勤務を終えて署を出る時にたまたま会った別部署の同期、翌日共に非番だったからって、食事がてら酒を飲んで帰った。
そしたら部屋に先輩がいた。
「おかえり」
ただいま、と返してから風呂に行こうとした、そしたら後ろから抱きしめられた。
なに? と聞いたら
「しないのか?」
と質問で返された。
曰く──
お前は酔っているとき、いつもしたがるのに。
とのこと。
酒でほわほわなりの頭で考えた、そして振り向いて先輩を抱きしめた。
「疑ってる?」
僕が浮気してきたと思ってるの?
暗に問うと先輩は首を横に振った。
「そうじゃなくて、期待、してたから」
語尾につれて小さくなる声。
ああ可愛いな。
石鹸の香りのする愛おしい人。
さらさらの髪を撫でながら呂律の回らない口を動かした。
「したいよ、したいけどさ、僕、途中で寝ちゃうかも」
だからしたいけど言わないんだよ、これでも僕は、頑張ってるんだ。
そ、れなの、に
「それでもいい、触りたい」
いつもの凛々しい顔はどこにやったの? そんなとろとろの顔で請われて嫌だなんて、言えると、思う?
「いいよ」
でも、準備してないから前だけだよ? って、言ってる間にも恋人は更に可愛いにこにこ顔。
何だよ、したかったのは、そっちも同じじゃないか、とは、言わないでおいてあげる。