内から僕がちゃんと訓練できれば、もしかして領域展開も、とついつい教師脳になってしまうのは僕の悪い癖だ。

    いけないいけない。今日は、5歳になったばかりの七海と、大きな公園に思いっきり遊びに来たんだから。術師としての育成はもう少し経ってからでいい。

     僕はちっちゃな七海と目線が合うぐらいまで屈みこみ、うつむく七海にゆっくり問いかける。

    「なーなみ」
    「……おうち、かえる」
    「えぇー、あんなに楽しみにしてたじゃん。お弁当も、七海の好きなパンいっぱい持ってきたよ」
    「………、」

     昔と変わらない碧い瞳に、みるみる涙がたまる。でも七海は5歳のくせに、めったに泣き喚かないので、やっぱり、いかに今は子供で、何も覚えていなくても、七海は七海だなあと苦笑してしまう。
    今も結局、ワンワン泣けばいいのに、必死で涙をこぼすまいと堪えている。
    そういうところ、嫌いじゃないけどね。

     僕はいつもそうするように、七海の高い体温を持つ身体を抱き寄せ、まるいおでこに自分の額をこつんとつける。


    「ななみ。今、どんなきもち?さとるに教えて」
    「……、かなしい、あそべなくてくやしい」
    「そっか。じゃ、ほんとは遊びたいんだね」


     こくん、とうなずいたはずみで一粒涙がぽろっと落ちた。
    うん、素直でよろしい。とってもかわいい。紛れもなく天使だ。
    金髪碧眼の幼児というだけでも可愛いが渋滞しているのに、魂は僕が死ぬほど愛した七海そのものだなんて、完璧すぎる。

    僕は七海をひょいと抱き上げ、
    「よっし!んじゃ、七海のために、こわいこわいをぜーんぶやっつけてあげる!」と息巻いた。
    七海は、物凄く訝し気な顔をしている。何言ってるんですか?と、昔みたいに呆れた声で言い放ちそうだ。

    「大丈夫。僕にちゃんとつかまっといてね」

     そう言って七海を抱っこしたまま歩を進め、まずは僕のヤバさもわからないほどの低級呪霊を手刀でバンバン祓っていく。
    僕、というか多少呪力が使える人間にとっては蚊を殺すよりも造作のないことだ。
    実際、周りからは不機嫌な子供をあやしながらコバエか何か払っているイケてる父親、にしか見えないだろう。

     呪霊が減るにつれ、意味もなく泣き喚いたり奇声を発していた子供たちが面白いように大人しくなる。子供は本当に神聖だ。霊と人間の間の存在。彼らをゆがめるのはいつだって、大人たちから放たれる負の感情だ。

     七海は僕の首にしがみついて大人しくしていたけど、次第に顔を上げ、こっぱみじんに祓われていく呪霊たちを興味津々で観察し始めた。
    でもさすがに、例の木の遊具の前に立った時は、僕の肩口に顔をすっぽり埋めてしまった。

     僕は七海の背中をぽんぽんと軽くたたいてあやしながら、最後の一体となった呪霊を観察する。
    木とよく似た茶色に擬態していて、無数の蜘蛛のような脚がざわざわと蠢いている。
    まるでおもちゃを取られまいとする子供のように、遊具から離れようとしない。
    うめき声に耳を凝らすと、『うちのこのほうが』『うちのいえのほうが』と呟いている。
    なるほど、ママ友のマウント合戦のなれの果てか、と得心がいった。

     さらに近付くと、一斉に脚が僕に伸びてくる。
    七海を抱っこしているから無下限は切ってあるけど、別に問題ない。
    するりと躱して背後に回り、呪力を込めた一撃必殺のグーパンを、甲羅様の背部中心にお見舞いした。爆散する直前のキヤアーという奇声は高く、やはり女性の呪いだな、と思う。

     呪いが解けた遊具は、本来の木の持つ温かい色をさっそく取り戻し、午後の光を存分に受けて輝き始めた。
    さっそく、何人かの鼻の利く子供たちが遊具めがけて駆け寄ってくる。

    七海はというと、いつからそうしていたのか、いつのまにやら顔を上げて僕と同じ方向を向いていた。
    キョロキョロとあたりを見回し、僕の言った通り、怖いものが完全にいなくなったということを確認すると、ぱあっと顔を輝かせて、僕を見上げる。

    「さとる、つよい!すご、すごいねぇ!」

     その純粋な賛辞、そして惜しみない尊敬の眼差しに、僕は心臓を掴まれて何回かシェイクされたような気分になった。

    あの七海が、出会ってから一度も僕を尊敬したことのない七海が、たった今、僕を尊敬している、間違いなく!

    どうしよう今のもう一回言ってもらえるかな、できたらボイスメモに残しておきたい。いや、動画撮ろう。あっでも七海はカメラ好きじゃないんだった。まあ、いいや後でで。でもとりあえずもう一回言ってもらおう。


    「んふふ、嬉しいなあ、もう一回言って♡」
    「さとる、すごいねえ!」
    「すごいですね、そんけいしますって言ってみて」
    「すごい、ですね、そんけい、します!」
    「んふふふふふ、ありがと七海だぁいすき」


     たまらなくなって七海の柔らかいほっぺにキスの雨を降らす。七海は恥ずかしいのか、ちょっと身を捩ってキスを避けるそぶりをするけど、がっちり抱っこされているので避けきることはできない。
    最近人前で僕がキスをするとちょっと抵抗するようになってしまって残念だ。まあでもまだ完全に嫌とは言われていないから、言われるまではやり続けるけどね。

    「そうだ七海、いいこと教えたげよっか」
    「なに?」
    「七海もね、もうちょっと大きくなったらすぐに、こわいこわいを簡単にやっつけられるようになるんだよ」

    思いがけず、七海の顔が曇ってしまった。
    無言でふるふると頭を振って、拒絶されてしまう。

    ほんと!?ななみも、さとるみたいにつよくなれるの?ってキラキラおめめで喜んでくれるかと思ったんだけど、怖いもんは怖いらしい。
    ま、親の夢を子供に押し付けるのはよくないっていうしね。
    それに、時が来ればきっと七海は呪術師になることを自分で選択するだろう。だって七海は、七海だから。
    だからその時までは、文字通り最強のこの僕が、七海を怖がらせる全てのものから守ってあげるね。

    「そっか!そんじゃ、こわいこわいは全部さとるがやっつけたげるから、安心しな」

     ゆっくりと七海を地面に下ろし、僕も屈んでわしゃわしゃと金色の髪をかきまぜてやる。ちょっとだけ汗ばんで湿った髪すら愛らしい。

    あー、本当に愛おしいな。僕の全ての力は、きっと彼のためだけに備わったんだ。
    今度また七海を損なうような世界なら、僕が先に壊してしまいたい、とさえ思う。
    彼は僕の子供ではないけど、今は世の親の気持ちがよくわかる。
    もし本当の子供がいたとしても、お家柄、こんな気持ちになることはなかっただろう。
    七海は、僕を人間にしてくれる存在のひとりだ。とても大切な宝物。

    「よし、んじゃ、めいっぱい遊んどいで!」
    「……さとる」
    「ん?なあに?」


    突如、七海が僕の首に抱き着いてくる。
    どうかしたのか、やっぱりまだ怖いのだろうか、と気を揉んだのもつかの間のこと。


    「だいすき、です」


    耳元で囁くように、しかも、突然の敬語。
    そりゃ普段から、事あるごとにさとるすきすきだいすきと言わせるようには躾けてきたけど、今のは、教えていない。

    動揺する僕をしり目に、七海はぱっと身体を離して、木の遊具の方に駆け出してしまった。

    「~~~まいったなあ…」

     僕は久しぶりに頭を抱え、子供であふれる公園のど真ん中にしゃがんだまま、しばらく動けなかった。


    小さい七海がいろんなことを思い出すのは、また数年後のお話。
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