ドーナッツのリング「寂雷、爪、塗ったげよーか」
「え?」
神宮寺寂雷は飴村乱数の自宅に昨日の夜遅くから招かれていて、たっぷりベッドでお腹いっぱい気持ちよくくたくたになるまでありとあらゆる遊戯を尽くしてぐっすり眠り、遅めの朝食兼昼食を二人で食べ(寂雷が大きいパックのヨーグルトを一人で全部食べ干したので乱数は大層笑った)、出掛けるための支度をしていたところだ。
支度、といっても寂雷は大してすることがなく、シャワーを浴び髪を乾かし、薄いグレーのシャツに着てきたベージュのトレンチコート(乱数が選んだ、寂雷にしては少し丈が短いんじゃないかなと思うもの)に、紺鼠色のスラックスをはくだけだったので、リビングのローテーブルの上でうっすらメイクをしたり、髪をいじったり、やっぱあっちにしよーとファッションショーのごとく服をクロゼットから引っ張り出しては、なおしての乱数をぼんやり、しかし楽しく見ているだけだった。
乱数はデザイナーだし、仕事だけではなく洋服やファッションというものがとても好きで大事にしているのが疎い寂雷にもわかって、理解できているかは別としてもただ、何か好きなものに夢中になってコロコロ楽しげに目を煌めかせる乱数を見るのはとても好きだった。
昔のコマ送りみたいなモノクロのアニメの味わい深さがカラーになったような豪華なキャッチーさで、とても真面目で興味深い。
寂雷がそんな乱数を幸せそのものの気持ちで見つめながら、テーブルに置かれた少し冷めたカフェオレを啜っていると、乱数がじゃらっと色とりどりの小さな小瓶と、コンセントのついたプラスチックのアーチ型の機械と、仕切りのついた薄べったいピルケースのようなものの中にビーズ?のようなものがたくさん入ったものをどちゃっとテーブルにばら撒いた。
「……なあに?それ」
「なあに、ってかわいいね。マニキュアだよ、ジェルネイルの。これはジェルを硬化させるUVライト、こっちはパーツアクセ」
「ジェルをこうかさせるUVらいと」
「光当てて、丈夫にすんだよ」
「爪を?」
「爪を」
寂雷があまり理解しないまま乱数の手の動きを飼い主をただ見る犬のように眺めている間に乱数はすっすと、その小さな、寂雷から見ると華奢にも見えるその指先を何か液体を含ませた綿で拭き取り、やすりだろうか?長細い少し厚みのあるざらざらしたもののついた棒で形を整え、また拭き取り、マニキュアの小瓶の蓋をキュキュッと開き、小さな刷毛で鮮やかに爪先に塗っていく。
グレー、ピンク、グレー、グレー、イエロー。
「今日はさ、洋服の色がね、どっちかいうと落ち着いてるからさ」
寂雷が乱数を見ると、乱数は黒いダボっとしたパーカーに脚の線にピッタリと沿うような薄いブルーのジーンズをはいている。スキニー、だとか言ったかもしれない。乱数の場合はこれに帽子や靴や鞄や時計や沢山の小物を上手に合わせるのだろうが、確かに今のところは落ち着いている…というか、普段より派手ではないなと寂雷は思う。
「だから爪、派手目にしようと思って。デコろっかなって」
「でころ」
「盛ってこかなって」
「もってこ」
寂雷は乱数の口から飛び出る言葉を阿呆のように反芻した。乱数は気楽に、ひょいひょいと両手の爪に色を置き、そして両手の指先をアーチ型の機械に突っ込んだ。
「……それは、どうしているの?」
「硬化させてんの。硬めてるんだよ」
「硬化ね。硬化か」
「寂雷さ、オネーサンと付き合ってた時、見たことないの?ぶりっ子してる?」
「えっ、ぶりっ子って!何、していないよ!見たこともないし」
寂雷は何故か無性に恥ずかしくて、顔を赤くして乱数に言い返した。乱数に何も知らない自分を演じてるように見られたかと思うとたまらなく恥ずかしくなったのだ。いいおじさんが若い恋人の男の子の前で所謂『カマトト』ぶるというのは、寂雷の中では何か、物凄く沽券にかかわることのような気がしたのだ。
「……そんな、カマトトぶってなんか、いません」
「アハッ、カマトトは知ってんだね、偉いじゃん」
「馬鹿にして、もう」
「してないよ、かわいーってこと」
「……だから…もう。」
寂雷はひどく喉が渇いて、ソファから立ち上がり冷蔵庫まで歩き扉を開き、中から瓶のリンゴジュースを取り出して勝手にグラスについだあと、飲んでいい?と乱数にたずねた。乱数は笑って、こちらを見ずにダメ〜と言ったが、寂雷は立ったままお行儀悪くごくごく飲み干した。
「ね、寂雷、こっちきてよ」
「なに」
「拗ねないでよ」
「拗ねてなんか」
ない、と言おうとしたとき、乱数のカラフルに彩られた右手にぐいと左腕を引かれ、寂雷はぽすんとソファに尻餅をつくみたいに座らされた。
「見て、爪、触っていいよ」
「……。あ、」
「ね?ツルツルんなったでしょ」
「すごい、指紋とかつかないの」
「硬化しちゃったらね、大丈夫。」
「これで完成?」
「んん、まだ。だいぶ簡略しちゃってるけどね、この上にトップコート塗って、パーツつける指にはそれ乗っけて、またライト当てて、それでもっかいトップ塗って硬化、で、おしまい」
「……果てしないね」
「なわけ!すぐだよ、あっそだ、」
そして冒頭に戻る。
「……私に?私の爪に?きみみたいに?」
「色は選んでいいよ」
「選んでいいよって……私はいいよ、きみ、…乱数みたいに似合わないよ」
「ふふっ、寂雷てさーぼくのこと呼び捨てするときワンクッション置くよね、呼ぼうとして呼んでくれんのわかっておもしろーい」
「なっ、違うよ、今関係ないでしょうもう、二度と、呼ばない!」
「二度と!馬鹿な!」
乱数はきゃらきゃら笑い、まーそんなことはいーからさーとプンスカする寂雷の右手を取った。
「お前さ、指、長くて爪の形もいいからさ、すごい映えると思うんだよねー。今度TDDの撮影の時とかガッツリ塗ったげる。今日は、簡単にね、」
「きみは、勝手に、もう。」
「どうしよう、好きな色いいなよ、センスないとか言わないからさ」
「私にセンスがないこと大前提じゃないか」
「いーからいーから。黒?派手な色は嫌?クリアになんかシルバーとかのパーツでデコろうか?」
乱数はガシャガシャとパーツを入れたケースを漁り、クロスのモチーフだったり、鋲のようなものだったりを寂雷の指先にピンセットであてがう。寂雷は乱数の形のいい後頭部の丸みと、綺麗に流れる少し癖のあるピンク色の髪の毛をじっと見た。
「……じゃあ、一本だけ。」
「えっ、ほんと!?!何々、何色にする??どの指する?」
「どの指…でもいいけど、色は……」
「うんうん、色は?」
「……きみの、髪の色みたいな、ピンク、色……。」
ずいっと乱数の見上げてくる大きな目と寂雷は自分のそれを合わせられなくて、うつむいてしまう。
君の髪色を指に塗って欲しいなんて、なんだかとても恥ずかしいことのような気がする、と、今更思ったのだ。
乱数といると寂雷は、けっこうずっと恥ずかしい。
恥ずかしくて嬉しくて楽しくて、やっぱり恥ずかしくて、胸の中でパチパチと何かが弾けて星と星がぶつかるみたいに爆ぜては身体に吸収される。蓄積される。その感覚は余韻含めて乱数が好きで食べさせてくれた駄菓子の、ラムネが入った綿飴のよう。軽くてシュワシュワなのに、寂雷の細胞にべっとりと染み込んで離れない。
「寂雷!!!」
「えっ、わあ、」
乱数は寂雷に飛びかかり、自身もソファに飛び乗った。
「ねぇ、寂雷、お前かわいーね、すごく。なにそれ、」
乱数の、寂雷からしてみると子どものように小さな、しかし若い成人男性の張った肉体が、195センチの巨大をぎゅうぎゅうと抱きしめ、おでこに、ほっぺに、くちびるに、キスを降らせまくる。
強引に舌を差し込ませ、絡ませられ、食べ合うみたいに与え合うみたいな乱数のくれるキスは、上手だなという感想からとっくに大好きだなに熱を持って変わっている。寂雷の欲しいものを乱数はいつだってくれる。
「ぼくの髪色に、塗ってあげるね、薬指」
「く、すりゆび…」
「左手の、薬指に塗ってあげる」
「左手の、薬指。」
上がる息の中、寂雷は乱数の眩しい視線を浴びながらようよう言葉を紡いだ。
左手の、薬指。
それは、その指は。
「結婚指輪の、指だよ」
乱数が、先に言ってくれた。
寂雷がまた恥ずかしい思いをしなくていいように、乱数が安心させてくれたのだ。乱数は寂雷の機嫌を、寂雷以上に上手にあやしてくれる。自惚れていいよ、ってスマートなやり方で伝えてくれる。好きだよと。
乱数は寂雷の唇にウィンクするみたいにもう一度チュッとキスをして、ラグの上にあぐらをかいて座り、自分のネイルをしゃんしゃんと済ませた。
ジェルを塗り、たくさんのラインストーンや、テディベアやキャンディや星の丸っこい細々したパーツを乗っけてライトを当てて、またジェルを塗る。
その間にも今日、晩ごはんどこで食べようかとか、見たいショップの話とか、最近見た映画の話とかを寂雷に逐一教えてくれるみたいに話してくれる。寂雷は、ソファからずり降りて、乱数の横にちょんと座った。髪に鼻先をうずめても、乱数はしたいようにさせてくれる。寂雷は、甘えるってこういうことかな、と少し切ないみたいな悲しいみたいな気持ちになる。人を好きになるのも、好きだからといって無条件に甘えることが赦されるのも、初めてだからだろうか。そして寂雷が本格的に怖くなる前に奇跡みたいなタイミングで乱数が寂雷にちょっかいをかけてくることの賢さと優しさも、寂雷はもう知っている。これ以上、なにもいらないくらい。
「…ッ、出来た〜!!」
「もう?センスそんなに早くよくたくさんのものを選べるね?」
甘える時間が終わったようで寂雷は少し名残惜しい。
「あと一本だけだから。寂雷、左手貸して」
「何本でも」
「ひとつしかないでしょ」
軽口を叩き合いながら、寂雷は左手を乱数に差し出す。ひんやりしたアルコール綿のようなもので指先を乱数がしていたように拭われ、乱数が使っていたピンクの小瓶の中身が、すっすと刷毛で丁寧に薬指の爪先に塗られていく。
「……なんか、不思議な感じ」
「やっぱり寂雷、映えるね、今は綺麗に切り揃えられてるけどさ、今度長さ出しやったげるね、魔女の爪みたくしたげる」
「いいよ」
「なんでぇ」
「危ないよ、うっかりきみのこと引っ掻いちゃうかも」
「いいよ、『ぼくの可愛くてでっかいネコちゃんにやられた〜』って、一郎とか左馬刻サマとかに言うから」
「……やだよ」
そんなの、いくらチームメイトだからって恥ずかし過ぎる。あの二人は思っているよりもずっと大人で、みて見ぬふりをしてくれていることもたくさんあるだろうに。寂雷は小さく息を吐いた。
ライトに当てて、硬化する。そしてまた、透明のトップコートというジェルを塗る。
そうして乱数は、いくつかの小さな丸っこいパーツを寂雷のテーブルの前にピンセットで置き、どれにする?と聞いた。
「どれって?これ、何?ドーナッツ??」
「そそ!ピンポンピンポン大正解〜」
「選ぶの?ここに、つけるってこと?」
私のこのピンクの指に?と寂雷が動きだけで伝えると、乱数はうんうんと頷く。そして、あ、でもちょっと待って!と寂雷の手を取った。
「ぼくが、寂雷のを選んであげる!だから、寂雷もぼくの、ここ!このグレーの左手薬指の爪に合うやつ、選んでよ!」
「えっ、」
「んとね〜寂雷は〜どーしよ、フレンチクルーラーみたいのにしよかな!かわいい!うん、これがいい!」
ピンセットで小さなパーツを器用に摘み、乱数は寂雷の爪の上に当てる。
「寂雷も選んで、どれがいい?」
「え、ええと…。難しいなぁ…」
「ちゃんと選んでよね、結婚指輪なんだから」
「えっ、」
「ドーナッツの結婚リングだよ。かわいーでしょ」
本物、今日買いに行っちゃう?あ、婚約指輪が先かなー?なんて、寂雷がドーナッツの結婚リングを飲み込めていないのに更に次のどえらい話をしてくるので、寂雷は耳まで熱くて湯気が出そう。
「よく見て、決めてよ。寂雷が選んでくれたら、なんだってぼくは嬉しいんだから」
うっ、と、寂雷は喉が焼けるみたいに詰まる。センスないみたいなことを言う癖に、乱数くんはズルい、と、逃しきれない熱が水滴に変わって目からこぼれ落ちそうになるのをぐっと我慢する。寂雷の、大人の、男の、ちっぽけな矜持だ。
そしてどれを選んでも大差ないだろうと思える小さなパーツと、寂雷は睨めっこする。乱数はこういう時、けして急かしたり茶化したりしない。
「……決めた。」
「えっ、どれ?!?」
「この、茶色のドーナッツにチョコがかかって、いっぱい黄色とか水色とかピンクとかのつぶつぶが乗ってるやつにする」
「なんで?」
「わかんないけど、……灰色のマニキュアと、きみの、他の指のいっぱいついてるやつ、を、邪魔しないかなっ、て、」
「ッえ〜〜嬉しい、寂雷めっちゃ考えてくれたんだねッ」
大好き!と乱数は顎にキスをくれ、寂雷はもう隠せなくって笑って、私も、大好き、と言った。
「じゃ、寂雷、それ、ぼくのこの指、乗っけて」
「え、私が?え、指の根元?先っちょ?」
「どこでもいーよ、でも寂雷がいいと思ったとこ」
「え、ええ〜」
「はい、早くぅ」
乱数は寂雷に銀のピンセットを手渡した。ヤバ、本職じゃんお前、とか言いながら。
寂雷は震える指でピンセットを握り、小さなパーツを摘み上げる。乱数は手の甲をピンと伸ばして、薬指を他の指と離すみたい広げてくれた。
「……な、なんだろう、これ、すごく、緊張するね…」
「そりゃそーでしょ、指輪交換なんだもん」
「あっ、乱数くん、喋らないで、ズレる」
「ねぇ寂雷、おまえ神の手持ってるんじゃないの、もっともっと細かいデリケートな身体のなか、暴いてるんでしょう、」
「それはそれ、これはこれ、だよ」
「おまえのそういうとこ、なんか笑っちゃう」
「笑わないでったら、あ、もう、」
「乗っかった?じゃ、ちょっとぎゅうぎゅう押してみてくださーい」
「ちょっとずれちゃったよ……きみが、笑ったりなんかするから」
「死ぬわけじゃなし。寂雷の気持ちがはいってればいーの」
「最高にしたかったのに」
「そういうとこ、おもろ」
乱数は手のひらを返してかざし、確認するみたいに見て、うん、いーじゃん!と、グレーの爪の根元に少し中央から曲がってズレたドーナッツを見上げた。
そして寂雷の手からピンセットを取り、寂雷の爪につける卵色の柔らかくひだがあるみたいなフレンチクルーラー風のドーナッツを摘み、寂雷の手を取った。
「あは、ピンセット、湿ってんだけど」
「緊張したんだってば」
「ねぇ、たいがいにしなよ、可愛いから」
「きみこそ大概にしてよ」
「笑うなって」
くすくす笑いながら、乱数は寂雷のピンクの指の爪先に、少しはみ出るみたいにしてドーナッツを乗っけた。ぎゅっと、圧をかけられる。
「出来た?」
「うん、サイコー。なんか、ゴミくっついてるみたいで可愛い」
「酷いッ、結婚指輪だって、きみ!」
「嘘だってば、いやだって可愛すぎんだもん、待って後で写メとろ、SNSあげよ」
「嫌だよ」
「なんで、恥ずかしいから?」
「違うよ」
「じゃあなんでさ」
乱数はさっさと自分のドーナッツの上にトップコートジェルを塗り、寂雷にも同じようにした。
「……勿体、無いでしょう」
「え?」
「だから、誰かに、不特定多数の誰かに見せるのは。二人のもの、なのに」
乱数はぽかんとした。不覚にも、してしまった。
寂雷は、ドーナッツが乗ったピンク色の爪がある左手の指先を丸めてじっとただ見つめている。
幼い、可愛い、女児みたいなネイルだ。正直寂雷の今日の服にも寂雷自身のキャラにもなんにも合ってない。でも寂雷は、それを、そんなちゃちなものを、誰かに見せるのはもったいないと言う。二人のものだからと。
マザーグースの歌みたい。女の子って何でできてる?お砂糖とスパイス。それと素敵ななにか。
乱数は思わずハミングして、寂雷はなあにと問うた。乱数は答えなかった。寂雷は知らなくてもいいことだから。
「じゃあ、考えとくよ。載せないかもしんない」
「載せなくていいじゃない。」
「考えとく。ねね、はい。ここ、手、突っ込んで」
「わ、」
乱数が寂雷の左手首を引っ張り指先をトンネルみたいな機械に引き入れ、自分の左手も隙間に潜り込ませた。機械の上についたボタンを押すと、電子パネルに30と文字が出て、29、28と点滅して1秒ごとカウントされてゆく。
「……病める時、健やかなるときも…」
「ふふ、誓いの言葉だ」
「ぼくあれ、ここしか知んない。寂雷、続き言って」
「ええ、〜……」
「早く、あと20秒」
「急かすなぁもう。」
『喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?』
寂雷は照れたみたいに笑いながら、それでも言い切って、そして、「誓います。」と、乱数に向かって言った。ドーナッツを半分齧ったときみたいな、幸せの粒が口の端にくっついちゃったみたいな笑顔だった。穴の先からこぼれる光が。
「ぼくも。誓うよ。」
乱数も笑って、寂雷に口付けた。
教会みたいな白いアーチのプラスチックの硬化ライトの建物のなか、二つのドーナッツはつやんと焼き上がって、指先同士をちょんとくっつけ合うと永遠みたいなマークになった。
「遊びいこ!」
「うん、いこう」
後日、二人の目撃情報とともに不鮮明な指先の写真もたくさんSNSにあがり、寂雷の指の一本だけに塗られたネイルの色やその指である意味がたくさんたくさん考察され、世界に祝福されたみたいに二人はおめでとうと言われ、寂雷はなんのことかわからなかったし乱数はありがとね、と両指でポーズをつくるのがしばらく流行った。
そんな昔の有るときのお話。