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    matsurikaxtoru

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    matsurikaxtoru

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    カクイザが自分達に似た猫とぬいぐるみを拾うお話、灰谷兄弟が遊びに来ました。

    #カクイザ
    cukiza
    #横浜失楽園3
    yokohamaShitsurakuen3

    いざにゃとかくぬい2/灰谷兄弟がきた!名前をどうしようかとカクチョーはいざにゃに色々な名前で呼びかけています、でもいざにゃはいざにゃだから違う名前はどれも気に入らないので鳴いたりせずにぬいぐるみをしっぽで撫でています。
    その様子を見ていたイザナがいざにゃからぬいぐるみを取ろうとしていて、いざにゃはミィ!と逆毛を立てました。
    「かくぬいをオレにも見せてくれてもいいだろ。」
    「かくぬい。」
    「かくぬいだ。」
    いざにゃに猫パンチを食らっているイザナがふわふわした四文字を口にします。
    かくぬい、多分この自分に似ているぬいぐるみのことだ、だとしたら猫の方は。
    「お前にそっくりなぬいぐるみだからかくぬいだ。」
    「…ならこいつはいざにゃだな。」
    「おい、下僕。」
    「痛いからつねらないでくれ。」
    「ミィ!」
    名前を呼ばれたいざにゃはかくぬいと一緒にふたりのところにトコトコと歩いて行きました。
    いざにゃとかくぬいがカクチョーとイザナのおうちに来てからひと月くらいになりました。
    その間にふたりはいざにゃを病院に連れて行って注射を打ってもらったりお薬を貰ってきました。
    注射は痛いからいざにゃはミィミィと鳴いて抗議しましたが、かくぬいを側においてくれたので痛くても我慢出来ました。
    頑張ったなとカクチョーはおやつをいざにゃに食べさせてあげています、顔にはいざにゃの引っ掻き傷が何本も引かれていました。
    やっぱり注射は痛かったようでいざにゃは終わった時にばりばりとカクチョーの顔を引っ掻いてしまいました、イザナは傷が増えて男前になったなとけらけら笑いながらも優しくカクチョーの傷の手当をしていました。

    すっかりふたりに慣れて一緒に寝ているふたりのベッドの上で寝たりもしています、カクチョーの方に乗っている方が多いのでよくカクチョーはうぅ、と寝言で唸っていました。
    いざにゃはふたりより先に起きてぬいぐるみと一緒に部屋の中をとことこと歩くと首輪がカランカランと鳴ります、イザナのピアスとお揃いの花札の飾りです。
    暫くするとカクチョーとイザナが起きてきました、カクチョーはいざにゃのごはんを用意しています。
    「いざにゃ、ごはんだぞ。」
    カクチョーの声にいざにゃはミィと鳴いてカクチョーの足元まで駆けていきました。
    いざにゃが美味しそうにごはんを食べているとイザナがキッチンから出てきました。
    「お前のメシも忘れるなよ。」
    「ごめん、ありがとうイザナ。」
    ハムエッグを乗せたトーストをカクチョーに押し付けながらイザナも同じものを食べています、それをカクチョーが食べ終わると次はトマトの乗ったピザトーストでカクチョーのほっぺたをいっぱいにしました。
    いざにゃがごはんを食べ終わるとふたりは着替えて仕事に出かけます、玄関までいざにゃはかくぬいとお見送りにいきます。
    カクチョーはいざにゃを優しく撫でて、イザナもわしわしといざにゃとかくぬいを触っています。
    「ひとりにするのはやっぱり不安だな。」
    「天竺に連れて行ってもガキどもに群がられてコイツが疲れちまうだろ。」
    それにお前が寂しいだけだろ、写真もあいつらに毎日送りやがってとイザナはカクチョーを小突きました。
    いざにゃはずっとひとりだったし、今はかくぬいがいるから平気で、でもふたりが出かける時はちょっとだけ寂しいなと思うのが不思議でした。
    行ってきます、というふたりにミィと鳴くとかくぬいをしっぽで包んで部屋の方へ歩いていきました。

    日が差し込む窓際が暖かいからかくぬいと丸くなったり、ひらひらした尾っぽのベタのいる水槽を覗き込んでみたり、家の中を行ったり来たりしていると、棚の上に飾られた写真立てが気になりました。
    ぴょんと棚に登って写真を見ると髪型は違うけれど真ん中に真っ赤な服を着たイザナとカクチョーが写っていました。
    二人だけ黒い服を着ていましたが、その二人以外はみんなイザナとカクチョーと同じ赤い服を着ています。
    いざにゃは坊主頭のカクチョーとかくぬいを見比べてそっくりだとしっぽをぱたぱたさせていて、かくぬいも昔のカクチョーに似てると笑ったイザナを思い出していました。
    もう一枚飾られていた写真にも同じ人達が写っていて、おっかなそうな見た目をしている人もいるけれど写真の中のイザナもカクチョーも笑っています。
    昔のイザナとカクチョーと、ふたりの大切な人達だといざにゃとかくぬいは思いました。
    今もふたりの大切な人達だといいなと、いざにゃはかくぬいをしっぽで撫でながら鳴きました。

    今日はイザナとカクチョーがふたりともお家にいました。
    いざにゃがパソコンの上に乗ってカクチョーのお仕事を邪魔していると玄関のチャイムが鳴りました。
    玄関に出たイザナがため息混じりに知らない人を二人連れてきました、似たような薄紫の髪の毛の色でしたが髪型は全然違う二人です。
    髪が短い方はイザナのため息をよそに笑顔でいました。
    「全く、カクチョーが蘭達にいざにゃの写真を送るからだぞ。」
    「だっていざにゃが可愛いから…」
    「え〜でも家にあげてくれるの優しい〜大将のそういうところ大好き。」
    「にいちゃん、あげてもらえなくなるよ。」
    髪の毛が長い方が弟で、お兄ちゃんより弟の方がしっかりしてるなといざにゃが思っていると、お兄ちゃんの方がにこにこ笑顔で寄ってきました。
    「可愛い〜大将にそっくり。」
    「似てねえ。」
    「ミィ!」
    かくぬいをしっぽで守っていざにゃはミィミィと威嚇します、笑顔がちょっと胡散臭く見えたのです。
    「そのぬいぐるみも昔のカクチョーにそっくり、なぁ竜胆。」
    「そうだね、にいちゃん。」
    威嚇されても知らん顔でかくぬいにも触ろうとするのでいざにゃはお兄ちゃんに飛びかかりました、でもイザナとカクチョーのお客さんだから爪は使わずに顔にぴったり引っ付いてやりました。
    べたんと床に倒れたお兄ちゃんは両手を上げて降参のポーズをとっていますがイザナはしばらく放っておくことにしました、その方が面白いと思ったからです。
    「た〜いしょ〜助けて〜大将に似て強い〜」
    「蘭が馴れ馴れしく触ろうとするからだ、仕方ねーな。」
    イザナが床に転がっている蘭からいざにゃを引っぺがしてやると竜胆がほら〜と言いながら蘭を起こしてあげます。
    そんなやりとりをしている間にカクチョーがコーヒーを用意してくれました。

    「ごめんねぇ、猫の大将。」
    おもちゃで遊ぼうとご機嫌を取ろうとしますがいざにゃはつーんとしています、ちょっと泣きそうなのが面白いなと思っているので猫じゃらしを振る蘭の顔をじっと見てやっています。
    あくびをするとわー可愛いと胡散臭い顔が更に胡散臭い笑顔になりました。
    「カクチョー、おやつあげていい?」
    「あげすぎは良くないから一本までな。」
    カクチョーがいざにゃのお気に入りのおやつを手渡すと、イザナの携帯電話が鳴りました。
    何かあったのかイザナが話し終えるとカクチョーに声をかけます。
    「カクチョー、ちょっと天竺に行くぞ。」
    「分かった。」
    「大将、何かあった?」
    「ちょっとな、すぐ終わる。」
    「じゃあ竜胆と留守番してるよ、な、いざにゃ。」
    「ミィ!」
    「兄ちゃんがいざにゃ何かしようとしたら止めるから安心して。」
    「も〜何もしないってば。」
    またいざにゃがミィミィと抗議の声をあげるとカクチョーはいざにゃを撫でてあげました。
    いざにゃと蘭のこと頼むぞ、とイザナとカクチョーは出かけて行きました。

    「猫の大将〜さっきは悪かったよ、仲直りしよっ。」
    「ミ!」
    おもちゃの次はおやつでご機嫌を取ろうとする蘭に尻尾を向けていざにゃはかくぬいと一緒に棚の上に昇りました。
    「わ、懐かしい。」
    いざにゃを見ながら写真立てを蘭は手に取りました、部屋にあるものを勝手に触るなといざにゃがミィミィ鳴いていると蘭が写真を指差します。
    「大将と鶴蝶は分かるかな、これがオレと竜胆。」
    違う服を着ていた三つ編みと眼鏡が昔の蘭と竜胆です、いざにゃは写真と2人を見比べてイザナもカクチョーも変わったけれどこの2人もだいぶ変わったなと思っていました。
    蘭の方に振り返るとさっきまでやかましかった蘭が黙り込んで思い詰めたような顔をしていましたが、ようやく口を開いていざにゃに問いかけました。
    「猫の大将、昔話を聞いてくれる?」
    「…ミィ。」
    いざにゃが少し考えてから鳴くと蘭はイザナとカクチョーとの昔話をはじめました。
    カクチョーは違うけどイザナ含めてオレ達はいざにゃには聞かせられないような悪いことをしてきたんだ、その悪いことをした先でこいつらと出会ってイザナを大将として横浜天竺っていうチームを作った。
    その前にイザナの弟、そいつはマイキーっていうんだけど総長の東京卍會というチームが既に存在していて、イザナは…その弟が憎くて、羨ましくて仕方なかったんだと思う。
    イザナは兄弟を傷付けようとして、滅茶苦茶にしようとして、自分達も散々暴れ回って、最終的にはマイキーを殺そうとしたイザナを止めようとした時にカクチョーが傷付けられた。
    マイキーとイザナを利用しようとした奴がいてさ、カクチョーが邪魔になったから殺そうとしたけど…イザナがカクチョーを庇ったんだ。
    オレ達はイザナとカクチョーのことを何も知らなかったことを突きつけられたし、自分が考えていた以上に…あの2人の繋がりは深くて、だからオレはあの2人に憧れていたんだ。
    「大将と鶴蝶が離れ離れになっちまうと思ったんだ、あんなにお互いしかいないのに。」
    降り出した白い雪とイザナとカクチョーから流れ出た血の赤はきっと忘れることなんて出来ないな、と結んだ言葉に蘭は胸を押さえていました。
    イザナとカクチョーの話をする蘭の瞳にさっきまでのふざけた感じはなく、ふたりのことが大切なことが分かる優しい輝きがそこにはありました。
    憧れていたんだ、と口にする蘭が一瞬だけ心の底から苦しそうで哀しそうに見えたのをいざにゃは見逃しませんでした。
    「ミィ、ミィ。」
    「撫でさせてくれるの?ありがとな、いざにゃ。」
    お前たちはずっとふたりと一緒にいてやってくれよ、蘭が口にした言葉はいざにゃ達が蘭達に返したい言葉だから、いざにゃはミィ!と返事をしました。

    「お話したら眠くなっちゃった、おやすみ、りんどーと大将。」
    「もー、にいちゃん、人ん家で寝ないの。」
    さっきの真面目さはどこへやら、大きなあくびをして竜胆を膝枕にすると蘭はすぐに眠ってしまいました。
    猫の自分より猫みたいだなと思いながら、いざにゃはすうすうと寝息を立てる蘭のおなかの上に乗りました。
    「にいちゃん、どこでも寝ちゃうんだもん。」
    「ミィ。」
    「ふたりが帰ってきたら兄ちゃんでも起きるから、いざにゃも寝てていいよ。」
    竜胆がいざにゃを撫でてやるとゴロゴロ鳴いていざにゃは蘭のおなかの上でかくぬいと丸くなりました。
    すやすや眠る兄といざにゃ達を見て竜胆はその姿を写真に撮ってあげました。
    「あとでにいちゃんに見せてやろ。」
    イザナとカクチョーに写真を送ってから蘭といざにゃに感化されて竜胆もうとうとして眠ってしまいました。
    何時間か後に二人が帰ってきたドアの音で竜胆が目を覚ますと先に起きてたいざにゃが竜胆の片膝に乗っています。
    「ミィッ。」
    「悪ぃ、面倒見るって言ってたのにオレも寝ちゃったな。」
    「待たせたな。」
    「ただいま、いざにゃはいい子にしてたか?」
    「ふたりが帰ってきて真っ先に起きてたよ、いい子いい子。」
    兄ちゃんまだ寝てるし、寝てて良かったけどさと呆れ顔な竜胆を見ていざにゃは蘭のおでこに猫パンチをしました。
    蘭が飛び起きると呆れ顔のいざにゃとイザナと目が合いました。
    「うわ〜!猫のタイショーつよい!可愛いからもっとしていいよ。」
    「オレからの拳骨もいるか?」
    「大将のパンチは痛過ぎるからもう食らいたくないかな。」
    のらりくらりとイザナの言葉を躱す蘭でしたが痛い思いをした経験からか逃げようとする動きは今日で一番俊敏でした。

    「またね、いざにゃ。」
    「ミィミィ。」
    バイバイって言ってる〜とはしゃぐ蘭をそうだねと竜胆が引き摺るようにして帰っていきました。
    疲れるからしばらく家にあげるなよ下僕。とカクチョーはほっぺたをぎゅっと摘まれていると、いざにゃが足元にやってきたのでカクチョーは抱っこしてあげました。
    「ミィ、ミィ。」
    「どうしたいざにゃ、蘭達が来て疲れちゃったか?」
    かくぬいを尻尾でぎゅっとしながらいざにゃは抱っこをするカクチョーにぴったりとくっついています。
    すっかり甘えただな、というイザナの方にもいくとぴったりくっついて離れようとしません。
    もう野良には戻れねーなとイザナはいざにゃとかくぬいを撫でて部屋に戻っていきました。
    戻してやる気もねーけどと、呟いた声はカクチョーにも届いて、そうだなとイザナ達を追いかけていきました。

    「た〜いしょ、いざにゃ達に会いに来たよ〜」
    「ごめん、今日もにいちゃん止められなかった。」
    「蘭に竜胆、よく来たな。」
    「毎日来るんじゃねぇ!カクチョーも迎え入れるな!」
    あれからいざにゃへの贈り物のおやつやおもちゃを両肩に、大きなたい焼きの形をしたクッションを竜胆に持たせている蘭がしょっちゅう遊びに来るので遂にイザナの雷が落ちました。
    蘭はいざにゃ達にとって悪いやつではないけど、いざにゃ達のことが大好き過ぎるのでいざにゃは溜息の代わりに小さくミィと鳴きました。
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