夢の話睡眠は浅い方ではないと思うがうなされて目が覚めることがよくある。その原因はたぶん今まで自分がしてきたことの責任と結果にあって他の誰のもののせいでもないし、罪ならば軽すぎるし、赦されるにはまったく負荷が足りない。だから、こわい夢を見たということは、誰にも言わずにやってきた。目が覚めたとき隣にいるのが誰であっても、最悪の目覚めだったとしても、夢のことは覚えてないし、見ていないというふりをする。罰にすらならないとしても、溜めておく必要があった。それもまた随分自分勝手な自己庇護なのだけれど、そうすることしか思い浮かばなかった。
神宮寺寂雷は、根本的に実直に愚かだった。すべての人間がそうであるように。
「……、らい、じゃくらい、」
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