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    mizutarou22

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    テラディオ1W様のお題、「誓い」「長い夜」「これからの話」を小説にした短編です。これが私が書く初めての原作軸のお話です。ディオンが生きていた場合、テランスはどうするのだろうと思いながら書きました。

    #テラディオ

    未来への涙「ディオン!」

     突如空に浮かび現れた謎の蒼く輝く『オリジン』という場。そしてそこへ飛び立つ見慣れた……、愛する竜の姿が遠くからでも見えた。見間違えるはずがない。もう小さなときから傍にいて、何度も見てきた。あれは、最愛の人ディオンの姿だ。

    ディオンはオリジンから現れた敵と戦い、殲滅してからオリジンの中へと入っていった。

     そしてしばらくして…………バハムートの姿ではないディオン自身が、オリジンから離れ下へ、下へと落ちていくのが見えた。落ちていくその先は――。

     「ディオン!!」

     自分の出した声が悲鳴の様だった。早く、早くディオンの落ちてしまった場所へ行かなくては!

     長い……、長い夜だった。




    「わぁ……っ、ディオン! すごく空が近いよ!」

     その言葉にバハムートの姿になったディオンが「くるる……」と後ろを振り向き、背に乗っている私の言葉に応えた。

     これは、夢?

     この光景は…………、そうだまだ……ディオンと私がまだ七つで、修道院付属学校に通っていた頃の光景だ。ディオンが、バハムートになってテランスと共に空を飛びたいと、私を誘ったあの時の。

     あの時は幼く、ディオンのバハムートとは、ドミナントとは、皇子とは、ということがわからなかった。皆は竜を「こわい」と言っていたけれど、私はそうは思わなかった。こんな美しい生き物は今まで見たことがなかった。しかもその竜が大好きなディオンの変身した姿だなんて! 私はディオンのバハムートの姿をかっこいい、綺麗と何度も言っていたような気がする。そのたびにディオンは泣きそうに顔を少し歪め、それをこらえたように笑い、「ありがとう……」と言っていたのを思い出す。

    子供の頃はディオンの置かれた境遇がわからなかった。だけどディオンが家族から愛されていないこと、バハムートとしての力しか認められていなかったことが子供心に段々とわかるようになり、私はなんとかディオンを支えたいと、強く思うようになった。

    「ディオン! このまま、ヴァリスゼア中を飛んでみたいね! いや、もっと外大陸まで飛んでみたいな! 二人で旅がしたいなぁ! そうしたらきっと楽しいよ! ね、ディオン!」

     私は頬を急速に掠めていく強い風に声をかき消されないように大声でディオンに話しかける。ディオンはこちらを振り向きこくりと頷いたのを見て心がふんわりと温かくなったのを覚えている。



     ディオン……本当は、あのときどう思ったの? 自分は国のため、民のため、そんなこと出来ないって……国を捨て、投げ出すようなことはできないって……本当は子供ながらにそう思っていたんじゃないの? あなたは優しいから……楽しんでいる私の気持ちを害したくないから頷いたのではないの?

     でも、ディオン、今はもう私はあのときの子供じゃない。それに、ディオン、あなたはもう充分に国を、民のことを考えて生きてきたよ。あなたは救われていいんだよ……。




     さぁ……と音を立てる波が、倒れているディオンの身体を濡らしている。私はディオンの姿を見つけると走り出し、ディオンをぎゅっと抱きかかえた。目の前が涙で視界がぼやけていく。……やっと、やっと会えた。ディオン、私の最愛。すぐに胸に手を当てて確認をしてみると、どうやら生きているようだ。奇跡だ、と思った。とうとう涙が溢れだし、頬を伝っていく。涙がディオンの顔に雨の様に降りかかる。

    「ディオン……、ディオン……。誓うよ。もうずっと離さない。離れない。あの時約束したように、二人で旅をしよう。これからはずっと二人で一緒に……、生きていこう……っ」

     そう心に固く誓うとまだ目をつぶったままのディオンの唇にそっと、口づけをした。


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    mizutarou22

    DONEテラディオの二人がコスタ・デル・ソルへバカンスに行く話です。謎時空な現パロです。FF7リバースをプレイしていたら二人にも行ってほしくて…。リバースのネタバレは無いと思いますが一応注意してください。
    あなたが一番綺麗 遠くからさぁ……と音が聞こえる。その音は私を落ち着かせ、身体が勝手に胎児のように丸くなろうとする。しかし足を丸めようとしたところで、ふと温かい何かに当たった。そこで私は意識が少しずつ覚醒していく。目をふっと開け、視界に映ったのは……。

    「おはようディオン……目、覚めた?」

     目を開いた先にいたのは私の最愛の夫、テランスだった。テランスが微笑みながら私の髪をそっと撫でる。私はその撫でられる気持ちよさにうっとりとして、テランスがしてくれている腕枕に唇を近づけ、キスをする。

    「ああ……波の音で目が覚めてしまったようだ」

    「綺麗な音だね、ディオン」

    「ああ……」

     そう、私たちは今コスタ・デル・ソルというリゾート地へ来ている。温かい……というよりカッと太陽が照り付ける暑い気温で、ここにいる人々は薄着や水着で街中を歩いたりしていた。街も活気があり、皆楽しそうに催し物に参加したり、また様々なお店が軒を連ねており、そのなかでショッピングを楽しむ者もいた。
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