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    zeppei27

    @zeppei27

    カダツ(@zeppei27)のポイポイ!そのとき好きなものを思うままに書いた小説を載せています。

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    傭泥で、謎のスパダリ(?)ナワーブに悩まされるピアソンさんのお話です。果たしてナワーブの真意はどこにあるのか、一緒に迷いながら楽しんでいただければ幸いです〜続きます!

    #小説
    novel
    #第五人格
    fifthPersonality
    #傭泥

    ご親切にどうもありがとう/1 他人に配慮することは、相手に目に見えぬ『貸し』を作ることである。塵も積もればなんとやらで、あからさまでなしにさりげなく、しかし何とはなしに伝えねばならない。当たり前だと思われてはこちらの損だからだ。返せる程度の親切を相手に『させた』時点で関係は極限に達する。お互いとても楽しい経験で、これからも続けたいと思わせたならば大成功だ。
     そう、クリーチャー・ピアソンにとって『親切』はあくまでもビジネスであり駆け引きだ。慈善家の看板を掲げているのは、何もない状態で親切心を表現しようものならば疑惑を抱かせてしまう自分の見目故である。生い立ちからすれば見てくれの良さは必ずしも良いものではなかったと言うならば、曳かれ者の小唄になってしまうだろう。せめてもう少し好感触を抱かせる容貌をしていたらば楽ができたはずだからだ。クリーチャーはドブの臭いのように自分の人生を引きずっていた――故にそれを逆手に取っている。
     ともかく何が言いたいかと言うと、気まぐれに優しくするならばともかく、変わらぬ優しさや配慮を無関係の他者に注ぐ場合は裏があるという話である。それも小動物や子供相手でなしに、自分、このクリーチャー・ピアソンに対してとなれば圧倒的に打算の二文字以外は存在し得ない。
    「人の親切を疑うなんて卑しい奴だな」
    「どの口がそれを言うんだ、ノートン」
    同じ穴の狢のくせに、と侮蔑の響きを込めて相手の名前を呼ぶと、クリーチャーは大声でデミ・バーボンにお代わりを頼んだ。名バーテンダーである彼女の登場以来、飲んだくれどもがなんとなく集まっていた荘園の一角は、立派なバーカウンターやマグが打ち付けられても動じぬ分厚いテーブルが設けられ、良質なパブへと変貌していた。日がな『ゲーム』で稼ぐ偽物の通貨の使い道は限られており、住人たちが脚繁く通うようになるのは道理だろう。
     かく言うクリーチャーも、すっかり顔馴染みとなったノートン・キャンベルとアンドルー・クレスを伴って今日もカクテルを楽しんでいる。こんな洒落た飲み物は外界でお目にかかったこともなかったが、デミが調合してくれた一杯を味わってからは一日一度は口にしないと気が済まないようになるほど夢中にさせられていた。今夜は真っ赤な苺の海にふわふわとした白い雲がかかるラヴァフローというもので、一口啜ると体験したことのない真夏の浜辺で風に当たっているような記憶が蘇ってくる。
    隣で同じものを啜るアンドルーが、ココナッツとパイナップルらしいと白い雲の謎解きを告げる。この男は基本的に他人のことなどどこ吹く風のようである癖に、時折丸のまま人の話をそっくり記憶しているのだ。恐らくデミが説明してくれたのだろう。何処がアンドルーの興味を引いたのだろう?外界で墓守をしていた陰鬱な男の蒼白の肌を横目に、クリーチャーはテーブルを叩いた。
    「君が私の立場だったら同じことを言えるか?」
    「まあ、十中八九金目当てだね」
    「おい!」
    自分以上にあからさまな物言いをしたノートンに舌打ちすると、クリーチャーはデミから受け取ったお代わりにうっとりした。もくもくとした雲は代金に裏打ちされた掛け値なしの本物だ。優しさは、結局噛み砕けないものでできている方が安心できる。あるいはむしり合うことさえできない底辺同士の気やすさか。ノートンとアンドルーを見ていると妙に落ち着く理由を一瞬考え、首を振って打ち払う。この関係は打算づくめでちょうど良い。
    「はは、でもさ、あんたたちの関係は俺が来るよりもずっと前からだろ?なんと言うか、」
    「『当たり前』に見える」
    ぼそ、とアンドルーが会話に飛礫を投げ込む。僅かに打ち寄せる相手の感情から、そろそろ自分の訴えが面倒くさがられているのだと察せられたが、クリーチャーは今日こそ引かぬと決めていた。彼らは同じ穴の狢、優しさを売り歩く相手ではなく掛け値なしの打算で腹を割って話せる数少ないご同類である。時間をかけて見定めてきた結果、クリーチャーは二人にならば任せることができると言う結論に至りつつあった。
    「『当たり前』じゃない。普通じゃないんだ、絶対に何かある」
    かの熟練傭兵、ナワーブ・サベダーがクリーチャー・ピアソンに『親切』であるなど誰も信じるまい。だがこれこそが事実であり、揺り動かしたい現実である。何かがおかしい。元を辿ることができないならば、せめて親切の連鎖を断ち切りたい。自分の優しさは本物の売り物だが、他人のそれは真贋つけ難い。世の中無料ほど怖いものはないのだ。
     こちらの真剣さを感じ取ってか、心持ち猫背をまっすぐに伸ばしたアンドルーに満足すると、クリーチャーは日常を解きほぐすことから始めた。




     ナワーブ・サベダーが荘園にやって来た日、クリーチャーは生憎『ゲーム』に参加していたため出迎えることができなかった。軍関係者が来るらしいとナイチンゲールが囁いたため気になっていただけに口惜しい。結局、最後にものを言うのは個々人の力――暴力であることが多いためである。簡単に自分の氏素性についてをエミリー・ダイアーが紹介したと聞いた時には目眩がしたものだ。
     彼女には十分親切に接してきたつもりだが、食えぬ相手は互い腑を確かめ合って笑顔で別れるにとどまった。二人が大人でなければ、とっくのとうに相手を葬り去っていただろう。現にフレディ・ライリーとは底辺の小競り合いを幾度か繰り返している。紳士ぶったフレディでさえもこれなのだ、淑女の面を被ったエミリーならばどう出たものかわからない。忌々しいことはいくらかあれども、お互いの良さ――利用すべき点も理解しあっているため、クリーチャーにとって納得のゆく関係だった。
     だが、初対面の人間に彼女が抱く印象が投影されたらば?真っ白なシーツは瞬く間に黒く染まってゆくことだろう。あるいは血を見るかもしれない。新参者が変な正義感に凝り固まった人物ではないことを願いつつ、クリーチャーは饒舌に話すセルヴェ・ル・ロイに直接紹介を受けた。
    「クリーチャー・ピアソンだ。聞いている通り、『慈善家』だよ。よろしく」
    「あんたが、クリーチャー」
    試されるような眼差しは想像以上に鋭く、クリーチャーは僅かに怯んだ。同時に、自分の臆病さに呆れてしまう。ナワーブ・サベダーだ、とセルヴェに紹介された青年の目は、深く被ったフードのせいで殆ど見えない。はっきりと目に入るのは歪んだ弧を描く口元だけだ。それも、笑顔を強調するかのように口の両端が切り裂かれ、おぞましい縫い跡で取り繕われている。子供であればその恐ろしさに泣いたに違いない。東洋風に訛った声は掠れて、まだ若さを感じさせるが、恐ろしさを覆すには至らなかった。
     十分育ち切った自分が恐れる謂れは一つもない。気を取り直して軽口でも叩こうと口を開くよりも先に、ナワーブが話の穂を継いだ。
    「『生き物(Creature)』なんて名前だって言うから、どんな奴かと思ったら、案外普通なんだな」
    クリーチャー、哀れな化け物。記憶の底から響く嘲笑を押さえ込むと、クリーチャーは穏やかに切り返した。
    「軍人さんは冗談がお上手だな。私の名前は『Kreature』、同じように聞こえるかもしれないが”C”じゃない、”K”だ。間違えないでくれ」
    「俺は傭兵だよ。軍人じゃない」
    「なるほど、覚えておこう。よろしく、サベダー君」
    手を差し出すと、ぎゅうと思い切り掴まれ心臓に冷や汗を掻く。武器を持ち慣れた人間らしい、分厚くマメだらけの硬い皮膚が骨ばった薄い手のひらに食い込んで、痕が残ってしまいそうだ。軍人呼ばわりが癇に障ったのか?大概の人間は傭兵よりも軍人を高評価するものだ――どちらも金で雇われた人殺しだろうに。ナワーブの本心は窺い知れない。あはは、と乾いた笑い声が耳に響く。
    「……よろしく、クリーチャー」
    先ほどより上向いた声色に、クリーチャーはほっと胸を撫で下ろした。この際名前の呼び方など不問に処そう。後々必要に応じて変えていけば良いだけの話だ。順調な出だしにひとまずは満足するとしよう。
     一つ問題が片づけば、計算高い頭脳はすぐさま次へと向かう。屈強な傭兵の青年に好印象を植え付けるために必要なものは何か。荘園の設備や暮らしについては既にエミリーたちが説明しているだろう。ならば自分が有益な存在であることをどう示したものか。握られたままの手が痺れて軋む。そうだ、何だってこの男は初対面の男の手をいつまでも握っているのだろう。異常事態は当然他の住人たちも気づいており、物珍しげな視線がチラチラと投げかけられていた。どうにも居心地が悪くていけない。どこか別の場所へ、否、この状況で二人きりになるには危険な相手かもしれない。
     永遠にも似た葛藤を打ち破ったのは、またもナワーブだった。
    「クリーチャー、この荘園について説明してくれ」
    「……それなら、もうエミリーたちがしたんじゃないのか?」
    医師としての良心に訴えかけるべくエミリーに助けを乞うと、頼もしい同僚はこくりと頷いた。
    「もちろんよ。私とセルヴェさんで出迎えたんだもの。でも、」
    「『ゲーム』についてはまだ聞いていない」
    会話を打ち破るかのようにナワーブが最後を奪う。その間も手は握られたままで、このまま自分は攫われて殺されるのではないかという恐ろしい予感に打ち震える。三十年以上底辺を彷徨ってきたのだ、クリーチャーだって危険な目にはそれなりに遭っている。だがこの奇妙な事態ばかりは未だかつてない恐怖と困惑とを与えつつあった。
    「『ゲーム』か。ああ、終わったばかりだからちょうど良い。練習場へ行こう。試合後で悪いがウィリアム、手伝ってくれるか?」
    年齢も近いスポーツ青年を誘うと、裏表のない男は二つ返事で承知した。日頃の行いの成果でもあるだろう。
    「良いぜ、ピアソンさん。ナワーブ、俺はウィリアム・エリスだ。よろしくな」
    「よろしく」
    傭兵の返事はそっけないもので、ウィリアムが差し出した手を取ろうともしなかった。ただ、流石にクリーチャーの手を離すことは思い出せたらしい。解放された手に一挙に血が巡り、ヒリヒリとした痒みを起こす。軽く手を振って感覚を取り戻すと、クリーチャーはついでにトレイシー・レズニックも誘って練習場へと向かった。危険は分散された方が良い。そして、ウィリアムとトレイシーならば自分が思うように流れを操作できる。賑やかに和やかに、だが着実に、だ。




    「ここが練習場だ。実際はもっと広いし、色々な建物が建物があったりと毎回違う場所に連れて行かれる。おっと、仕組みについては聞かないでくれよ?誰にもわからないことだからな」
    工場跡を模した、最も基本的な作りの練習場に対してナワーブは鼻を鳴らしただけだった。ここで鬼ごっこもどきをすると説明を加えたならば尚更で、どういう経緯で荘園に連れてこられたかはさておき、知らなすぎるとクリーチャーは苦笑した。初めて『ゲーム』に臨む人間は皆一様の態度を見せる。クリーチャーとてそうだった。大の大人が原っぱで鬼ごっこなど、全く大した話ではないか。勝てば目もくらむような賞金や宝石、喉から手が出るほど欲しかった後ろ盾や稀少な物さえ手に入れられるのだ。大金持ちの酔狂に万歳三唱!
     残念ながら、誰しも初めは希望で胸をはち切れんばかりにし、緊張と根拠のない自信とで勇む物だが、膨らんだ風船は無惨にも現実に打ち破られることとなる。少なくとも、クリーチャーは既に気づいているし、狂わないためにも無視をし続けているが、恐らくそんな未来は用意されていない。親切で寛大な申し出には罠がある――ああ自分が最も理解していたというのに!
     『ゲーム』の残酷さを知った時、終わりが来ないことを知った時、そしてここから自分たちは出られないのだと悟った時、この青年はどんな反応を見せることだろう。わずかな同情と好奇心とを抱きつつ、クリーチャーは淡々と仕組みを説明しながらナワーブの反応を確かめた。冷静沈着、口数は少なくも的確で、トレイシーやウィリアムが子犬のように戯れても少しも靡かない。寧ろ、四人一組で行う物だと説明した際にはあからさまに足手纏いではないかと口にした程である。
     なるほど、ナワーブは傭兵だ。団体行動が絶対となる軍人では到底あり得ない。報酬こそ全てで、この場の誰もが代わりを差し出してはやれないのだ。だからだろう。クリーチャーはささやかな意地悪をすることに決めた。自分とて情が深いわけではなく打算づくである。それでももう少し融通を利かせたいと相手にも願う――他人任せは危険の始まりだ――のは許していただきたい。ウィリアムとトレイシーがこのあからさまな取り組みに水を差さないのは、鈍感さからではなく恐らく自分と同じ気持ちだからだ。そう、クリーチャーは考えることに決めた。
    「基本的な説明は以上だ。あとは、こなしていくうちにわかるだろう。質問したいことがあれば、いつでも気軽に聞いてほしい」
    「……聞きたいことは二つある」
    少し間を置くと、ナワーブはゆっくりと噛んで含めるように言葉を並べた。
    「ハンターを殺すことはできないのか?話を聞いていると化け物らしいが、殺せばその分早く『ゲーム』が終わるだろう」
    「おいおい、いきなり物騒だな」
    ヒュウ、とウィリアムが口笛を吹き、トレイシーが操作する人形に脇腹を突かれる。予想通りの質問に、クリーチャーは心中密かに微笑んだ。傭兵であれば必ずや気にするだろうと思って、敢えて説明せずにいたのである。
    「それはできない。一時的に動かなくさせることはできても、あいつらを椅子に縛りつけることもできない」
    「やってみたのか?」
    「やったよ」
    あっけらかんとトレイシーが答えたことに対し、ナワーブがあからさまに不信感を漂わせる。発言者がか弱い少女なのだから当然の見方だ。が、今や頼もしい解読兼牽制役である機械技師は怯まず自分の『挑戦』を並べ立てた。
    「方法なんていくらでもあるし、こっちは四人だからね。僕もちゃんと手伝ったんだ。板で何度も殴って脳を傷めさせたり、焼き焦げるまで感電させたり、2階の高さから何度も落としたり――ああ、これで怪我しないのは僕たちも変だ――、確か、誰かメスで刺してみたんじゃなかったかな?ともかく、色々やってみたけれどもダメなんだよ。おまけに後で酷い目にも遭うんだ」
    頭がおかしくなりそうになるから、これ以上は言わないね、とトレイシーは説明を切り上げた。料理の手順を教えるような明快さに、クリーチャーは惜しみなく拍手を送った。こんなことまで当たり前になった世界よ、ありがとう。もし外界に出ることがあれば、自分たちは間違いなく誰よりもしぶとく、手段を選ばずに生きていけるに違いない。
     流石にこの展開は予想外だったのだろう。ナワーブは顎に手をやると何度も擦り、うなり、信じられないとぶつぶつ呟いた。何にしたって、ここは一見普通に見えてもあらゆるものが異常だ。それだけ理解できれば十分である。実際ナワーブはやってみようとするだろうが、そうなれば現実を体で理解するまでだ。武力で相手を捩じ伏せてきた傭兵にはさぞや屈辱だろう。それをどう拾うか、がクリーチャーの本領発揮のしどころである。
    「殺せないことはわかった。じゃあ、逆に俺たちがその……ロケットチェアで飛ばされたら、本当に死ぬのか?」
    「良い質問だ」
    最も恐ろしいことを初めに聞くことも素晴らしい。この質問にはウィリアムもトレイシーもスッと表情を消した。恐らく、各々直近のことを思い出しているのだろう。
    「わからない」
    「わからない?」
    「ロケットチェアで飛ぶ衝撃は覚えているんだ。きっと本当に飛んでいるんだろう。私の体はバラバラになっていたかもしれない」
    とんでもない恐怖譚だ。感情を載せずに言葉を選んではいるものの、じんわりと手のひらに汗が滲む。全身がきっと弾け飛んだはずの瞬間、血が抜けきって意識が手放された瞬間、チェイスの最中に負ったいくつもの痛みを体は覚えているのだ。だというのに、
    「それでも、気付いたらここに戻っているんだ。五体満足で、何もなかったみたいに、何も覚えていないままでね。……ひょっとしたら、ここにいる私はとっくのとうに死んだ幽霊かもしれない、うっ」
    いきなりぎゅっと腕を掴まれ、あまりの力強さにクリーチャーは目を白黒させた。ギリギリと締め上げる力でナワーブの体に引き寄せられる。深く被ったフードを脱ぐと、傭兵はギラギラとした眼差しでこちらを見つめた。ああ、と開いた大きな口が捕食者のようで恐ろしい。訳もわからず、クリーチャーはウィリアムに助けを頼むべく視線を彷徨わせたが、主導権を握っていたのはナワーブだった。
    「大丈夫だよ、クリーチャー。俺が必ずあんたを守る」
    「は?はあ」
    「あんたを亡くしたりなんかしない」
    幸運なのか不運なのか、まるで判別のつかぬ出来事に頭が混乱してしまう。こんなことは初めてだ――だが、目の前の男が頼もしいことは確かだろう。今やクリーチャーは、ナワーブを敵に回した人間は後悔したか、後悔する間もなくこの世をさったに違いないと確信していた。
     何が彼の気に入ったのだろう?存外鼻筋の通った顔立ちは、満足したような笑みを浮かべると再びフードに覆われて暗闇に沈んでいった。ついで、掴んでいた手が緩む。機械人形に背中を支えられ、クリーチャーはほっと胸を撫で下ろした。
     揶揄われたにしては大袈裟で、真剣にするには信ずるに足りない。モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、クリーチャーは青年たちを夕食へと誘った。今日の夕食は自分がカート・フランクと作った異国料理の『カレー』だ。ひょっとすると、東方から来たという新参者は気に入ってくれるかもしれない。胃袋は最大の友人である。ナワーブとは追々良い関係を築けることだろう。
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    DONE傭泥で、謎のスパダリ(?)ナワーブに悩まされるピアソンさんのお話です。果たしてナワーブの真意はどこにあるのか、一緒に迷いながら楽しんでいただければ幸いです〜続きます!
    ご親切にどうもありがとう/1 他人に配慮することは、相手に目に見えぬ『貸し』を作ることである。塵も積もればなんとやらで、あからさまでなしにさりげなく、しかし何とはなしに伝えねばならない。当たり前だと思われてはこちらの損だからだ。返せる程度の親切を相手に『させた』時点で関係は極限に達する。お互いとても楽しい経験で、これからも続けたいと思わせたならば大成功だ。
     そう、クリーチャー・ピアソンにとって『親切』はあくまでもビジネスであり駆け引きだ。慈善家の看板を掲げているのは、何もない状態で親切心を表現しようものならば疑惑を抱かせてしまう自分の見目故である。生い立ちからすれば見てくれの良さは必ずしも良いものではなかったと言うならば、曳かれ者の小唄になってしまうだろう。せめてもう少し好感触を抱かせる容貌をしていたらば楽ができたはずだからだ。クリーチャーはドブの臭いのように自分の人生を引きずっていた――故にそれを逆手に取っている。
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