通りゃんせ通りゃんせ通りゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天神さまの細道じゃ
◆◆◆
呼び出されて久方振りに高専に来ている。先の死滅海游だの宿儺との大戦だので彼方此方の結界が綻びを来たしており、それの修復に助力して欲しいとの事。こちらが命懸けで繕った所でどうせ非術師共は理解も感謝もせず識りもせず暮らしていくだけ。全く割に合わぬ。せめて気晴らしに何か──おや、あれに見えるは……丁度良い。少しばかり揶揄って遊んでやろうぢゃないか。
「やあやあ日車寛見君だね?」
狭い廊下、立ち止まり振り返る姿見は如何にも生真面目で潔癖。
「予々お会いしたいと思っていたよ。弁護士先生なんだってね?伊地知が呪術界の法整備をしてもらって助かったと言っていた。それだけでなくたったの数ヶ月で一級認定とは恐れ入る。天才術師との称号も伊達ではないようだね」
1952