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    renge_sumirexxx

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    renge_sumirexxx

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    乱数くん♀と寂雷先生♀が女子高生のお話。
    先生が援助交際、売春をしている描写があります(行為の直接的な描写はありません)。
    なんでもイケる方のみお願いします。

    お好きにどうぞ。初冬のシンジュクのにぎにぎしい街中。
    時刻はそろそろ夕方を完全に終えようとしていて、街灯の灯りのささやかだった主張が激しくギラついたネオンに変わる。

    その街角で、黒に近い紺地のセーラーにグレーのタイ、膝丈のスカート、学校指定の三つ折りのソックスに黒のローファーという出立ちの髪の長い長い長身痩躯の女子学生、神宮寺寂雷、は、誰かを待っている。
    待っているのに、どうか来ないで、とも、早く来て、ともどちらも同じ分量を祈るみたいに願いながら。

    今日は空気がピンと張るみたいに鋭くて、コートを着ていない寂雷は少し寒くて腕を擦った。
    帰りが遅くなる、もしくは帰れないとわかっていたので、夜は冷えるだろうと一応羽織ってきていたコートは無い方が目立っていいという理由で奪われてしまった。
    まったくもう、あの子ったら。
    寂雷はくすりと笑う。

    「寂雷の学校、超お嬢様校じゃん?そんなのみんな好きなんだから目立たせたほうがいいに決まってんじゃん!」

    跳ねた明るいピンクの髪の毛、シャツにニットベスト、短いチェックのスカートにルーズソックス姿の小柄な女の子が寂雷にそう言ってはしゃぎながら巻き付きながら剥ぎ取った。
    舐めあげたキャンディみたいにつやつやの濡れた大きな瞳、脳が甘く痺れる魔法の甘露みたいな声。

    乱数くん。飴村、乱数くん。
    私が世界でいっとう好きな、小さな可愛い女の子。

    可愛くって、愛しくって、脱がされながら寒さを忘れて見惚れてしまった。
    そして『みんな』というのは、今から見ず知らずの女子高生の寂雷なんかに声をかけたりしたりしてくる男の人のことで、でも事実、そこに男なんかは全く関係ない。寂雷は彼女の最近気に入りの遊戯に付き合っているだけで、あくまでこれは寂雷と彼女二人きりのお遊びなのだ。

    「い〜い?若い奴は駄目だよ?見た目はね、45以上くらい!中年、オジサン、ジジイ、って感じの!」

    正直男性の年齢なんて見た目でわからない寂雷は、でも、彼女の前ではいつだって殊勝にうなずいて見せる。そうすると、「いいこだね」って、頭を撫でてくれるから。伸び上がって、小さな手で、旬を過ぎて取り損ねてしまった筍みたいに図体ばかりがにょきにょき伸びた寂雷の身体のてっぺんを、「かわいいね」って、撫でてくれるから。

    「……さっきからずっと立ってるけど、誰か、待ってるのかな?もしかして、パパ活、とか?相手、都合悪くなっちゃった?」

    きた。
    乱数くん、きたよ。

    寂雷は学校指定の黒い革の通学鞄の持ち手をギュッと握りしめる。二人で色違いで買った、変な顔のクマのぬいぐるみのキーホルダーがついた通学鞄。
    大丈夫、大丈夫、大丈夫。
    警察っぽくない(周りに二人をさりげなく観察するような好奇の目はあるけどさほど鋭く無い、この男の仲間らしき人間はきっといない)、たぶん50歳くらい、それなりに手慣れていそう、身なりが汚らしいわけではない。そんなに乱暴しそうにない(これに関しては全くと言っていいほど寂雷はわからない、けれど凶器などを持ってはいないことを信じて祈る)。

    「……ご飯とか、食べに行く?おじさん今日、ちょっと余裕あるよ。寒いでしょ、ここ。どうかな?」
    「は、」
    「え?」
    「は、初めてで…」
    「え、」
    「こういうの…。」
    「えっ、」

    男の声色が明らかに変わった。驚いたような、はしゃいだような、可笑しな声。

    「ホテルに、連れてってください。」

    男の身長は寂雷と同じくらいか少し低いくらいだった。乱数が『宇宙で最後の星みたい』と褒めてくれた、寂雷の切れ長のコンプレックスだった目を最大限に研ぎ澄まさせ、きっぱりと男を見る。
    男は一瞬怯んだような、そしてそのあと高揚したような顔を隠せずに唾を飲み込む喉がやたら目立った。

    どうかな、上手くやれているかな、でも上手になったでしょう、私。最初は泣いちゃって、てんで駄目だったものね。初めて、っていうワードを使うのは初心者には諸刃の剣だからって教えてくれたのも乱数くんだ、舐められちゃうからね、って。今は上手に出来てるでしょう、嘘に見えなくて威圧に見えなくてただひたすら誠実にすら見えるほんとみたいなよく出来た偽物の光で射抜くこと。
    寂雷は乱数に教わったことを正確に実行する機械になれる。なれるように、なった。

    「どれくらい?」
    きかれて、スカートの下で手のひらを控えめにパーにする。
    あまりにも強気過ぎる相場らしい、けれど乱数は絶対、これ以下で提示することを許さない。
    「…。」
    「駄目なら、また。」
    「いいよ出すよ、大丈夫。朝までいられたりするかな?」
    「門限、あるので。」
    「わかった。22時」
    「21時半」
    「わかったよ、いこう。」
    「はい」

    朝までいられるか女子高生にきくなんて馬鹿なのだろうか、それともコスプレだと思われたかな。まあどちらでもいいのだけど。
    寂雷は首を傾げた。
    この人も朝までいられる身だとしたら独身だろうか、既婚者のほうが無茶しない印象があるのだけど大丈夫かな。でも大丈夫にさせてみせる、絶対に。
    先に歩き出した男の擦れて光るスーツの背を少し離れて追った。
    腕時計を確認したら、今は7時15分と少し。
    おおよそ2時間の、瞑想だ、大丈夫、動き出したから既に終わりは見えている。
    前を歩くスーツに追いつき、裾を少し掴んだ。男が振り返る。期待の欲に塗れた、いっそ清々しい顔をしている。

    「ど、どうしたの?」
    「…なんでも」

    にこっと笑って手を離した。

    「行きましょう」

    早く。
    男の手を取った。人気の少ないラブホ街に近くなったので。男は我に返ったようにいきなり自分の着ていたコートを脱いで寂雷に着せた。そうだね、私、制服だもの。

    くさいなあ。変な脂みたいなにおい。

    でも、これはもう私の勝ちだね、乱数くん。
    ふふ、と寂雷は笑いが込み上げる。
    ねぇ、早くきみに会いたいよ。きみが学友の、学生なのにパチンコばっかりやって学校ではあまり会えない友だちとか嘘ばっかりつく読書家の友だちとかに見向きも出来なくなるくらい、私ばっかりを見ていて欲しいよ。きみは私に、「最後まではぜったい、させちゃメッ!だよ?ぼくのだいじなだいじ〜な、寂雷なんだからね?」って言ったね。一番最初の時のあの言葉、お守りみたいに呪いみたいに胸のなかの祭壇にしまってある。優しくて泣いちゃったんだけど、あれ、全然、優しくないものね、きみらしくて笑っちゃう。最後までさせないなんて、不可能なんだもの。相手を殺しちゃわない限り。だから私は一番最初、顔も思い出せない男の人をうっかり殺しちゃわなくてよかったなって思ってる。じゃないとこういう遊びをきみが私におねだりする度殺しは発生しちゃっただろうから、いつかバレて私は刑務所(まだ少年院かな)に入ることになってきみに会えなくなる。そんなのはとても無理だから、だから最初のときの過去の私を私は自分で褒めたいよ、よくやったねって。それに、やっぱりきみは優しいのかもしれないね、させないなんて無理なのわかってるのに、させないでねって言われたら私はうんって言うに決まっているし、きみがさせなかった?って尋ねたらうんって絶対に言うものね。私がちゃんと嘘つけるようにしっかり最初に下ごしらえしてくれてる。ほんとうに優しいんだ、きみって人は。
    会いたい気持ちが昂ると、すべてがどうでもよくなるなあなんて寂雷はぼんやり思いながら、今から入る外観だけピカピカ派手で不衛生な施設に知らない男と入ることなんて心底どうでもよくなってくる。

    売春、援助交際、パパ活。
    なんでも好きに呼べば良い。でもそれらはすべておかしなほど当てはまらなくて、ただこの一連の流れが私と彼女のコミニュケーションの一環であることだけが真実だ。
    寂雷は強く、誇りみたいに思う。
    彼女は私が得たお金を奪ったりなんかしないし、おまえの好きにしたらいいよと言う。むしろ彼女はお洋服や下着を私に選んでくれたり、マニキュアを買ってくれたり、遊びのお金はすべて出してくれたりする。
    「寂雷が頑張ったお金だから、寂雷が好きに使いなよ。」
    そう、星を崩しながら笑って、くちびるについた生クリームをキスでぬぐってくれたりする。
    『プレゼント』された私のプリン・ア・ラ・モードのさくらんぼをいたずらに摘んで口に投げ入れては、上手に舌で柄を結んで、べっ、て見せてくれるきみ。

    「はやく、会いたいなぁ」
    「え?」
    「いいえ、なんでも。」

    寂雷と知らない男は、たくさん並ぶ建物の一つにしばし『休憩』しにいく。
    寂雷はぜんぶの思考を乱数に合わせたまま、脳を少しだけ休ませてあげる。

    売春、援助交際、パパ活。
    なんでも好きに呼べば良い。

    わたしたちの秘密の遊びの真実の名前は、わたしたちしか知らないからいいのだ。

    今日もとても健やかな寂雷の黒いローファーのつま先が、踊るみたいに自動ドアの入口を跨いだ。




    〈続〉

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    renge_sumirexxx

    DONE左寂。夜の街を車で走る二人。
    左寂ドライブ「……先生、なに食いてえよ?」
    「う〜〜ん、どうしようかなぁ」

    頬に指を当てるお得意のポーズをしながら青棺左馬刻の運転する車の助手席で神宮寺寂雷はゆったりと微笑んだ。二人は久々の逢瀬で、これから食事に行くことになっている。とても多忙な二人は店を予約することはだいぶ以前からしなくなっていて、今日も時間と互いの腹具合を見つつ移動しがてら店を決めるつもりだった。付き合いたての頃は互いにそれなりに気を張ってあちこち予約したものだがことごとく予定が潰れたり変更になってしまったりするので二人とも謝ったり謝られたりについには可笑しくなってしまって、自然と予約はしなくなった。時間が二人にそういうものを課さなくなったのかもしれない。いい感じにこなれた二人はとても良好にお付き合いを続けている。医者とヤクザという肩書きはもはや、そういう設定だよね、と寂雷が左馬刻の柔らかく白く美しい鼻先をかぷりと噛んで寝しなに笑ってじゃれるくらい甘やかなものになってしまった。左馬刻はまだ時に笑えないが、寂雷があまりに艶っぽく相反して無邪気に笑うのでうやむやになってしまっている。掴まれてるなあと思う。
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