Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    Kzs

    @IzumiKzs

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 19

    Kzs

    ☆quiet follow

    ツイッターでしているネタ整理のひとつです。フロイデ。
    タイトルが全て。何でも許せる人向け。

    「魔法薬事故で女体化しただけでもリアルがクソゲー過ぎて詰んでたのに、なぜか言い寄ってきてた後輩まで女体化したら、拙者の好きなタイプの百合だった件」

    ※後天性女体化のにょたゆり
    ※💀が百合好き
    ※ネタ整理なので唐突に始まり終わる
    ※すごく頭が悪い

    (2021.12.05)

    魔法薬事故で女体化しただけでもリアルがクソゲー過ぎて詰んでたのに、(以下略 いやホントどうしてこうなった? 拙者なんか悪いことした? まあそりゃ実家絡みではそれなりにカルマを背負ってるかもしれませんが、それがこんな風に反映されることある? ていうか、なんで拙者がフロイド氏の面倒見なきゃいけないんですかね。いくら体が女性化したとはいえ、泣く子も黙る海のギャング、フロイド・リーチですぞ? 野獣の群れの中に放り込んだって、全員返り討ちにするに決まってるんだが? アズール氏もクルーウェルも体よく厄介事を押し付けただけだろ絶対。

     「後はよろしく頼みます」とフロイドを置いてとっとと帰ってしまったアズールと、彼にここに留まる理由を与えたクルーウェルに心の中で呪詛を送りながら、イデアは視線を横にずらす。ものすごく散らかってはいないけれど、お世辞にも整っているとは言えないベッドの上。完全にリラックスした様子でごろんと転がるウツボの人魚は、適当に床から拾った雑誌をパラパラとめくっている。
     薬の作用なのか。少し伸びてボブになったターコイズブルーの毛先が、小さな頭の動きの合わせてサラサラと揺れる。うつ伏せになっているため今のイデアから顔は見えないが、先程の大混乱の中でも認識できた程度には、今のフロイドは美少女だと言えるだろう。ちなみに、自分とは違って胸も大きかった気がする。
     ここが男子校でなければ。今自分のベッドの上にいるのが元は性別オスのフロイド・リーチではなく、本物の女の子だったら。今のこの状況は、世のオタクたちが何度も夢に見た最高の萌えシチュだというのに。いやマジでどうしてこうなったんだよと。視線をタブレットに戻したイデアは、現実逃避のためにソシャゲを立ち上げた。
     タイトル画面でポップアップした更新データのダウンロード確認通知に、慌てて時計をチェックする。人魚二人の突然の訪問とそれに続く狂気の展開ですっかり忘れていたが、今日は今一番ハマっているゲームの新イベント開催日だ。時刻は午後四時過ぎ。イベントの為のメンテが丁度明けたタイミングだった。イデアは慌てて更新ボタンを押し、データダウンロードの進行をソワソワしながら見守る。今回のイベントはイデアにとって特別だった。というのも、最推しの水着SSRが実装されるのだ。絶対に完凸させてやるという意気込みで、既にそこそこの課金も済ませている。
     データダウンロードが終了し、改めて表示されたタイトル画面をタップする。ポップアップしたイベント開催の告知ウインドウを消して、逸る心でガチャ画面へと飛んだ。イベントピックアップガチャの画面いっぱいに表示された推しSSRのイラストに、思わず手が汗ばむ。
     ドキドキとした緊張感は推しを引こうとするユーザーのほとんどが味わうものだが、イデアの場合その心情は一般的なものとは大きくかけ離れている。多くの者は、手持ちのガチャ石や課金限度額内で引けるかどうかという不安に苛まれるものだが、イデアにその類の心配はない。実家が財閥グループの一員であり、自身でもそこそこ稼いでいるイデアにとって、ソシャゲへの課金はいくらしようと大した問題ではないのだ。イデアにとって推しのピックアップガチャは、完凸するまで課金して引き続けるものなのである。
     ではなにをそんなに緊張しているのかといえば、それは酷く心情的な理由が原因だった。まず大前提として、イデアのガチャ運は非常に悪い。その悪さたるや、完全に運命の女神に見放されている。前に別のソシャゲで天井七連続すり抜けした時は、正直この世から消えてなくなりたくなった。それは単純に自分の運の無さが辛いというよりも、推しはそこまで自分のところには来たくないのか……、という類の絶望だった。
     そして、イデアのガチャ運の悪さは推しのピックアップガチャでは、まず間違いなくフルパワーで発揮されるのだ。いわゆる物欲センサーといえばそれまでなのだが、それにしたって七連続天井すり抜けは流石にエグい。ちなみに天井以外ではSSRすら出なかったし、その時は結局、完凸までに二十三天井している。もはや呪われているレベルだ。
     加えて、推しの多くが女性キャラであるイデアにとって、推しが天井してもなかなか来てくれないという現実は、ゲームでも女の子に相手にされない陰キャ引きヲタな自分乙wwwという自嘲全開なナイフになって容赦なく心を切り裂いてくるのだ。なお、このガチャ運の悪さがイデアの卑屈な陰キャ的性格に多少なりとも影響を与えたのは言うまでもない。
     そんな訳で、どうせ天井三回ぐらいするまでは来ないしと心に予防線を張りながら、震える指で十連ボタンをタップしたのだが。予想通り三百連しても来ないし推しに、ここのところの騒動で疲弊しきっていた心が流石に折れそうになる。それでも推しを引くまではやめられない!、と。デカめの追い課金をし、改めて推しSSRイラストの尊さを目に焼き付けたイデアが、まるで戦場に赴く兵士のような気持ちで再びガチャを引こうとした、その時。

    「ホタルイカ先輩、なにやってんの〜?」

     ガチャに全精力を注いでいたイデアの肩のあたりにふにょりと、弾力がありつつも柔らかいものが押し付けられた。

     えっ、はぇ? ななななにこの漫画とかアニメの中では稀によくある、でも決して拙者の身に起こるはずのない展開というか、か、肩のあたりに当たってる、なんかすごく柔らかくてヤバい感触は……。………あ、ダメだ。これ以上考えたらイケナイやつだコレ。む、無心にならないと……そ、そうだ素数、素数を数えるんだ拙者……っ!!

     唐突なラッキースケベ展開(ただし今はイデア自身も肉体は女性化しているし、なんなら両方とも本来は男である)に泡を吹きそうな勢いで素数を数え始めたイデアは、だから後ろからタブレットを覗き込んだフロイドの行動を止めることが出来なかった。

    「あーこれ、ガチャってヤツだよね。なになに、先輩コイツがほしーの? じゃ〜オレが引いてあげんね」
    「………えっ? なに、ちょっと待っ……は、え……ひえっ!」

     柔らかい曲線を帯びた指が背後から伸びてきたと思ったら、健康的なピンク色をした、形の整った爪の先が十連ボタンをタップする。切り替わった画面に慌てて素数の世界から舞い戻ってきたイデアは、フロイドの突然の行動に抗議しようとしたところで、表示されたSSR確定演出に思わず悲鳴を上げてしまう。そのまま固唾を飲んで見守った先。キラキラと虹のように光る召喚陣から現れたのは、イデアが欲してやまない推しの水着イベ限定SSRだった。

    「先輩が欲しかったのってコレ?」
    「ふぁ、ふぁい……」

     登場セリフを音声付きで喋る推しキャラに目頭を熱くしながら、イデアはコクコクと頷く。当然ながら推しは新規登場ボイスも最高だった。

    「良かった〜。オレこーいうのの運、スゲー強いんだよね。ここの寮生にも、オレにガチャ引かせるためにポイントカード集めてるヤツとかいるし」
    「マ?」
    「ま〜」

     なんでもないことのようにサラリと言ってのけるフロイドに、イデアはくらくらと眩暈がする。確かに己のガチャ運が地の底を這っているのだから、ガチャ運が最高に絶好調な人物がいてもおかしくはない。だが、腐ってもイグニハイド寮長。腐ってもデータの信奉者であるイデアとしては、次の十連で来ることが確定していたものをたまたまフロイドが引いたという可能性も捨てきれないと、声を大にして主張したかった。
     というか、来てくれたのは心の底から嬉しいのだが、それが陽キャイケメン枠のフロイドの手によるものだったため、現状を素直に認めると二次元の推しすらも自分より陽キャを選ぶのか……という卑屈全開な思考が止まらなくなりそうだったのだ。そんな訳で、イデアは複雑なことになっている現実はひとまず棚に上げ、検証実験を行うことにした。
     そうして、イデアの頼みにより二人が交互に十連を引き始めてから、およそ十分。最終的に自引き一枚フロイド四枚という圧倒的な差をつけ上で、たった百二十連分の追加で推しのイベ限SSRは完凸したのだった。最初のドブのような三百連とフロイドが勝手に行った十連を合わせても、計四百三十連。嘆きの島のイデア・シュラウド。こんなに早く推しSSRが完凸したのは人生で初めてだった。自分の垢なのにそこはかとなくNTRっぽい気持ちになるのは切ないが、それでも嬉しいものは嬉しい。一枚は自引きなのだから、推しに完全にフラレた(?)という訳でもないはずだ。むしろいつもは遠慮して来るのが遅くなるところを、陽キャ特有の強引さでフロイドが早めに連れてきてくれたのかもしれない。そんな風に考えることで折り合いをつけたイデアは、早速完凸させた推しをホームに設定した。

    「ふーん、ホタルイカ先輩ってこーいうメスが好みなんだぁ」
    「ひょおぉぉぉッ!?」
    「なにそれビビリすぎ〜。相変わらずおもしれー鳴き声だねぇ、ちょーウケる」
    「ひぇ、え…あ、ハイ……す、すすみませ、ふひ」

     まずはホームボイスを回収がてら堪能し、次はレベル上げだと意気込んで育成画面に移動したところ。耳のすぐそばで聞こえた声に、イデアは文字通り椅子から飛び上がった。忘れていたわけではないが、推しを堪能することに全神経を集中させていたため、意識の外に追いやってしまっていた存在。女体化したオタクの部屋に、これまた女体化して押しかけてきた陽キャ――この場合はギャルになるのだろうか?――という、頭の悪いラノベのような展開を実現させた張本人を慌てて振り返る。
     改めて真正面から見ると、女性化したフロイドがあいも変わらずスクールカーストの上位存在であることがよく分かった。女子になってもガリガリかつ貧乳で、目つきも血色も悪く萌え要素の欠片も見当たらない自分とは対象的に、いつもよりパッチリとしたまつ毛ビッシリなオッドアイを瞬かせ、ぷっくりと艷やかな唇に笑みを浮かべた高スペギャルは、やはりその胸の膨らみもかなりデカい。女子となっても埋まらない圧倒的な格差は、そりゃ推しも拙者よりフロイド氏に呼ばれた方が行く気になるよなと冷静に納得してしまう程だ。自分だってこの二人に同時に呼びかけられたら、ギャルへの苦手意識があったとしても、フロイドの方を選ぶに決まっている。

    「センパイもこれ触りたい?」

     ああせめて、お約束的に触ってみたところで虚無しか生まれなかった己の慎ましい胸が、あのぐらい大きければ少しはこの状況も楽しめたのかもしれないのに、と。意味のないことを考えながら、無意識に見つめてしまっていた視線の先。比較的ゆったりとした式典服ローブの襟から覗く二つの胸の膨らみを、持ち主であるフロイドが両手でぽよぽよと上下に揺らす。童貞にはあまりにも刺激が強すぎる絵面に、イデアの喉がヒュッと鳴った。次いで、陰キャ引きヲタがやったら社会的な死一直線な行動をしていた自分に気付いた青い唇から、高速の呪詛のような言い訳が飛び出す。

    「ち、ちちちちちちがっ、あひ……そ、その、これは違うんです誤解です拙者は決してフロイド氏の、その、む、むむむ胸を凝視していたワケではなくてですね、あの、じょ、女子になってもガリガリ貧乳で色気も萌え要素のひとつもない拙者自身を憐れんでいたわけでして、断じてフロイド氏の胸を触りたいといったような意図はなくどちらかというとこんなクソみたいな女体化展開来るならもっと都合よく自分の胸が大きくなってくれればまだ少しは救いがあったのに本当にリアルはクソゲーすぎてムリですわ〜ってなってたといいますか、その、本当に拙者フロイド氏の胸を揉みたいなんて思ってないので見逃してくださしあホント生きててスミマセン……」

     あ、死にたい。
     必死に弁明するあまり訳の分からない、なのに明確に気持ち悪いことを口走ってしまった自分を理解してイデアは泣きたくなった。

     胸を揉むってなんだよ拙者そこは触るのままで良かっただろマジ自分キモすぎワロタ。いやそりゃ自分が爆乳だったらやってみたかったけど、今この状況でその言い方は完全にキモオタムーブで社会的抹殺待ったなしじゃん、もうムリオワタ……。

     絶望を感じて目を閉じたイデアの脳裏に、自分のキモオタ言動がフロイドからジェイドとアズール、そこからオクタ寮生やモストロスタッフ、その他寮長メンバーを含む各自の友人知人に爆速で広まっていく様子が浮かぶ。自分が外に出ようものなら、さされる後ろ指の数はこれまでの比ではないだろう。

     現在の悪夢のような状況が解消されたとしても、もうこのままずっと引きこもってよう……。一人部屋を手放すのは死ぬほど嫌だが、寮長の座も誰かに譲ってゴミはゴミらしく部屋の隅でイジケているのがお似合いですしおすし……。

     そんな地獄のような未来予想に気を取られていたのだから、当然といえば当然のことなのだが。ふに、と。これまでの人生では当たり前のように無縁だった、胸の膨らみを揉まれるという感覚に気付くまで、イデアは自分の状況にまったく注意を払っていなかった。

    「オレはこんぐらいの方が動きやすくていいと思うけど。ちゃんとやわらけーし、オレは先輩のおっぱい好きだよ」
    「………???」

     現状に理解が追いつかず、脳内いっぱいにクエスチョンマーク乱舞させたまま、イデアは視線を自分の胸元へと向ける。いつの間に開けられたのか。イデアのトレードマークでもあるオーバーサイズパーカーの、途中まで下ろされたジッパー内側。よれよれの青いTシャツになんの苦労もなく収まった小さな二つの膨らみを、目の前の人物から伸びた両手がふにふにと包み込んでいた。

    「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

     きっちり声帯まで女性化している白い喉から、絹を引き裂くような悲鳴が上がる。咄嗟にフロイドの両手を払い除けたイデアは、自身の胸を保護するように両腕で己の体を抱き締めた。

    「な、なななな、なっ、なっ??」
    「あーごめん、強かったぁ?」
    「いや、そーいうことじゃなくてですね!? い、いきなり人の胸揉むとか、な、なにしてくれやがるんです??? 揉みたいなら自分のそのご立派なブツを揉めばいいでしょうが!」
    「え〜別におっぱい揉みたかったワケじゃねぇし。それに、いきなりじゃねーよ? オレ、ちゃんと触っていいか聞いたもん」
    「えっ……そなの?」
    「うん。そんな違いねーと思うけど、そこまで言うならちょっと触らせて?って。まー返事はなかったけど、別にダメとも言われなかったし。そもそも人と話してる最中にいきなり無反応になる先輩の方が、オレとしてはどーかと思うんだけど」
    「アッ、ハイ、スミマセン。オタクすぐ自分の精神世界に入り込んでしまうもんで……いやでも流石に女性化した他人の胸を揉むのはどうかと思う気がするんですが……?」
    「つっても今オレも先輩もメス同士だし。ていうか、そもそもオレらオス同士だし。そんな気にする必要なくねー?」

     どう見ても自分より圧倒的に世間の大多数側にいるフロイドにサラリと言われ、一連の出来事ですっかりキモオタな自分に打ちのめされていたイデアは、ここで変に意識する方が逆にキモいんだ!?、と更なる追い打ちにすっかり打ちひしがれてしまう。そうしてそのまま、秒速で己の精神世界に再び入り込んでしまったものだから。「でも後になって対価請求されんのもヤだしな〜。先輩もオレの揉んどいてよ」なんていうフロイドの言葉も耳に入らなければ、己の両手がなにか温かくて柔らかいものをふにふにするまで、またしても現実を見逃してしまっていた。
     むにむに、ふにふに、と。なんかよく分からないけど、やけに幸せで心地よい温もりをてのひらに感じるなあ、なんて考えながら。キモオタな自分を再認識して砕け散った心を温かく包み込んで癒やしてくれるような感触に、思わず手をわさわさと動かしてしまったイデアはそこで漸く、ていうかコレなに?と思い至る。
     そうして、ふわふわと夢見心地なまま視線を向けた先。己の両手が遠慮なくモミモミしているのが、フロイドの大きくて形の良いおっぱいだと認識した瞬間。

    「ひょえぇぇぇっ!?」

     思わず仰け反った身体は、無様に椅子から転げ落ちてしまった。

    「センパイ、さすがに強く揉みすぎじゃね?」

     ほんのりと頬を染めたフロイドが、その理由の理解を拒否するイデアの上に覆い被さってくる 。乱雑に本の積まれた青いカーペットの、僅かな隙間にはまるように転がったイデアは、迫りくる美少女フェイスを前に涙目で震えることしか出来なかった。

    「はわ、ゴメっ……ほんとスミマセッ、」
    「あーいや、揉めって言ったのはオレだし謝る必要はねーんだけど。それに先輩に触られんのは別にイヤじゃねぇし。ただもうちょっと優しくしてほしーってだけ。……ねぇねぇ、ホタルイカセンパイ。もっと触ってみる?」

     サラリとサイドに揺れる髪を耳にかけて、甘ったるい少女の声で囁いたフロイドが、その豊満な胸ごとスレンダーな身体を寄せてくる。いくら相手が男子校の後輩で、泣く子も黙る指定暴力団オクタヴィネルの物騒リーチとはいえ、本来であれば陰キャキモオタ童貞の自分では遭遇率ゼロパーセントなイベントの発生に、スペキャ状態に陥ったイデアはまともな反応できない。ただ、今の自分が女体化してて良かった、じゃないと息子が反応していたかもしれない……なんてことをうっかりと考えたところで、ふと気付いてしまったのだ。いやこれ見た目的には最高の百合シチュだし、なんならデジャヴ感あるな?、と。
     途端、脳内に鮮やかに浮かび上がってきた映像に、先程から頭の隅でずっと引っかかっていたもやもやの正体が判明してゆく。

     放課後の屋上。ガチャ運がないことを嘆きながら、ネットで見つけた謎儀式を執り行いつつ推しを引こうとするオタク少女と、突如現れた上に自分は運が良いからと勝手にガチャを引き、見事オタク少女の推しを引き当てる底抜けに明るい後輩ギャル。
     そんな出会いから始まり、大好きな兄がオタクだからとオタクに対して異常に優しくて理解のあるギャルに懐かれ、振り回されるうちに心を許してゆく少し影のある先輩と、口ではなんだかんだ言いつつも自分を構ってくれる先輩にどんどん恋心を募らせてゆく後輩が織り成す、胸キュン必須の青春百合漫画。今をときめく人気百合漫画家ハルメイタ先生の「放課後推し色ラプソディ」じゃんコレ!、とイデアは心の中で絶叫した。

     現在十巻目のリリースを控えた大人気百合漫画の、重要なターニングポイントとなった七巻目。ノンケだから当然といえば当然なのだが、自分をただの後輩としか見てくれない先輩に焦れた末、くすぐり合いっこから胸の触り合いに発展したじゃれ合いを経て、後輩を初めて意識した先輩にギャルが迫るシーンは百合愛好家を自負するイデアも大満足な萌えシチュだったのだが。経緯を三行ぐらいに纏めたら現在の状況と概ね一致していることに気付いてしまった今となっては、今後どのようなテンションで読み返せばいいのか正直もう分からない。
     推し百合漫画の萌えシチュを、外見は一時的に女性化しているとはいえ自分含む男二人で再現するとかどんな地獄だよ。そう思った途端スン…となったイデアの脳は、即座に冷静さを取り戻すことに成功した。



    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💘👍👏👏💞💲🅰ℹ©🇴⤴⤴❤❤❤💘😭👏🇱🇴🇻🇪💘💘💘💘💖💕💞🍑💒💯🍼👍❤💖💖💖👍🇴🇱🇻🇪🙏💞💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator