全年齢リヒシモ“リヒター、正しいことに力を使うんだぞ。お前のそれは誰かではなく、誰でも傷つけられるのだから”
リヒターはとある研究施設の付近にある森で鹿を追っていた。静かな夜で息を潜めながら、何故だかそんな言葉を思い出したのだ。
祖父ジュスト・ベルモンドがリヒターに語ったそれはリヒターが誰かを傷つけそうになる時に戒めとして刻まれている。
西暦1999年、一族の宿願であるドラキュラ伯爵が滅ぼされ恒久的に続く平和を人類は享受しているはずだった。
だが、それが再び脅かされそうになっている。脅威に立ち向かうために魔術書内に綴られた過去の英雄を魔力で再現し顕現させた。
リヒター・ベルモンドもその一人だ。今、ここにいるリヒターはリヒターであって、もはや実体のある亡霊のようなものだ。
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