エルガド編【仮】◇◇◇
太陽を背にした、辺り一帯を覆い隠す大きさの影が急降下してくる。吐かれた火球ぎりぎりを対象から離れ過ぎないように転がり、かわしていく。
剣斧を握り直し、横を通り抜けざまに尾に一発叩き込んだ…が、びくともしない。攻撃はそれなりに弱点へと叩き込んでいるはずなのに。
ふわりと軽く浮き上がった時は毒棘の仕込まれた尾を獲物に叩き込む動作だ。リオレイアの動向を見据えながら、剣に変形させ、眉間のど真ん中合わせで振り下ろした。
当たった確かな手ごたえが両手に鈍い振動となって伝わってくる。流石に脳天へ一発はきつかったのだろう、ギャウ、と一鳴きし、壮絶な鋭さをぎらつかせる両目が伏せた。
畳みかけるようにもう一発、斧変形で地面へと叩き落とそうとした時だった。
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