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    mizutarou22

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    テデの夏休み企画に挑戦します!現パロ、転生パロでテラディオがとある神社に行くお話です。書くときにアレンジしてありますが本当にある神社を参考にしております。

    #テラディオ

    海風と共に「龍と人間の恋物語?」

    「そう。その舞台となった神社がここにあるんだって、行ってみようよディオン」

     そう言ってテランスはスマホを私に見せて、その神社のホームページに書かれている詳細を教えてくれた。……ここの神社は電車を使えば一時間くらいで着くな……。
     私は腕を上へ上げてうーんと伸びをして、寝ていたベッドから出てテランスを見つめた。

    「では……行ってみるか。そこの観光地へ!」

    「そうだね。ディオン」

     テランスがにこりと微笑んだ。ホテルの窓から入る朝日が、テランスの笑顔を優しく照らしていた。

    ◆◇◆◇

     私とテランスはこの夏、会社の休みをとって海外へ旅行に来ていた。いつも旅行は近場を選んでいたが、今回はもっと違う文化圏の国へ行ってみたいと思い、東の国へ行ってみることにしたのだ。東の国へ到着した途端発した私たちの言葉は「暑い……」だった。私たちの住んでいる国とはまた違う夏の暑さだ。私たちはすぐにこの暑さから避難するように、首都にあるホテルにすぐに向かい、そしてそのまま朝を迎えたというわけだった。旅行の細かいプランは特に決めていない。何故ならここの国に着いた瞬間から、なにもかもが私たちの国と違っていて、見るもの全てが新鮮だったからだ。
     そしてここの国に訪れたからには、是非とも行ってみたいところがあった。それは鳥居で有名な『神社』だった。私たちの国にある教会や神殿とはまた違う『神社』……いったいどのような場所なのだろう。しかし神社はこの国では数多くあり、どこへ行けば良いのかわからなかった。そこで朝、テランスと相談し、決めたのが、龍と人間が恋をしたという伝説がある神社だった。私は『竜』だったから『龍』と親近感がどうしても生まれてしまう。それに龍と人間が恋をしただなんて……まるで私たちみたいだと思った。

    「それじゃあ早速出発するか。テランス」

    「うん。準備するね」

     そうして私たちはホテルを出る準備を始めた。

    ◆◇◆◇

     ホテルを出て駅に行き、電車に揺られて一時間と少し。
     その神社は、海に囲まれた小島にあった。ここは観光地としても有名で、周りの海ではサーフィンをする人や、砂浜に行き、海の中で泳ぐ者もいれば釣りを楽しむ人もいた。悠々とたくさんのヨットが海の上を進んでいるその光景は皆楽しそうで私たちの心も弾んでいくのを感じた。
     神社へ行くには島へと続く橋を少しばかり歩かなければならない。上を見上げればトンビが飛んでいて、観光客の買った食べ物を狙っていた。私たちはてくてくと橋を歩き続け、もうすぐ到着するところまで来ていた。私は橋の上で辺りを見渡す。

    「暑いが、海が綺麗だ」

    「うん……ところでディオン、調べてみたらその神社、高いところにあるらしくて、行くまで、階段を多く上らなきゃいけないんだ。疲れたらすぐに言ってね」

    「大丈夫だ。お前といつも『運動』しているからな」

     私はテランスの手をいやらしく、きゅっと握りしめる。見上げるとテランスが顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。

    「ディオンったら……もう……」

     私はくすくすと笑み、前を見た。するとそこには青緑色をした鳥居が見えてきた。

    「テランス! 島に着いたぞ!」

     私は嬉しくなり、つい小走りになった。島に着いたらもう人でいっぱいで歩くのが大変なくらいだった。だが、皆行きたい場所は同じらしく、皆についていけばその神社にたどり着けるのだろう。

    「ディオン。道が少し狭いし、人も多いから、離れないでね」

     そう言ってテランスは繋いでいた手をさらに強く握りしめた。私は彼の心遣いにきゅんと心が疼き、「うむ……」と彼に身をよせた。

    ◆◇◆◇

    「着いた!」

     私ははぁはぁと荒い息を吐きながら喜びの声を出した。
     その神社は、本当に島のかなり高い場所にあった。そこへ行く途中にもたくさんの神社もあり、そこでお参りをしながら、少しずつ階段を上り続け、そしてやっとお目当ての龍と人間の恋物語が舞台となった神社に到着したのだった。
     まず、その神社を見た時は驚いた。大きな龍の像が神社の屋根にあるのだ。龍のその堂々とした佇まいに私も元『竜』として敬意を持った。龍に見守られるような気持ちで神社の中へ入り、テランスと共にお参りをする。これからもずっと、テランスと幸せに暮らせますように……。私は手を合わせて目を閉じて、祈った。

    ◆◇◆◇

    「ふふ……お守りも買ったし、少し休憩したいところだな」

     私は龍の絵が描かれたお守りをテランスと一緒に購入した後、テランスに提案をしてみた。ここまでたくさんの階段を上ったのだ。道を歩いているときに見かけたレストランにそろそろ行ってみたいと思った。レストランのメニューが外に貼りだされていて、見てみるとここは魚料理が人気らしかった。あれを食べることを想像すると自然と唾液が口内に出てきてしまうのを感じる。

    「ディオン待って。これ見て……」

     料理の事を考えていたそのとき、テランスが神社のすぐ傍にあった看板を指さした。

    「……恋人たちの鐘?」

     ここから少し歩いたところに、鐘があるらしい。その鐘を恋人同士で鳴らすと、永遠に幸せになれる、と看板には書かれてあった。私たちの隣を歩いていた……カップルだろうか、「行ってみよう」と声がして二人が鐘がある方へ歩いていく。

    「……」

    「……ディオン、行ってみる?」

     私は自分でもわかるくらい勢いよく頷いた。

    ◆◇◆◇

    「わぁ……!」

     まさしく、絶景とはこのことをいうのだな、と私は思った。鐘がある場所まで歩いてしばらく。そこに現れたのは設置されている鐘と、きらりと太陽の光が輝く海の水平線が大きく見渡せる場所だった。この海を見ながら、鐘を鳴らせば、幸せになれる……。私は早速鐘がある場所へと走り、鐘を鳴らせるためにあるぶら下がっている紐を手に取った。

    「テランス!」

    「うん。ディオン」

     私に追いついたテランスが、先に私が握りしめていた紐を一緒に握る。……少しだけ、緊張してしまう。私はテランスと視線を合わせた。テランスは私を見てこくんと頷く。私はそのテランスの意志に導かれるように、ゆっくりと、二人で手を動かした。

     からん……。

     それは、重厚な作りの見た目に反して、涼やかな音色を奏でた。音が私たちを包み込み、そして遥か彼方、海にまで広がっていくような気がした。
     そこで私は、過去……『前世』のことを思い出していた。皇都オリフレムのホワイトウィルム城から見えた海のことを。子供の頃のテランスと共に海を見に行ったことを。
     『前世』でも『今世』でも、私たちは海を見ている。そして共に生きている。

    「ふふ……」

    「……? ディオン? どうしたの?」

     私たちは『前世』でも『今世』でも、同じことを思うのだなと思った。いつまでも一緒に……と。そのことが胸を擽り、不思議な気持ちになる。
     もう二度と会えない竜……バハムート……見ているか? 私は今、幸せに生きているぞ……。
     そのとき、テランスが私を突然ぎゅっと抱きしめてきた。強く肩と腰を抱かれ、私は動けなくなる。

    「テランス……どうした?」

    「ディオンが……泣きそうな顔をするから……」

    「? そんな、私が、泣くなんて……」

     しかし、そのとき私は気付いた。視界が段々とぼやけていく。そしてそれはあふれ出し、ぽろりと頬を伝った。私はかつての大事な、私の傍にいてくれた竜を思い出し、肩を震わせて、泣いた。

    ◆◇◆◇

     鐘がある場所から去り、私たちは神社へと戻ってきた。そのとき、私は先ほど見た龍の像を視界に入れたとき、どきんと鼓動が跳ねた。

    「バハムート……?」

     そこにいたのは、バハムートだった。『龍』ではなく『竜』のバハムート。見間違えるはずがない。ずっと、私の中にいた、共に生きてきた竜だったのだから。バハムートは優しい目をしていて、大きく咆哮し、翼を広げ、大空へと飛び去って行った。私は呆然とそれを見送る。

    「……ディオン?」

     ハッと我に返ると、そこにあるのは龍の像だった。バハムートではない。この国の『龍』の姿をした像がそこにあった。
     気が付けばガヤガヤと周りが騒がしかった。「すごい風だったね」「なんだったんだ?」「突風?」と声が聞こえた。周りの人には見えていなかったのだろうか。

    「……テランス?」

     私は恐る恐る、テランスの顔を見た。テランスは私の瞳をじっと見て、頷いた。

    「……うん。僕にも、わかったよ」

     その言葉だけで、私は嬉しくて、また泣いてしまいそうだった。

    ◆◇◆◇

     私たちはその後ご飯を食べたり、島の中にある他の観光名所を見てまわった。
     ……時が流れ、空と海が夕焼け色に染まり、遠くには世界遺産の山が見える。そんな景色を見ながら私たちはホテルへ戻るため駅へ向かって橋を渡っていた。海の波の音が絶え間なく聞こえ、私の心を落ち着かせてくれる。
     不思議な体験をした。私は歩みを止めて、橋の欄干に手を添えて、海と山々を見、そしてもう一度島を見た。龍と人間の恋物語……そのために私たちはこの島に来た。
     私は思った。私の『前世』や『今世』、自分の国や知らない外国に関係なく、人ならざるものと人間はずっと交流を今この瞬間も続けているのではないかと。気が付かないだけで、人ならざるものは我々に絶えず語り掛けているのだと。あのとき、バハムートはたしかに私たちを見つめていた。優しい眼差しで。

    「ディオン」

     テランスが私と同じように隣に来て、遠くの景色を見ながら肩を抱いてくれる。

    「……幸せになろうね」

     私はテランスへ顔を向けた。テランスも私を見つめてくる。瞳を閉じて、静かにそのときを待った。……テランスの吐息が触れて、唇が温かくなる。私は瞳を開けて、テランスを見つめる。彼の顔は照れくさそうに頬を夕焼け色と同じように染めていた。私はそんな彼が愛おしくなり、頬にもう一度口づけをした。
    海の香りを纏った風が、そんな私たちの傍をさぁ……と通り過ぎていった。その風はまさしく先ほど感じたバハムートの風と同じだった。
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    mizutarou22

    DONEテラディオの二人がコスタ・デル・ソルへバカンスに行く話です。謎時空な現パロです。FF7リバースをプレイしていたら二人にも行ってほしくて…。リバースのネタバレは無いと思いますが一応注意してください。
    あなたが一番綺麗 遠くからさぁ……と音が聞こえる。その音は私を落ち着かせ、身体が勝手に胎児のように丸くなろうとする。しかし足を丸めようとしたところで、ふと温かい何かに当たった。そこで私は意識が少しずつ覚醒していく。目をふっと開け、視界に映ったのは……。

    「おはようディオン……目、覚めた?」

     目を開いた先にいたのは私の最愛の夫、テランスだった。テランスが微笑みながら私の髪をそっと撫でる。私はその撫でられる気持ちよさにうっとりとして、テランスがしてくれている腕枕に唇を近づけ、キスをする。

    「ああ……波の音で目が覚めてしまったようだ」

    「綺麗な音だね、ディオン」

    「ああ……」

     そう、私たちは今コスタ・デル・ソルというリゾート地へ来ている。温かい……というよりカッと太陽が照り付ける暑い気温で、ここにいる人々は薄着や水着で街中を歩いたりしていた。街も活気があり、皆楽しそうに催し物に参加したり、また様々なお店が軒を連ねており、そのなかでショッピングを楽しむ者もいた。
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